83話 - ぼったくりだ!
「お姉さんが使える魔法を見せてくれませんか?」
実はこの店員さん、火魔法と風魔法を使える。
火魔法ユーザーばっかりだよな?一番適正がある人がおおいんだろうか……
魔法によって珍しいとかありそうだなぁ。
「えぇー!私の魔力もタダじゃないのよ!?魔石に魔力込める商売もしてるのにそんなタダで魔法使うなんて嫌よ!」
「もちろんお代は払います」
「んー。じゃあ、一発につき第1階梯は銀貨2枚。第2階梯は銀貨3枚。第3階梯は銀貨5枚ね。私は3階梯までつかえるわ。火と風の2属性持ちよ?すごいでしょ。風属性はなかなかいないわよ?お買い得よ?」
風なかなかいないのか……じゃなくて!!
スクロールより高いじゃねーか!!ぼったくりか!!
あぁ……こっちが魔力持ってなかった場合の値段込みかよ……
全部見せてもらおうと思ったら銀貨20枚もするじゃん……
20万て……でもこの世界の魔法の希少さがよくわかんないしなぁ。
もういっそ帰ってギルマスに見せてもらった方が……
でもあいつめっちゃつよいしなぁ……一般的な参考にはならんか……はぁ。
まぁいいや。勉強代だと思おう。
風より火でいいや。火の方が攻撃に適してるの多いし。
レアより汎用性えらんだほうが勉強にはいいよね。
銀貨10枚ね。エステルいいって言って~
「わかりました。では3階梯までの火属性の魔法を見せていただけますか?」
「火でいいのね?風の方がめずらしいのに。じゃあ一つ目はここで……」
「我は求む。小さな灯りを。この手のひらの上に灯せ。”ティント”」(ポッ)
店員さんの指先にろうそく程の炎が灯った。
え?これ!?これ銀貨2枚なの!?
「ハイ終わり~。これが火属性1階梯の魔法ね。一番有名なやつじゃないかしら?道具屋とかに売ってる魔石に入ってるのがこれね」
じゃあそれ買ったら銅貨30枚だったじゃん!!
嵌められた…………ただの極小ファイアじゃんか……
嫌な予感がする……
「じゃあ裏口から外でるわよ~。ついてきてー」
店員さんについて裏口から外にでた。
「じゃあ次行くわよ~。んんん~紅き精霊よ。我が求むは闇夜を照らす赤き焔。この手に宿りて敵を穿て!ファイア!」(ボウッ)
……だからちょっと小さいファイアじゃんか!!
「ふぅ……久しぶりにつかったわ~。じゃあ次は3階梯のフレイムねー。」
「あ、もう大丈夫ですー。魔法がどう使われるのかが見たかっただけなので……ありがとうございました!」
うんわかった。次はそこそこのファイアだ。
4階梯は大きいファイアなのか!?
5階梯は!?!?
これ風だったらそよ風ふくか突風が吹くか……そんな感じだぞきっと……
「そう?まぁこれが基本ね。同じ階梯でも火球にしたり壁にしたりする魔法はあるけれどこれより詠唱は長くなるわ。」
あぁ、それくらいはあるのね。そう。でももう大丈夫かな。
詠唱してこれなのか……あ、ちなみに……
「魔法って自分で改良したりはできるんですか?」
「火力を大きくするとかは多少魔力を強く込めればできるかしら?でも制御を失うからほとんどの場合は不発するわね。決まった魔法は決まった魔力量で打つものよ?」
「詠唱破棄とか…?」
「そんなことしたら魔力高められないじゃない。魔法は詠唱あってのものよ?簡略化してもダメね。宮廷魔術師とかだと高速詠唱なんかができるようになるらしいけれどそれは高速詠唱用の呪文があるそうよ。一般には公開されていないわ。その代わり難易度は上がるらしいわよ?私は知らないけれど」
なるほど……この世界そういう教えなんだ……
じゃあ僕の創造魔法ってめちゃくちゃチートだったんだな。
僕雰囲気で魔法名言ってるだけで別にいらないもん……
この世界人にきつくない!?魔物はもっと自由に魔法使うよ!?
というか詠唱前提なら魔物は魔法つかえないよ?
