55話 - 弓ってお金かかるよね?
さて……とりあえずこっからエステルの特訓だが……
『なにしたいの?』
「トレーニングではないのですか?」
なにしていいかわっかんねー。クラムとの時はもう生き抜くっていうことがベースになってくるからひたすら魔法つかったり死にかけたり超重量トレーニングとかめちゃくちゃな特訓してたけど……
しかもクラムの場合僕の真似して覚えるって言うことがベースだったんだよね。
エステルに僕との共通点がなさすぎるな……
『トレーニングの補助はするけど……強くって例えば魔法使いたいとか……でも精霊魔法についてはよくわからんからなぁ……』
「他の魔法を使えているハイエルフは聞いたことがないので……どう覚えていいかもわからないですし……スライムさんはどう覚えているのです?」
≪パパはねー?そうぞ『はいはいクラムちゃーん。ちょっとストップね~』
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意思伝達
『クラムちょっと!言うの忘れてたけど神様関連のことはエステルには内緒!』
≪なんで~?≫
『僕らがいきなり神の加護もってるとかいったら怪しくて仕方ないよ!』
≪エステルはしんじてくれるよ~?≫
『それが問題!信じるだろうあの子なら!でもエステルとはおともだちって感じであそびたいでしょ?神様ってフレーズだすと多分それできなくなるとおもうよ?あとエステルが危ない。神様ってすごい人なのよ』
≪おともだちだよ~?かみさまだめなの~?≫
『まぁ難しいよね。神様のこと話したらもしバレた時に神様の恩恵にあず……うーん。むずいか。みんなに創造魔法ちょうだい!っていわれたり悪いやつに狙われたりするかもしれないってことかな?クラムの”豊穣”はだれにも使えないでしょ?それちょうだい!俺の為に使え!とか嫌いな魔物に言われたら嫌でしょ?エステルがエルフにそう言われちゃうかもしれないってことだよ』
≪きらいなまものといっしょやだあ~。パパならいいけど~。≫
『そうそう。あと神様の加護持ってない子は同じ特訓しても同じようには強くなれないからね~。創造して魔法が使える!とは多分ならないと思うんだよ。なったとしてもやばい。たぶんエルフと拗れる。そのやり方おしえろー!って閉じ込められちゃうかもね。』
≪うわ~いやなやつだね~。わかった!いわない~!ありがとパパ~≫
『おけ!さすがクラム!理解がはやい!そんな感じで行こう!』
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「どうしました?」
『ああ、ちょっとクラムが僕たちがやった特殊な訓練法で魔法おぼえたら?って言おうとしてたから無理だっていったの』
「そうなのですか?覚えられるならやってみたいのですが……」
『ほぅ。じゃあ……』
ここで後ろ向いてアイテムボックスをひらく。こそっとね。
『ここにあの狼ですら一撃で葬るであろう毒薬があるんだ。飲むかい?治してあげるから。これを毎朝飲んで僕は毒耐性を覚えたんだが?』
「や、やめときます……すごいのですねスライムさんは……」
ふっふっふ。何とかごまかせた……え!?
『はあ!?あのボス狼クラム猛毒でマジで一瞬で葬れたんじゃねーの!?』
≪ほんとだあ。クラムどくつかえたね~?わすれてたなぁ~≫
『あの苦労は一体なんのために……うぅ…』
「うふふ。楽しい方たちですね♪」
ほんとに忘れてたんだけど……。毒なるべく使わないようにずっと特訓してたから……
いいや。かっこいい技おぼえたし……。あーぁ。
『っつ~かんじで~魔物とおんなじトレーニングは出来ないわけっすよ~わかる~?』
「ちょっとやさぐれましたか…?」
『ごほん。いや、ちょっとあまりに衝撃すぎてね。まぁそういうわけでエステルの特訓にはつきあうんだけどエステル自身の能力を伸ばす方向じゃないと難しいんだよ。魔法類は人の勉強方法しらないしね。ちなみに精霊魔法はどうやってつかってるの?』
「精霊魔法は使っている意識はなかったので……。ある日お花に水をあげていたら精霊さんがきてくれたんです。そこから一緒におみずをあげるようになりました。終わりです……」
『うん。僕にはどうしようもないわ。』
「精霊さんと交流を深めれば仲良くなれるよってくらいしか私にもわからないですね……」
『魔物とかは狩ったことないんでしょ?とりあえず弓使って魔物を狩る練習しようか。僕とクラムが支援するし。ただ…』
「ただ…?」
『寄生プレイしてもレベルはあがらないんだよ』
「寄生プレイ?」
『僕とクラムが倒すから見てる、とか僕とクラムが動かなくなるまで攻めるから最後一撃だけいれる。とかそういうこと。経験になんないでしょ?』
