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85話 - 王都に向けて出発!

 

 今日はとりあえずエステルの武器選びだ。

 ポートルの町は本当に冒険者は少ない。

 他の町からやってくるものはちらほらいるがわざわざこの町で武器や防具を揃えようとする人はいないのだ。


 なので、道具屋兼武器&防具屋ってかもはや釣具屋?

 ここに来るしかないらしい。


 まぁ道具はある。マントとかもあるかな。

 魚解体するナイフもあるな。


 ただ武器の類が少ない。

 鉄の短剣は一応あるがエステルが拒否している。

 じゃあもうないって!!この店にヤリとか盾とかないんだもん……


 あとこれ防具ってか漁業の為の作業着じゃないのかな……


「この店に冒険者なんかほとんどこねぇからなぁ……」


 ですよねぇ……。


「これなんかどうですか!?」


 ……それ多分銛です。魚つっつくやつです。


『これは~?』


 網で何をしようというのかね。

 魔物を捉えるのかいクラムちゃんは。


『うーん。困ったなぁ……僕が鉄で適当に剣作ってもいいんだけど……壊したら悲しむでしょ?』


「当り前じゃないですか!」


 ってなったら、一応そこにある短弓?くらいしか選択肢ないとおもうんだけど……

 それか素手?


「そうですねぇ。じゃあ短弓2本をいただきましょうか……矢もセットでお願いできますか?」


「あいよ。短弓2本と矢20本で銀貨10枚だな」


 たっか!木なのに10万……


『これすごく高いですよ!どうしましょうクロムさん』


『なー?それ弓の値段じゃなくて矢だと思うよ。20本つけてくれるなら安い方だよ。使うか使わんかは置いといてダミーに買っときな。最悪素手で戦えばいいだろうしな』


「うぅ……お願いします……」


 ・

 ・

 ・


「使わない武器にお金使ってしまいました……」


『いいよいいよ。変な騒動に巻き込まれるよりましだ。とりあえず愛着持たないって約束なら本当に”適当に”鉄で双剣もつくろうか?壊す前提だからね!最悪溶かすから!わかった?』


「溶かして他のものに生まれ変わるなら……わかりました……シュン」


『クラムは~?』


『クラムはダメ。職人魂発揮するから……。エステルが尚のこと使い捨てにくくなっちゃうよ。ずっと使う服とか作ってあげな?』


『は~い』


 その日とその翌日はゆっくり宿で過ごした。

 僕は双剣をつくるとはいったもののどんなものを作ろうか思案していた。


 もはや棒つくったところでエステルが強いのには変わりないし目立つよな……

 行動制限してもらうしかないよなぁ……


 3日後、今日はとりあえずゴブリン退治の依頼を受けた。

 帰りに残った魔物の素材を買い取ってもらうつもりだ。

 もう資金も本部から回ってきただろう。

 3日前に明後日っていってたからな。


 ついでにエステルの弓の試し打ちだ。


(ヒュッ……サクッ)

(ヒュッ……サクッ)

(ヒュッ……サクッ)


 ギャッ!バタッ……


『エステルすご~い!!』


「はぁ……弓って難しいですね……」


『いや、全部あたってるじゃん』


 エステルは10年来の弓矢の特訓、魔の森でのレベルアップのおかげで弓術、命中スキルがすごく高い。

 弓に関しては100発100中と言ってもいい。


 しかも今ゴブリンの関節に当てたりうまく急所を狙って行動を阻害しながら仕留めていた。


 めちゃくちゃうまいな……。


 普段のド派手な近接戦闘からは考えられないほど繊細な戦いだ。


「でも……矢は当たるのですがゴブリン相手なのに全然倒れません……」


『いや、まぁなぁ……弓ってある程度その弓の性能の問題だからな…。エステルが力入れて引くとその弓折れるしな……』


 剛弓とか買えば少しマシにはなるんだろうが……あそこに置かれてた短弓じゃなぁ……

 魔力で張力をあげる弓とかって王都とか行けば打ってるんだろうか。


 たまに当たりどころがよくて一発で倒せるけど……

 基本的にデカい図体した魔物を弓で一撃でしとめるのは難しそうだ。


 世界樹の弓は魔力を込めて威力をあげたりしてるみたいだけど……

 というかもう魔法打ってるんだけどさ……


「やはりクロムさんが作ってくれる双剣で戦いましょうかねぇ」


『いや、むしろ目立たないから弓もいいと思うけどな?』


 お、でも……ふむ……武器の性能で左右されるようにすれば目立たないのか……


『よし、じゃあ依頼も終わったしギルド行くか。そろそろ残った素材売ってくるわ。』


 ・

 ・

 ・


 ギルドに到着し、受付のおねえさんにギルドカードを渡して解体場についた。


「おう!待ってたぞ。じゃあ残りの素材だしてくれるか?」


『あいよ~』(ドサドサドサッ)


