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95話 - パパはすごいって言われたい生き物なのです

 時間が……ない……


 落ち着け……

 こういう時に一番よくないのは焦ってテンパって何をやっていいのかわからなくなることだ。


 順序だてて整理しよう。


 まずこの3日の間にやらなければならないことは……


 ①違法奴隷、人身売買、その他犯罪事案の証拠集め


 ②囚われた獣人の救出


 ③屋敷内の違法奴隷の救出


 まず①に関しては可能な限り早い方がいい。

 そしてできることならこの3日の間に王かそれに連なる貴族に証拠の提出を行うこと。


 そうすれば自動的に②と③は国で行ってくれる。

 だからこれが1番優先順位が高い!


 ただ……この街と王都との往復の手間が入る。

 僕じゃなくてね。王の手の方々ね。


 恐らく……王都からどんなに急いでも1日以上はかかると思う。


 僕が1時間ほどで証拠を集め全力疾走最短で王に届けてもさすがに3日以内に子爵を捕えてもらい獣人の移動を防ぐことは難しいだろう……。


 で、僕は王にどう会えばいいのかは考えていない……


 というよりもう僕が魔物であることを生かして王の前に証拠をぶちまけてくるくらいしか方法ない!


 謁見の手続きの踏み方とか知らんしそれを待っている時間もない!


 よし!王城に潜入だ!!

 ……大丈夫かなぁ

 ……僕指名手配されないかなぁ


 王城に不法侵入って一般的に結構重罪じゃない?

 ……一般的って何?

 ……一般人はそもそもそんなことやらなくない……?


 ダメダメ!気を強く持つんだ!!

 こんな些細なことでめげちゃダメだ!!

 ……王城侵入って些細かなぁ。




 次!②の囚われた獣人の救出……これはどうするべきなんだろうか。


 ①がスムーズなら②は考えなくていい。

 でも多分それは不可能。

 3日後には獣人たちは別の街へ運ばれていってしまう……。


 運ばれて行ってしまいそうな獣人をこの場で逃がすと運び出す当日に脱走がバレる。

 子爵には可能な限り獣人の脱走は知られないほうがいい。

 何も知らないタイミングで王都からの使者が訪ねてくるのがベストだ。

 

 コソコソしてるのは決して僕が悪いことをしているからではなく!!

 自分の悪事が告発されていると知らなければ逃げようがないじゃん?

 そういう理由だからね!!


 だから運ばれていくのを見届けて……

 誰もいなくなったところで……

 街の外で運び屋を……


 斬!!


 そして獣人を……


 ラチゅる!!


 ……ねぇこれだいじょぶそ?


 ……やっぱり僕からすごい犯罪者臭しない……?


 いや!僕はクラムとエステルを泣かす奴は許さん!!

 だからこれでいいのだ!!

 

 悪いやつから解放するんだからね!

 ラチゅってんのではないから!!


 落ち着け……これでいいんだ……




 で、最後最後!③の違法奴隷の救出……

 ……えっと。えー?えっと。えーっと

 ……違法奴隷って?

 ……ん?


『エステルさん』


『はい?』


『一般奴隷と違法奴隷の見分け方ってご存じ?』


『わかりません………』


 ★TUNDA★


 だって一般奴隷は全然この世界問題ないじゃん!!


 間違って一般奴隷捕まえちゃったら多分叫ばれるよね!?


 そうなったらバレちゃう……


 ……でも見分け方わかんないもん。


 こうなったら首輪が付いている奴隷と思われる獣人を……


 みんな背後からひと思いに……


 昏倒させりゅ!!


 からの!


 ラチゅる!!


 あかーーーん!

 これはさすがにNOTGOODです!! 

 ちゃんと犯罪者一直線です!!




 はぁ。もういいや。


 これ終わったら森に帰ろ。


 人の世界合わないんだ……ぼく。




 ……まぁでもそれはさておき

 ③に関しては考えるだけ無駄だ。

 できることがない。


 わからんもんはわからん!

 もしうまく子爵を捕えてくれれば……

 その後に奴隷の専門家さんが調べて解放してくれるはずだ。


 ということで③はナシ!①からの②!


 今から①の証拠集め!これが最優先!!


『じゃあとりあえず僕証拠とってくるよ。どこに重要そうな紙入ってるか見てたから』


「私は何をしましょう?」


 えっと……


『僕がなんかしらの……紙をね……あの……公的な……書類って言うか……人身売買履歴とかさ?あの……他…税とか……年貢とか?えっと……国の予算のさ、つかいこんでんなーこれ!みたいな?子爵やってんなー的な?……なんかそういう……悪い……取引がね……えっと~……それっぽいのが書いてそうな……資料?……領収書?レシート?!をエステルはざっくり読んで……なんかこれあやしくなーい?って感じる紙をさ……さっとバレない程度に……中抜きしてくれれば……それまた僕が戻してくるからさ……えっと……んっと……』(ボンッ)


『クロムさん??』


『難しいことわからああん!僕一般人なのおおおお!あ、スライムだ。じゃなくて!そんな国で取り扱われてそうな重要書類の名前とか聞いたことないのおおおお!ふえええええ』


