58話 - クロム
「今日もお仕事おわりました~」
『お疲れ様。今日も何もなかったか?』
「はい!あ…、ただ……」
『ん?』
「少し男性のエルフの目線が気になりまして……」
エ~ロ~フがあああああああああ!!!
『あーやっぱり……レベル上げたからエステル自身の魅力が多分上がったんだとおもうよ。しばらく変な奴に気を付けなよ。』
「レベルというものがあがってたんですか!うれしいです!」
このレベルその他数値的な概念をしっかりエステルに教える意味がないんだよね……
秘密にしてるんじゃなくてね?僕らがいなくなったら確認できないんだから。
あと僕特有のものかもしれないし……だからおおよそで強くなったよとかいうしかないんだよね……。
あと、僕ら魔物なのと同じ生物にあったことがないから気にならなかったんだけどやっぱり同族に魅力はしっかり働いてるんだな……。特に外見とか容姿が変わったわけではないんだけどねぇ。
惹きつける能力が高いのかな。まぁ確かにコミュニケーションには生かせそうだよね。でも危なくもなりそうだな。
逆に威圧とかも覚えておいた方がよさそうだ。
練習しとこう。魔力解き放ちながら怖い感じでやればなん……
≪スキル【威圧】を取得しました≫
だからあああ!まだやってないって!!
いや、もう使えたんだろうなきっと。魔力解き放っていろいろやってるしな……気にしないでおこう。
そんな感じで昨日の夜中他にもスキルゲットしたんだ。
それが……
『これ、昨日の初討伐祝い。使って』
「これなんです?小さくてとがった……なにかに刺すものですか?」
『それ矢尻っていうんだよ。矢の先にそれ縛り付けたりくっつけたりするの。で、矢を打てば刺さるでしょ?あとお尻のぶぶんに羽とかもつけてぶれないようにした方がいいからあとで作り方教えるよ。一回真剣に弓もつくってみな?作り方おしえるから。』
「こういう仕組みになってたんですね!物語の絵はボロボロの挿絵で……こんな雰囲気の武器ってくらいしかわからなかったのです……。でも……こんないいものを使って私がつくっていいのでしょうか……」
『僕がつくろうと思ったんだけど昨日エステルレベル上がってずっと10年練習し続けてたことがちゃんと能力になったんだよ。そこに「矢細工」っていうのが入ってた。だから多分エステルがつくる方がいいの出来るよ。あと自分の武器手入れできた方がいいだろうしね。それミスリルでめっちゃ研いだからすごい切れるよ。気を付けてね。』
「ミスリルッ!?これ……金貨数枚するものです……こんなものいただけません……」
『いいよ。それクラムの貝殻の背負う部分の細工に使ったあまりなの。クラムもいいって。そんなに量ないから武器とかも作れないしどうするか悩んでたんだ。矢尻ならちょうど3本分。ここぞというときに使いな?打った後、回収すればいいしね。無くなったら無くなった時。命には代えられん。』
≪うん~あげるよ~?≫
たぶんこれをくれた水龍さんもしっかり利用価値があるものにつかわれて本望だろう。
『あとこれも。はい。』
「これは……ナイフ……?短剣ですか?2本も…?」
『そうそう。昨日ボア倒したでしょ?肉だけ持って帰ってあとは置いていったじゃん?あいつの牙って鑑定したら結構いい武器にされてるらしくて。だから研いで作ってみた。あとエステル弓に魔法はちょっとバランス悪いよ。近接戦危ないから。あんまり作ったことないから使い心地は保証しないけどね。大きい牙2本生えてたからね。1本予備にすればいいよ。クラムとの合作だよ。クラム細工めちゃくちゃうまいから。エステルっぽくしてくれた。プラプラしてる時に世界樹の木片拾ったから柄の部分はそれ使ったよ?だいじょぶだよね……?』
クラムがすごい丁寧に柄や鞘にお花や木の模様掘ってくれたんだ。
あ、もちろん持ち手の部分は除いてね?