「それはそうですよね」
それができると思っている人が多いんだけどね。転生した民は。
『そうそう。だから……そうだなぁ。クラムにシールド張ってもらって攻撃は通らないようにするから自力で倒しきる。とかその辺りがまずは一番効率いいんじゃないかな?そのうちほんとに危ないとき以外はシールドも張らないしダメージも受けてもらう。最終的には1人で何もなく倒せるように。強くなりたいなら痛みはしっかり伴うとおもうよ?やるかい?終わったら回復は僕がするから』
「はい……こわいですが……このチャンスしかないのでがんばります……」
『あいよ~。まぁ無理はしなくていいさ。弓は?』
「訓練場に私がつくったものが置いてあります!お見せするのも恥ずかしいのですが……」
『じゃ、まぁそこ連れてってよ。集落内じゃないんでしょ?僕行って平気?』
「はい!私しか来ない所なので大丈夫です」
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特訓場は集落を裏手にまわったあぜ道から少し入ったところの脇の木陰にあった。
まぁここなら普通に生活していてくるようなところじゃないな。
おお……木の枝から紐で丸太がぶら下げてある……
小さいのから大きいのまで、高いところとか低いところとか様々だ。
丸太には弓矢が当たった後や外した傷跡がたくさんついている……。
いいねこのレトロな特訓場。
ずっとやってたんだなってことがここ見るだけでわかるな。
『これ自分でつくったの?』
「はい。お恥ずかしながら……」
『いや、すごいと思うけどね。本当にしっかり一人で練習してたんだね。これ見ただけで本気で特訓したいって言うのが伝わるよ。』
「はい!ありがとうございます♪」
『じゃあまずどれくらいの魔物と戦えそうか見たいし的打ってみてくれる?』
「はい…それでは……」
エステル作の弓を木の棒のような……
棒のような……矢で……矢……のような棒?いやただの枝じゃん。
『ちょっとまってくれるか……?』
「はい?」
『この弓矢…どうやってつくったの?』
「えっと……現物をみたことはなくて……物語の絵の真似をして……似ている形の枝を拾ってきて落ちているツタをまきつけました……矢は落ちていた枝です……はい。」
………全くしなりもないし張力なんか全く働かないでしょ。
ゆるゆるだ……枝拾って作ったのか……。削りだしたとかではなくて。
自作は素敵なことなんだけどね。
これめちゃくちゃ歪んでるし矢はほんとにただの枝!まっすぐですらない!その辺のやつ!
『いや……これひどいな……』
「すみません……私不器用なんです……」
『あ、ちがうちがう。ごめん。そういう意味じゃないんだよ。知らないで本の真似して作ったなら仕方ないよ。むしろよく頑張ってるなと。ただそうじゃなくてまっすぐ飛ばなくて当たり前っていうね。これで10メートルくらい離れてるここから狙って当ててたの?』
「はい。全部当たるわけではないですが……」
『ちゃんとした弓つかって打ったらすでにかなりうまいかもしれないぞそれ……』
「そうなのです…?10年くらいかかりましたが……」
『10年ずっとその弓でやってたの!?』
「あ、いや……その時に拾った枝で……」
『むしろそっちの方がすごいとおもうけどな……毎回バランスとかも変わるだろうし……』
地球なら既に無人島サバイバルできるんじゃないかこの子……
継続は力なりだよねほんと。
「どうしましょうか……」
『弓なら……武器つくれるわけではないけどこれよりはうまく作れるとは思う……でもなぁ。あとこの矢じゃ多分刺さらない。矢じりもないし棒だからね。打つ分用意しないといけないしコストかかるよね弓矢って。魔法でそれっぽく作ってもいいけど僕がいないと使えない弓練習しても1人になったら意味なくなるでしょ?買ったりは出来ないだろうし……』
「そうですね。武器の類は取り扱いは禁止なので交易はしていませんね……」
『とりあえずこの集落でレベル上げするならコストかからない武器考えるほうが建設的かなとおもうかな?だから……提案なんだけどちょっと別の武器つかってみない?弓練習してきたのに申し訳ないんだけどね……弓はまたその時がきたらやればいいとおもうよ。ちょっと現実的にこの環境で使うのに向いてない。こだわりある?』
「あ、いえ。読んでいた物語に好きな弓師がいただけなので!強くなれるなら他でも大丈夫です!」
『じゃあちょっと予定変更だけど武器探しからやろうか。』
「はい♪わかりました!」
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