『大丈夫ですよ♪わかりました!沢山難しいこと考えていただいてありがとうございます!頑張りますから、ね?』


 ……紙……あ、神。これが以心伝心……。


 はぁ……取り乱した。

 もう本当にさ、犯罪とか王とか国とかとか……

 僕には荷が重すぎるよ………


 いきなり小市民からスケールぶっ飛んだ場面に立たされて……


 こういう時に一番よくない焦ってテンパって何をやっていいのかわからなくなってた。

 よわいなぁ……ぼく……


 落ち着こう。

 クラムとエステルの為だけに頑張ろう。

 もう余分な事考えるな……ふぅ……


 パパはがんばるのだ。

 それだけでいいのだ。

 それ以外何も考えない。


 窓から侵入。でも隙間思ったよりないな。

 さすがにスライムの体でもこの隙間は通れない。

 壊すのはダメだ。足がついてしまう。


 やるか。

 今日の為に練習してきたんだ。

 初めてだけど……ここしかない。


『クラム』


『な~に~?』


『今から多分、僕がすごい魔力を放出する。だから限界まで僕に隠蔽かけて。人にもかけれるから。お願いね』


『わかった~!ぜんりょく~!』


『エステル』


『はい!』


『エステルは全力で感知使ってここに人が来ないか見張ってて。で、僕が資料を渡したらそれに急いで目を通してくれ』


『どこから資料を?』


『空間』


『え……?』


『じゃあ……いくよ』


 んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんぎぎぎんぎんぎgんぎggにgっぎいいぎぎぎぎぎいぎぎぎぎいっぎぎぎいぎぎぎぎぎぎぎぎいっぎぎぎっぎぎぎぎg…………


(バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ)


『すごい魔力……苦…しい……こんなに魔力を放出しているクロムさん……初めて見ました……』


『んんんんん~パパ~きつい~!まりょくもれちゃう~!はやくー!』


 できる。絶対できる。ずっと練習してきた!!

 もう空間魔法カンストしたんだよ。

 護衛中もずっとやってたんだから……


 だからできるはずなんだ。

 あとは僕のイメージと……

 出来ると信じる心だけ!!


 僕は僕のことが1番信じられないけれど……

 2人のことなら信じられるんだ!


 2人のパパなら絶対できる!!


 ここで出来なかったら……


 パパ失格だッ!!


 ”ゲーーーーートオオォォ”ッ!

 (バチバチバチ……ボワーン)


『え……空間がゆがんだ……』


『すごおおおい!!』


 こわいこわいこわいこわい

 大丈夫……行ける!早くいかないと閉じちゃう!!


 スッ……


 クロムは……窓をすり抜けた………


『できたあああああああああああああ!!!!空間転移いいいい!!!!!』


 体ちぎれちゃうかとおもった……

 最悪スライムだから生き残れはしたんだけど……こわかったあああ


 あ。そんな場合じゃねぇ。

 えっとえっと……これだ。魔力認証式金庫。


『それどうするんですか?』


 ゲートができたなら……


『クラムもう一回!』


『あいー!』


 んんんんんんんんんんんんっぎhっぎぎぎggggっがが……


 ”アポォォートォッ”!!!


(ストンッ)


『書類が!手の上に!?』


『はぁ……はぁ……いや、これゲート水平に開いて重力で書類落としただけだから……物体引き寄せたりはしてないんだ……はぁ……この書類エステルに渡すよ!!んぎぎぎぎぎぎぎgっがあああああああああ』


 ゲェ-ーー………


 ・

 ・

 ・


 はぁ……はぁ……おえ……もう限界…だ………

 これ、尋常じゃなく魔力使うし集中力つかう……

 ほぼ毎日魔力消費してだいぶMP上限あがったのに……


 窓枠すり抜け2回

 書類取って戻すのに2回

 エステルに書類渡してもらうのに2回


 たった数10センチの転移たった6回で……


 MP 2784 / 92678(62978↑)(-50000)


 嘘みたいだろ?MP90000消えたんだぜ。死ぬかと思ったあぁあぁ……


 すっげえ血管ちぎれるくらい魔力込めないと無理だし

 唱えた瞬間にMPゴバァァァって抜けてくんだよ……

 ほんとにミイラになるかと思った………


 まだまだ練習足りないな……ぜぇぜぇ。

 でもひとまずミッション1コンプリートだ。


『お疲れ様ですクロムさん♪』


『パパすごかったあああ!』


『エステルもクラムも……ありがとう……助かった……。パパも……ちょっとくらい……すごかっただろ……?へへ……』


 パパ……すごいだろ………

 この為に生きてるうううううう!


-----


 書類は手に入った。

 読めないからよくわからないけど国からの予算や大きい取引の金額、人身売買や奴隷の目録が書いてある資料を数10枚抜き取ってくれたみたい。

 これに入ってないんだったらここにはないって。


 はぁ……よし、早く王都行かないと……

 こっからミッション2王城侵入。


 ねぇ……だいじょぶそ?

クロムはスーパーヒーローではないのです。

凡人なのです。むしろメンタル弱いのです。

いきなり国とか言われたらもう考えられなくなっちゃいます。


ってことで今回はずっとテンパっている回でした。


クロムが書類を空間魔法で取り出したアポート。

これ窓の外からつかえば?と思ったそこのあなたへ。


まだクロムさんは自分の目先1m以内くらいに入り口を。

ゲート入口から出口の距離も1m程しか離せません。

なので窓の外からは届かないのです!


今はまだ……空間を開くので精一杯なのです。

この先まともに使えるようになるんでしょうかねぇ……


-----


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