すごい。ただの芸術作品。
これ……世界樹の木材つかってるし柄の部分だけでえげつない値段するんじゃ……
白っぽい木材の柄と鞘に牙でつくったから白っぽい刃。
刀にしたかったんだけど、使いにくいかなって普通に両刃の短剣だね。
「こ、こちらは……多分柄と鞘の価値で金貨……数百枚します………おそらく白金貨クラスです……いえ、本当に想像ができません……こんなの物語でよんだことがないです……」
『ふ~ん?まぁここにいたら枝とか木片拾えるしね。僕魔物だしさくっと貰ってもいいっしょ。他にも結構拝借したよ?別に人間のルールに従う必要ないもん。僕が拾ったもので僕とクラムがつくったんだよ。だからタダ!エステルの為だから作ったんだよ。クラムの気持ちに感謝してあげて。おともだちだから、だって。だからエステルが貰わないなら回収するよ?』
≪エステルおともだち~。がんばってつくったんだ~。つかってね~?≫
「はい……はい……一生大切にします。私の一番の宝物です……ありがとうございましゅ……グス」
あーあ。泣いちゃった。
ただなぁ。世界樹の性能しらないけどこれ刃のバランス絶対悪いよな……。
とりあえず刃がダメになった時用に柄から抜いて別の刃差し替えても使えるように少しゆとりもって鞘は作ったんだけどね。
だって世界樹とその辺の魔物だもんな。
水龍さんのとこに猛ダッシュしてこようかなぁ……
いや、なんでももらうのもよくないよな……
で、この剣実は鑑定結果やばいんだよね。
---------------
★世界樹の双剣
名前:なし
とても美しい模様が刻まれた世界樹の双剣。
刃の部分の切れ味は相当なものだがB級の魔物の素材でできている為希少価値はあまりない。
鞘と柄の素材が世界樹で作られている。すさまじい魔力を内包している。
鞘と柄だけなら幻想級の一品。
現段階では国宝級。
---------------
幻想級って何?幻想と書いてファンタジーって呼べばいい?
世界樹の素材つかって白炎とか利用して作ったから??
これたぶん魔力を込められる刃とかで作る方がいいよなぁ。
面倒みてあげたいんだけどなぁ。
僕モノづくりすきなんだよね……
あとB級の魔物?B級って何?SABCDEFGとかのやつ?
え……嘘だろ?あいつBなの?
いやぜーーーーーったいない!超超超ザコかった!きっともっともっと上があるんだ。
それかAが一番弱いんだ!そうだ!絶対そうだ!
まぁそれはさておき刃のいい素材手に入ったら帰ってこようかな。
よし、そうしよっと。
日本にいるとき包丁研いだり鍛冶してたりする動画見るの好きだったんだよ。
無心になるよね。だからやったことなかったけどやり方は知ってた。
で、せっかくだからいい感じにならないかなぁと思ってとりあえず白炎魔法そっと使って見様見真似でガンガン叩いて成型したり研いだりしてみてたら【鍛冶】スキル覚えたの。
これはまだわかる。
・
・
・
昨晩のこと…
『クラムがさっき手に入れた細工と裁縫ってスキルめっちゃ万能だよなぁ~』
≪うんーパパがおしえてくれておぼえた~!クラムかわいいのすきだからうれし~≫
『鍛冶ってさ~結構偏ってるよなぁ?エステルの真似してたら木工ってスキルももらったけどそれも木限定でしょ?色んな武器とか洞窟でも作ってみてたし、合わせて武器制作とかバーンとしたスキルだったら便利なん≪スキル【武器制作】を取得しました≫
『……』
ということがあってこの武器ができたわけです。はい。
・
・
・
『エステル~?だいじょぶ~?』
「はい……落ち着きました!こんな素敵なプレゼントいただいたことなくて……」
『でさ、お願いがあるんだけど、それ鑑定したら名前欄あるんだよね。せっかくだしエステルがつけてよ。剣って名前つけるといいって言うしさ。僕らがつけるより使ってもらう人につけてもらう方がいいよなクラム』
≪そうだね~!つけてつけて~!≫
「名前……ですか!?私が……この素晴らしい双剣に……」
『うんうん、好きにつければいいよ。エステルがつけることに意味があるんだよ。』
「ではクラムちゃんのお名前いただいてもいいですか?」
≪いいよ~?≫
「では……双魔剣クロム・クラムでどうでしょうか?」
『おお!なんかかっこいい!!どんな意味?』
「クロムという金属があるんです。銀白色の金属でこの白い剣にもピッタリです。とてもサビにくくていろんなものに利用されるとても固く万能な金属らしいですよ?様々なことができるスライムさんと折れない心からイメージを受けました!あとクラムちゃんとお名前も似てますしね。あとせっかく名付けさせていただいたので……私の為に作っていただいたのなら、虐げられたものの解放を願いたいです。いつか私がこの森から出られますように。私の様に苦しんでいる人がいなくなりますように……」
『おお…。すごいかっこいい意味もあった。ちょっとびっくりした。なにそれ。いいなぁネーミングセンスあって。そうなればいいな。僕も協力するしね。』
≪じゃあパパのお名前クロムだねぇ!やった~!クラムと似てる~!≫
『え、僕の名前……?』
「スライムさんのお名前ですか?」
いや、しっかりした意味もあって響きもかっこいいしめちゃくちゃ素敵だけど……
≪種族:オリジンスライム が 個体名:クロム を取得しました≫
≪個体名 エステル・エル・エーデルフェルト に加護:クロムの加護を付与しました≫
≪個体名 クラム の 加護:ワカメの加護(大)を 加護:クロムの加護 に変更しました≫
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
今かなり閲覧者様が増加しています!いつもご愛読ありがとうございます。
初執筆作品なのに本当にうれしいです。
そしてここでや~っと主人公の名前が決定しました!!58話で名前が決まる物語って……
で、こんな感じでエステルに加護が付きました!想像できた方はいらっしゃったでしょうか?




