66話 - 気分は大切です。
あれから水龍さんのところでご飯食べてお話した。
おばあちゃんに全力クリーンもかけてきた。若返ったらしい。
あーリフレッシュした。ほんとおばあちゃん一緒にきてくれないかな……
いつか絶対一緒に暮らすんだ。
おばあちゃん曰く……
(ソフィア神からも相談にのってあげてほしいと言われておるからの?お主らはいつでも来るといいのじゃよ。でもいつでも相談できる場所にいるのは少し別の話じゃな。気軽ではないくらいの距離感がいいのじゃ。どうしようもなく困ったらまたくるのじゃ。)
いつソフィア様と喋ったんだよ。
そういうことらしい。それは僕らの運命を左右することになるからって。
おばあちゃんはおばあちゃんだなぁ……
さて……
『じゃあこれからエルフの国とは逆に南下していく。森は突っ切らない。大陸中央に行きすぎて迷うと困るからね。エステルの特訓に海が見える程度に森に入って魔物を倒そう。大陸をぐるっと回って反対を目指す。それでいい?海の近くなら魚も食べられるしね』
最短なら森を突っ切る方がいい。でもまたトラブルに巻き込まれるのはごめんだ。
迷うのも嫌だし、心地よく過ごしたいからね。
それに最悪僕とクラムがエステル抱えて海に飛び込める。
だから僕らにとって結構水のそばって安全なんだよ。元水棲生物だもん。
浅瀬にそんなバカでかい生物いないし。
水の中で陸地のやつには絶対負けない。
海中にきたら蒼氷で周辺バキバキに凍らせるから。うん。
「はい!他に何かやる事あります?」
≪クラムは~?≫
『時間ある時はエステルは魚や魔物見つける度に食材の確保して?訓練にもなる。クラムはテントつくってくれない?形は伝えるよ。エステルの布使ってかわいいの!好きでしょ?』
僕は、木を伐り出してイカダ作っていこう。アイテムボックスに入れとけばいい。
またMP増えたら増やそう。今は20m区画だ。
≪やる~!かわいくするね~≫
「できるでしょうか……まだゴブリンも倒したことないので……」
そうだな。ここからスタートだ。
お、そういったらあれゴブリンじゃないか?
『エステル、あそこに太い棒持ったゴブリンがいる。向かってきてるしあの子倒してみようか。シールドかけて少し痛いかな?くらいに調整するからやってみて。僕らのシールドパワーしってるでしょ?』
「は、はい!」
『僕剣術知らないから教えられないの。だから適当に振り回してみてくれる?こんな感じかな?でいいよ最初は』
実は僕は体が弱いのがコンプレックスで実戦空手、キックボクシング、剣道には手をだしたことがある。
でも日本の剣道と剣術は違うし、パンチとか蹴りの打ち方くらいなら少し口出せるけど僕自身はそんなにつよくなかったからね。段位持ってるほどでもない。
ボクシングはスパーリングのみ。剣道は段位は持ってない。実戦空手は茶帯だった。
つよくない。そこそこ形になる、くらい。
エステルが剣を片手にゴブリンを前に駆け出していく……
エステルって左利きなんだ。
「行きます!」(ブンッ!)
はずした。初めてだし定まらないよね。
『当たんなくてもいい!がむしゃらに!そのうちコツ掴むよ!』
「はい!」(スカッ)
「ふっ!」(スカッ)
「やぁッ!」(スカッ)
うん、がんばれがんばれ。
型とか流派みたいなものは教えられないけどきっと当て感は回数重ねれば身につく。
そのうち当たるようにはなるはずだ。教えてもらえる人に会った時に聞けばいいさ。
「えいっ!きゃっ」
剣が大振りになってしまいよろめいた。
「キイイィ」(バシッ)
エステルの腕に振り下ろされたこん棒が直撃!!
