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79話 - 盗賊は資源

 予定では今日の夕方頃には隣町に到着するとのことだ。


 それにしても空間魔法……

 空間転移ってめちゃくちゃ憧れの魔法じゃんね?

 今後の生活の為にも絶対ものにしたい。


 今空間をこじ開けようとしても少し空間の揺らぎみたいなものが見える程度なんだ。

 空間座標指定で魔法を使うことはできるけど次元に穴をあけてつなげる。

 とかはまだ全然できていない。


 今の空間属性はLV5。この属性はかなり利用難度高いみたいだ。

 でも揺らいでいるのだから方向性は間違っていないのだろう。


 転移が終着点だとしたら他にどんなことができるだろう?

 考えていきたいな。


 あと空間属性はクラムとエステルには難しいみたい。


≪ん~くうかんをつなげるって~?≫


「ごめんなさい、理解が及ばないですね……」


 クラムは一回見たんだけどそれでも自分が発動するイメージが全くわかないって。

 精霊さんにも厳しいとのこと。一緒に練習したかったんだけどね。


 クラムは空間感知で視界に入っていない場所へ魔法を放つくらいならできる。

 僕よりブレるけどね。


 でもそれだけでは魔法属性としては覚えられない様子。

 あくまで空間感知スキルの範疇内に収まってしまうんだろう。


 ただ僕の特色がやっとできた……

 僕ができることってほとんどクラムができるんだよ。

 僕は発想のお手伝いしてるだけ。


 細かい事は僕のが得意だけど今までクラムだけで困ったことがない。


 さらにクラムは防御力高いしエステルは僕より近接攻撃うまいし……

 僕の知能や魔力なんかの長所は加護のおかげで二人にバフ入ってるし……


 僕って役に立たないのでは?って思ってたの最近。

 ちょっとこれ伸ばしていきたいな。


 さてそうと決まれば練習だ。

 あ、たまに逃がした方がいいか。まぁそれではまた程々に魔物を感知……


 ん?これ……多分人か?


『エステル、前に人っぽい魔力反応が10程あるぞ。200メートルくらい先の藪の中だ。商人さんに伝えたほうがいいんじゃないか?』


「商人さん!前に人が!200ミル程先の茂みに隠れています!」


「なんだとぉ!?この辺りにそんな……多分盗賊だっぺな……どうすっか……ここで立ち止まってても、もう見つかってるかもしんねぇか……。お前さんらに、護衛頼んでええか?すまねぇ……出来るだけ遠く通るからよぉ……」


「いえ!もちろんです!それが依頼なので!」


 いや、まぁそれが仕事だし、気にせんでも……

 この人商人っぽくないなぁ。


≪クラムみてこよっか~?≫ (ピョンピョン)


 そういいのこしてクラムが颯爽と行ってしまった……

 退屈そうだったから……


 ・

 ・

 ・


 商人さんが残り50メートル程のところで荷馬車を止めた。

 クラムが茂みの中に入っていった。


 まぁこの魔力の感じゴブリンと似た用なもんだな……

 どう頑張ってもクラムがやられようないからいいや。


≪ボロボロの服きた人がたくさんいるよ~?たおしていいの~?≫

『ん~?』


「くっそこのチビスライムが!居場所ばらしやがって!!」


 そういうと茂みから盗賊と思われる汚い装いの集団が飛び出してきた!

 クラムに向かってナイフを振り下ろす!


「こんにゃろーが!」(ブンッ)


≪”しーるど~”≫(ガンッ)


「なんだとっ!?」(ガンガンガンガンガン)


≪ね~たおしていいの~?≫ (ガンガンガンガンガン)


 相手にされていない。まぁそうだろうな。一般人レベルだもん。


「商人さん、盗賊はたおしてしまっても……?」


「あ、あぁ。あのスライムすんげぇ強いんだな……。盗賊は基本的に殺しちまってええぞ。盗賊に身を落とすってのはそういうことだ。魔物と同じだと考えてええ。持ち物も倒したやつのもんだ」


 前にも言ったが、僕はこの世界で人だから助けるとか魔物だから倒すとかそういった区別はしないつもりだ。敵なら倒すしそうでないならその時による。クラムに地球の人間のルールを押し付けるつもりもない。


『まぁ程々にたのむ~!姿形が残る程度にな』


≪は~い≫


 そういうとクラムは空高く飛びあがった!


≪”あいすきーっく”!≫(シューン)


 ドガッ!!