 前回あらかじめ仕分けを行い素材の査定は済んでいるので今日は受け渡しだけだ。


「じゃあオーガの角40本にボアの牙50本だな。金貨57枚と銀貨50枚だ。」


 わぁ……もう家買えるな、土地付きで……。

 でも家建てる場所はもう決めてるんだ。


「さて、じゃあどうする?もう冒険者に当たりはつけてるぞ。Cランクパーティーの3人だな。ちょうど王都に帰ろうと思ってたらしくてな、だいぶ高額の依頼だから飛びついてきたぞ。いつでもいいそうだ」


『変な奴じゃないか~?』


「感じのいいやつらだから心配すんな。商人も気兼ねないやつだ。ってか態度悪いやつだったら俺がはじくわ」


 そうか……まぁそういうことなら……

 これも経験だと思うか。


『明日からでいいぞ~もうゆっくり休んだし』


「おう、じゃあ明日の朝町の出口で集合だな。頑張って来いよ」


 ------


「あれ?嬢ちゃんあんときの子じゃねぇか。まぁ知ってると思うがアランだ、剣士、まぁ斥候の様なものもするぞ。よろしくな!」


「改めまして。私はサラっていうのよ。魔術師ね。少しなら回復魔法も使えるわ。よろしくね」


「俺はノルドだ。斧使いだぞ。まぁいわゆる盾役だな。エステルちゃんだったか?」


「はい!エステルと申します!よろしくお願いいたします!弓と双剣使いです!」


「私は魔物の素材を専門に扱う……


 あ、ステータス見せてくれた人じゃん。Cランクに上がったんだ。

 Dの中では既に強いっていってたもんな。

 良かった顔見知りで……


「ということで予定では2日後にクルード子爵領へ入ります。そちらに農村がありますのでそこに一泊、5日後にはクルードの街に到着しますのでそちらに泊まって、7、8日の道のりになると思います。宜しくお願いしますね。では出発しましょうか」


「あー、あの街通るのか……」


「あまり滞在したくない所よね……まぁ仕方ないか」


「?」


 そんな感じで顔見知りとの王都への護衛がスタートした。


 王都や重要施設などへの道は皆利用するのである程度の距離を置いて井戸や均してある広場のような……前世でわかりやすい表現をすれば簡易キャンプ場のような場所が道々に用意されているようだ。

 そこで焚火をしたり寝袋などを置いて宿泊すればいいとのこと。


 もちろん見張りは立てるが、とのことだ。

 そりゃそうか。みんな通る道だもんね。


「それにしてもエステルちゃんもうDランクなんだな!?」


「はい、冒険者登録をしたのは最近なんですが、田舎で魔物退治等はずっとやってましたので」


「なるほど。完全な素人じゃなかったのね」


 エステルが明らかに戦闘慣れしているのを隠し通すのは無理があるのでこう言おうって決めていたんだ。

 冒険者登録してから半月足らずでさすがに違和感しかないからな。


 お、って言ってたら魔物だ。


「あら、キラーラビットかしら?」


「気をつけろよ。あいつすんげー獰猛だからな」


「じゃあいつも通り俺が飛び込むからあとは宜しくな」


「戦い方見せるからエステルちゃんは今回は見学しといてくれるか?」


「はい!」


 そういうが否や盾役のノルドが獰猛うさぎに盾を構えて飛び込んだ!


(ガンッ!)


「サラ!行けるか!?」


「清き水の精霊よ……我が手に集いて……敵を……貫けっ!ノルド避けて! ”ウォーターアロー”」


(ザシュッ!)


 おお、水で矢つくるのか!!

 しかもちゃんと貫通力あったな?僕の発想にあまりないやつだ。

 この世界の魔法はやっぱりこういう風にも使えるんだよな。

 勉強になるぞ。


 これは前世の常識に囚われている僕が劣っている部分だ。

 ちなみに……あぁ。水の精霊は関係ないっぽい。

 特に詠唱と精霊は関連してないみたいだな。


 今の魔法で兎の左半身に大きくダメージが入ったな。


「よっしゃ任せろ!」(ブシュッ!)


 剣士のアランさんが首のあたりを刈り取った。


「どうよ、こんな感じだ」


『おおーナイスチームワーク』


「お疲れ様です!勉強になります!」(パチパチパチパチ)


「これがいつもの感じだな。俺が盾もって動き止める」


「その後私が魔法で攻撃ね」


「で、俺はまぁ臨機応変にやるかな。行けそうならとどめ狙うし、無理そうならダメージ与えながら時間稼ぎだ。その後ノルドが斧でぶちかます時もあるしな」


 隙の少ないいいパーティーだな。チームワークはやっぱり大切だ。


「このパーティーにエステルちゃん入れるってなると弓使えるなら弓の方がいいかな?前衛3人になっちまうから」


「そうですね!遠距離から支援したいと思います!こちらまで来そうならサラさんの援護に入りますね!」


「おう!それがバランスいいな!じゃあ次からやってみようか」


 こりゃ僕が作った双剣は出番なさそうだな……

 まぁエステルのいい練習になるだろう。


『ひまだねぇパパ~』


 そうだなぁ……双剣って言うか……


『僕ら出番がなさそうだよな……』

この小説を読んでいただきありがとうございます!




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― 新着の感想 ―
百発百中の弓で援護したら絶対スカウトされるよね
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