１０．二人の関係
その後半年は旅に出ずに村で過ごした。
その間は勿論、ポールとは清い関係。兄弟妹がいる家の中で、ポールとどうこうとか無理っ！
というかそんなに二人の仲は詰まってないし。
ポールは私の事どう思ってるのかなぁ？
「ポールにーちゃん、リリスねーちゃんのこと好き？」
「うん、好きだよ。どうしたの？」
「リリスねーちゃんはポールにーちゃんの事好きだから、ポールにーちゃんがリリスねーちゃん好きだったら両想いだなぁって思ったんだぁ」
「ふーん」
そのポールの‘好き’はどのような‘好き’なんだろう？家族としての‘好き’なのか？兄弟的‘好き’？
ポールは異性的に‘好き’に思ってくれないのかなぁ？
っていうか『ふーん』ってなんなのー？
うーん、これは……私が何とか動かないとなんともならないのかなぁ？でもでもっ、このあとの旅に出るとした時に気まずくなるのはヤダよぉ。どうしようっ。タスケテ―！
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この半年でリリスは女らしく、女性として成長したように思う。年齢もそうだが、体型が……。いや、そんないやらしい目で見ているわけじゃない！１６？１７？
今まではちょっと大人っぽい１５才というような感じだったけれど、大人の女性に近づいているような、そのような印象を受ける。
受ける印象が変わったと思っているのは俺だけじゃないと思う。フェンもレスも思ってるはず。
「団長……やっと自覚したんですか？俺は最初からわかってたんですけど？」
「自分も。無自覚って怖いですね」
何てことだ。俺は最初からリリスの事を想っていたのか？一目惚れというやつか？しかし……俺はもう３０歳近い。１６？１７才？だろう？リリスはこんな年上でいいのか？
そんな時にリリスの弟から、俺はリリスの事が好きなのか？という質問を受けた。幼子といえども嘘を言う事は自分の矜持に反する。「そうだ」というような返事をしたように覚えている。
これは……俺がリリスになんとか言わないと今後に差し障るのではなかろうか？しかし、リリスから振られた場合、今後の仕事……俺は辞退しよう。リリスと旅などできない。
今度村で何か祭り、収穫祭をするらしい。その際にリリスに告白しよう。……本当にこんなに年上でいいんだろうか？
あ゛あ゛あ゛あぁぁぁ！！うじうじしてるとフェンとレスに、団長らしくないとか言われそうだ。
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収穫祭、この村は年に何回収穫祭をやるんだろう？３回くらいかなぁ？
「４回ですよ。リリスさんにお祈りをしていただいたおかげで収穫量が増えたんですよ」
「これに胡坐をかかずに農作業に勤しんでくださいね！」
まさかの私の力が弱まってるとはなかなか言えないよなぁ。結界も弱まるんだろうか？各地の結界が弱まってしまうのはせっかく旅をしたのに……って気持ちになっちゃうなぁ。
あ、でも治した病気の人がまた病気になるわけじゃないから、結界も大丈夫かな？楽観視するのはあんまりよくないよね……。
「リリス、話がある。二人きりで話したい」
今、私の周りには弟妹達も村人達もいるもんなぁ。はっ、まさか？護衛を辞めたいとか？
みんなが祭りに出払って誰もいない私の家を選んだ。村のどこでも誰がいるかわからないからね。
「リリス。あの…あのな…俺はお前の事が好きだ」
ポールはそう言うと私の家から走り出ていった。「え～～～？？」返事もしてないし、残された私はどうすればいいの？
「あいつは乙女か？」
兄～～？？見てたの？見てたの？それはそれで恥ずかしいんですけど。
「イマドキ告白して走り去る乙女はなかなかいないぞ」
スゴイな書いてて久しぶりにそんな乙女を見た！って気分だった。告られた方は「え？返事してないんですけど？」だろうなぁ。
兄の嗅覚もスゴイな。村人が出払ってるだろうとリリスの家を選んだのに。目撃だもんなぁ。