「「「「ぎゃああああああ」」」」


 説明しよう。あいすきーっくとは。

 エステルが属性魔法を纏って敵を殴っているのを見てクラムが真似を始めたやつだ。

 こういうところにエステルとの特訓の影響がでている。


 具体的には、直径2m、長さ5mほどの馬鹿デカい氷をクラムが纏って空から突撃している。

 本人はキックのつもりだ。流れ星のように降ってくる。

 ライ〇ーキックのようなイメージなんだろう。


 ちなみにクラムの大きさは10cm程。


 もう一度言おう。纏っているのだ。

 纏っているというか完全に中央に埋まっている。


 実は本人が突撃する意味は全くないのだ。

 氷を敵の頭上に出して落とせばいいのだ。


 クラムのサイズ的にあまり自分に何かを纏う技は向かないと思うんだけど……

 まぁそれを言うのは野暮というもんだろう。


 本人も意味がないことはわかっていて真剣に戦うときにあの類の技は使わない。

 要するに、遊びのレベルでしかないということだ。

 盗賊さん残念。


 その後……。

 ボロボロで動けなくなった盗賊をエステルが縛った。

 すると、商人がとても慣れた手つきで荷物の中にあった短剣で全員に止めを刺して回った。


「生かしておいても運べねぇ。こいつらが盗賊なんかしてるからわるいんだぁ。とりあえず手配されてるかもしんねぇから首はもってくぞ?荷物は冒険者さんの好きにしたらええ。首運ぶなら賞金の1割もらってええか?」


 異世界は世知辛い。盗賊も資源扱いってことだな。


 一応この盗賊の被害に合った人もいるだろうし首は運んでもらうことにした。

 隣町の衛兵に渡せばいいらしい。一緒に乗るの嫌なのだが……


 -----


「よーしやっとついたな。このままギルドにいってこれ持って報告すりゃええよ。しばらくこの町にのこるからお前さんらは好きにしたらええ」


 商人さんから報告書の様なものを受け取った。

 これをギルドに提出すれば依頼完了らしい。


 隣町について少しだけ行列にならんで、町に入る検問を通った。

 その際に行商人さんが盗賊の首を見せると衛兵が待機所に首が詰め込まれた布袋を持って入っていった。


 少し待機すると書類にサインさせられて懸賞金を受け取ることができた。


 全員で12人。銀貨75枚。75万円か……1人7万円いかない程?

 と思ったら手配されていた2人の合計で75万円。

 あとは関係ないそうだ。商人さんは銀貨5枚で充分とのことでその銀貨を渡した。


 これが高いのか安いのかよくわからんけど高いってことはないだろう。

 多分小悪党くらいの感じだったんだろうな。


「お前さんらに払う依頼料が浮いちまっただ。儲けたなぁ~はっはっは。またよろしくなぁ!あとあのテントってやつ作ったら売らせてくれなぁ」


 うん、テントの利権なんかいらん。管理する方が面倒だ。

 勝手にしてくれ。


 でもこの世界に著作権とか特許とかそういう類のものはあるのかなぁ?

 商業ギルドとやらもあるらしい。そこがきっと管理してるんだろう。

 何か大がかりなもの作ったらそこに登録しに行くのもありかな?


 でも僕はあまり地球の文化的な事を広めるつもりはない。

 それを使って儲けようとも思ってない。きっと面倒になるから。


 他人との取引を発生させるような活動は控えておくつもりだ。

 自分が使えたらそれでいいからあんまりお世話になることはなさそうだ。


 まぁ勝手にやるなら勝手にしてくれたらいいさ。

 僕は介入しないって言うだけだ。


『とりあえずギルドにいこうか』


 ・

 ・

 ・


 ちなみにこの町はリンゲンという田舎町だ。

 田舎町ではあるのだがこの町を起点に他の町や農村に交易がおこなわれているそう。

 活気に溢れているし人もとても多い。


 ギルドに報告を終えたら町を見て一泊して帰るつもりだ。

 せっかくだから商店などにも顔を出してみたい。

 宿のお客さんに聞いたのだが、この町には魔道具屋があるそうでポートルの商人さんもそこから魔道具を仕入れているようだ。


 ポートルでとれた魚などもこの町でほとんど消費される。

 海産物はすぐ腐ってしまう為この町より離れたところへの輸送が出来ないそうだ。

 それもポートルの町が少し貧しいことに関係している。

 塩があるため暮らしていけない程にはならないそうだが。


 魚を取ればだれでも食べられるし売れる。子供でもだ。でも高価ではない。

 贅沢はできない。裕福な人はいない。

 誰も飢えていないがみんな一律貧しめ。それがあのポートルという町だ。


 さて、冒険者ギルドは町に入った通りをまっすぐ進むと右脇にすぐあった。

 剣の看板が出ているので文字がわからない僕でもすぐわかった。


 よし、別の町のギルドにはいるぞ~

 にぎわってたらいいな。

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― 新着の感想 ―
商人さん護衛1人しかいないのに盗賊出てきたのに落ち着きすぎ しかもトドメ刺すの慣れてるってちょっと怖えよ 盗賊の仲間でエステルのこと攫って売ろうとしてたけど倒されたから口封じか?ってくらいに思っちゃう…
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