なんでこれがおかしいって思わないんだろう……
イメージが要らない分この詠唱すればこの魔法がでるって固定概念があるのかな。
僕は最初からイメージで使えたから僕の発想がおかしいんだろうか。不思議だ……
「はい、じゃあ銀貨5枚ね~♪まいどありぃ~」
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魔法店を後にした。
少し遅くなってしまった。
夜になる前にポートルに到着するために少し急ぎ目に帰路についている。
(タッタッタッ)
「初めて人の魔法みましたね~」
『そうだなぁ……』
『あんなのじゃなにもたおせないよね~』
『まぁ一応他の魔法もあるらしいけどなぁ。ティントだっけ?あれよりファイア唱える方がゆっくり呪文唱えてたな。3倍は時間かかってた。うっすら汗ばんでたしな。魔力を高めてるって言ってたよな』
ちなみにあのお姉さん火属性Lv3だった。レベル上がればもっと簡単にはなるだろうけど……
あ、風は2だった。
「でもあれで戦闘に使うのは難しそうですよね。宮廷魔導士、ですか?それくらいの方ならもっと戦いに使える魔法になるのでしょうか?」
『例えばあのお姉さんより魔法のレベルが高くて詠唱も早くて……せめてインフェルノウルフの火炎放射くらいのレベルでも固定砲台扱いじゃないのか?動き回りながら詠唱できる感じではなかったよな』
「そういえばギルマスも私達との手合わせの時魔法使ってませんでしたもんね。使えるのに」
想像以上に人の世界の魔法は世知辛いようだな……
今まで長らく人の使う魔法がどんなもんか知らずに自分の魔法を使ってきたが……
創造魔法もらっといてよかった。
ちなみにあの魔法店にも地水火風の属性の魔法用具しか置いていなかった。
ちなみに回復呪文はあったぞ!ファストエイドっていうらしい。
ポーションくらいの回復量。HPでいえば300位ぽい。
魔本は金貨30枚で………ぐはッ。
さてポートルについたな。
『ギルド行って報告して宿にかえるか~』
(ガチャンッ)
「護衛から戻りました~」
「エステルさんね~おかえりなさい~」
いつもの受付さんが挨拶してくれた。
「ギルマスがかえってきたら部屋に来てくれってー!あ、カード預けていって。Dランクに更新しておくわね」
「あ、ありがとうございます!ギルマスが?なんでしょうか?いってきますね。」
(コンコン)
「はいってくれー」
「エステルです。戻りました」
「おうお疲れさん。盗賊の討伐もしたようで何よりだ。で、ちょっと話があるんだが」
『なんだ?なんかやらかしたか?』
「なんもやらかしてねーよ。別に悪い報告じゃねー。むしろなんかやらかしたのかよ……」
『エステルが絡まれた……』
「な!?いっただろ!?あの言葉使っただろ?な!?」
『あぁ……。まさか一発目の遠征でつかうことになるとは……』
「あれギルマスがクロムさんに吹き込んだんですか!もぉー!」
『いや!悪い事にはならなかったろーが!しゃあねーじゃねぇか!あーでも言わねーとくどいやつはどうしようもねぇんだから……』
『エステルかっこよかったよね~』
「クラムちゃんまで!!」
「いや、そうじゃねぇよ。盛り上がってるとこ悪いんだけどよ。お前ら王都いかねぇ?」
『王都?』
「こっから大陸中央部に一週間ほど遠征すりゃつくんだけどよ?まぁお前らだけならもっと早えだろうが……そうもいかねぇ」
『なんでまた……』
「いや、お前らの素材の問題だっつーの。金は本部から送ってもらえりゃ払えるがどっちみちここで使いようねーじゃねぇかオーガの素材なんか。じゃあ結果的に王都に輸送することになるんだって」
『あぁ、なるほど?』
「で、金貨何十枚とか下手したら100枚超えになりそうなもんをその辺の冒険者に任せられるかよ。どっから話聞きつけて狙われるかわかったもんじゃねーわ」
「確かにそうですね。狙われる冒険者さんも不憫です……」
「だろ?だからこの町で売却してお前らが売ったのは伏せて行商人の護衛だけ頼めねーか?っつー話だな。B級冒険者に依頼出して待ってもいいけどお前らも自分で行った方が安心だろ?つーかA級のがいいくらいだ。A級なんかここには来ねぇからなぁ」
あぁ、確かにそれはそうなるか……。
じゃあ結果的に僕たちが今後も護衛する羽目になるのか……
『ギルマス行こうぜ!』
「なんでだよ!いや、別に一回限りなら仕事サボれ……いや、行ってもいいんだが今後何度もってなった時にどっちみち行っておいた方がいいだろ?どっちにしろ行くことになるって。あとダンジョンとかあるから覗いて損はねぇんじゃねぇのか?」
あ……なるほど。魔道具……自分で作れるのか……
『行く!』
「現金なやつだなぁ……」
『でもそれなら僕が直接届ける方がいいんじゃないのか?』
「いや、その異次元収納見せる気かよ……お前王都の貴族の飼い犬になるぞ……」
そっか…。
「あとお前らには関係ないんだろうが経済回さにゃならんのよ。頼めるもんは頼む方がいいの、こういうのは。結局お前らに動いてもらうんだが、他のやつも巻き込むほうが町の活性化にいいんだよ」
そういうもんか……餅は餅屋ってやつか。
いやそれは例えが違うか……
『わかった。ただ帰ってきたばかりだから休ませてくれよ』
「あぁ。金は明後日には用意できるからお前らのタイミングで素材売ってくれりゃいいさ。ゆっくりやすんでくれ。んじゃおつかれさん」
ということで、急遽王都行きが決定したのである。
ダンジョンダンジョン♪