『いたいか~?』
「……いえ!子供に叩かれた時以下です!これなら大丈夫です!」
『あーい。じゃあ倒せるまで頑張って!もうほんと最初は適当でいいからね!気楽に行こう!力抜いて!』
「わかりました!」
そこから5分くらいでなんとか倒しきった。
剣の鋭さがかなりのものであたれば切れる。
≪エステルおつかれさま~≫
クラムが果実の実をもってくる。ココナッツジュースみたいなやつだ。優しいやつめ。
『大丈夫か~?魔物を倒す忌避感とかはない?』
「はぁ…はぁ……ありがとうクラムちゃん。集落で魔物を倒してるのはよく見てたので全然大丈夫です!生存競争ですから!で…あの……」
『そう、じゃあ取り組めるね。よかった。なに?』
「もうちょっとシールド弱くていいですよ?あまり……特訓にならないというか……」
ほう?ストイックだね?いい傾向だ。
でもなぁ……
『いや無理だって。シールドかけてないもん』
ってかちょっと弱めにとか言う機能ないから。
盾だもん。守れるか壊れるかしかないよ。
「え……?」
『もうボア倒していきなり強くなっちゃったんだよ。10年分だもん。だからゴブリンどころかホフゴブリンもただの的当てだよ。ホフならしっかり叩かれた!って思うくらい?エステルの方が防御力高い。ゴブラザーズは剣振る練習だと思って突撃していきな?僕に許可要らないから。あ、灰狼もいいよ。あいつ早さはあるから練習にいいと思う。赤と猪と知らないやつはシールド張るから言ってね。赤と今のエステルが同じくらいの力だよ。おっけ?』
「私……本当に……」
『うん。あと僕は常に感知してるけどエステルもやって?敵来ても言わないから自分で見つけてね?感知は常時発動ね。クラムは今も感知、魔力隠蔽、シールドも常時発動してるよ。敵逃げちゃうからさ。僕もだけど。あと最近は同時魔法使えるようになりたくてライト、ダークも発動してる。光と闇って何に使えばいいんだろ。空間ってなにすりゃいいの……。雷は常時発動びりびりするしなぁ。まぁ耐性つけるのにいいんだけど気持ち悪い……。はやく「並列思考」とか覚えないかなぁ』
「ずっとそんなことしてらっしゃったんですか……。私じゃ足元にも及ばないわけです……わかりました!私も同じことしますね!一緒がいいです!」
『ん!よろしい!』
≪よろし~!≫
そういや、耐性能力って意識してつけようとしてなかった。
これから守ることが大事になるから耐性もつけないと。毒しかないや。
でもぼくって白炎、蒼氷つかえるからそれら効かなくね?発動したら引火するじゃん。
でもしてないし……エステル助けた時なんであつっ!っていったんだろ。
≪スキル【炎無効】【氷無効】【水無効】【地無効】【嵐耐性】【雷耐性】【闇耐性】【空間耐性】【無耐性】【神聖耐性】【闇耐性】………
≪耐性能力を合成しギフト【属性半減】を取得しました。以下の能力は統合されます。無効能力の全取得完了後、属性無効を取得可能です。≫
ただのバケモノになってきたぁ~
クラムも巻き添えにしよっと……
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それからエステルはゴブリンや狼を見かける度かかっていった。
『ん……?次は剣を右手でつかうの?』
「はい……しっくりこなくて……どっちがいいでしょう……」
狼に手こずっているなぁ。あいつ早いからね。でも攻撃はそんなに痛くないでしょ。
あの狼当てる練習にいいよね。右も左もどっちも変わらないな。今日始めたところだし。
好きな方使えばいいさ。
「えいっ!」(スカッ)
「剣はむずかしいです……」
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「よくわからないので剣2本ともつかっていいですか?予備も合わせて……せっかくいただいたので……」
『……はぁ。どうぞ。』
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「えいっ!」(スカッ)
「こっち!」(ズバッ)
『……』
「倒せました!これが一番簡単です!外したら反対で切ればいいですね♪」
『簡単……それやろうと思ってできることじゃない……』
「私利き手ないんですよ……気分で使ってたので。両利き……ですか?」
『気分は大切ですね……両利き……何それ……ロマン一直線タイプなの……?』
「まだ慣れてないうちにどちらの手でも使えるようになった方がいいですよね!後々覚え直すのは大変ですから……」
『じゃあエステルは……双剣使いで精霊さんとお友達の弓っ子ハイエルフなんですか?』
「ダメですか……?」
『属性盛るのも程々にしとけよ!!次のキャラに謝れ!!どう頑張っても埋もれるだろ!!』
「次の……キャラ?」
『あぁ、前世でそういうお話がね……』
もう他の子を仲間にするのやめよ~ね?
この子の次……やだ……
最強ハイエルフ無双伝説が今ここに始まる。




