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49話 - クラムがキレた

 今狼と牽制し合っている。膠着状態だ。

 敵サイドも普通に戦っても僕らには勝てないのにうっすら気付いてそう。


 正直、あいつらは強いけど倒すことは全然できると思う。

 ただ、倒せることと守れることはまた別の問題。

 あのハイエルフ、エステルは狼の火炎放射で一撃でやられてしまうだろう。


 エステルを見てみるとさっきの火炎放射で体が真っ赤だ。

 少し水膨れにもなっている。ミスったな……

 とっさに壁系の魔法をつかってしまった……


 シールドはドーム状にすれば熱気や冷気もかなり遮断してくれる。

 クラムがシールドを張ってくれて助かった……


『エステル、ちょっとそこでじっとしていてくれ』


 とりあえず……”ヒール”


「はぁ…はぁ……。回復した…?あの時のスライムさんですか…?」


『そうだ。ゆっくり話している暇がない!説明はまた後にしてくれ!』


「はい!わかりました!」


 僕の氷魔法や地魔法で囲って守ることもできなくはないが……

 地魔法は熱が伝わるだろうし氷はそのものの冷気にあの子が耐えられるとおもえない……


≪ふたりでたおす~?≫


『こいつら多分狩りに慣れてる。最初から前後に分かれてはさみ打ちしてきたしね。ふたりでかかると多分エステルが狙われる。申し訳ないんだけどエステルにシールドをかけっぱなしにしててもらえるか?であっちの弱い方を近接攻撃でなんとかしてみて!ボスが僕が何とか止めてみる!』


≪うん、いいよ~!りょうかーい≫


 属性を1つの魔法に複合することは出来るんだ。

 ただ別の魔法を複数使いながら戦うのはかなり難しい……


 スキルだとそれができるんだ。

 だから魔力感知しながら魔法を使うことは可能。

 ただシールドを使いながら別属性の魔法を使いまくることはまだできない。


 ちょっと今回はクラムに防御要因をメインにしてもらおう。


 いま同時に複数属性の魔法つかうの少しずつ練習してるんだけど……

 こんなことになるならソッチ優先にしておけばよかったな……


 その時、ボスの姿がぶれ、横からかなりの勢いで前足が迫ってきた!


 うお!”ストーンウォール”ッ!(ガンッ)


 あぶなッ!急加速した!?瞬足のスキル効果か!?


 横に回って強めの打撃を入れて弾き飛ばす。

 ボス狼がころがっていって木の幹に激突した!

 さすがに一撃で仕留められる程ではない様子だ。


(シュンッ)またボス狼の姿がぶれた!?


(ブンッ)おっと!こいつはやッ!!


 何とか躱せた……あっぶな!

 急加速するぞこいつ……スピードにスキルでバフがかかってんのか?

 スピード自体は僕の方が早いけど、全然数値通りの速度じゃない!


 クラムもフレイムウルフの方に向かった。

≪そこどいてっ!≫


 クラムが器用に体を伸ばしてフレイムウルフを打撃で吹っ飛ばした!

 魔法に集中しながらだから動きがいつもより少し鈍い。


 AOOOOOOOOOOOOO!

(ゴオオオォォォ)


 離れたところからさっきの火炎放射が!

 やば!あいつまたクラムとエステルの二人同時に狙ってる!

(ゴオオオォォォ)


「きゃあああああ」

 エステルの方はシールドに守られ、クラムは飛んで躱した。


『クラム!敵とエステルの直線状に立つな!まとめて攻撃されるぞ!』


≪わかったー!≫


 僕が向こうに気を取らながら戦っていると、一度後ろにボス狼が離れた。

 離れたボス狼の周りで火が矢の形をかたどっていく……

 それも10本程……!?


 それが別方向から全部同時に発射されたッ!

 弧を描きながらこっちに向かって飛んでくる……


 やばっ!!

 ”アイスウォール”ッ!”アイスウォールアイスウォールアイスウォール”……

(ボッボッボッ)


 え!?アイスウォール避けられた!

 なんだこれ!?ホーミングか!?操作してるのか!?

 ダメだ!全部止められない!


『ごめんクラム!そっちに何本か飛んだ!』


≪だいじょうぶ~!ほいっ≫


 クラムはまた飛んでかわした。

 スピードは特に速くない。大丈夫。僕らは余裕で躱せる。


(ボウッボウッ)「きゃっ」

 残り数本の火矢はエステルの周りのシールドにあたって弾けてなくなった。


 シールドつよい!ナイスだ!

 それにしてもやっぱこいつらエステル狙ってくるぞ……

 くっそ……うぜぇ……


 複数掃射される魔法や範囲魔法の対処は難しいし……

 やっぱり僕もクラムも戦闘経験が足りなさすぎる……


 一方狼の方はめちゃくちゃ狩り慣れてるし火魔法の扱いがうまい。

 フレイムウルフの方も俊敏スキルをつかっているのかクラムの打撃を避けているし近接戦闘もうまい。


≪にげるなあああああ≫(ブンッブンッ)


 クラムはシールドを張りながらエステルの方にも意識をかたむけてるし……

 フレイムウルフは躱すほうに重点をおきながら戦闘しているようだ。


 ・

 ・

 ・


 しばらく乱打戦になっている。

 フレイムウルフはちょこちょこ離れてはエステルに向けて火炎放射してちょっかいをかける。

 ボス狼は僕が魔法を打つと躱し、離れてクラムの方にも攻撃を仕掛ける。


 クラムがずっとシールドを頑張ってくれてるからエステルにダメージはないがエステルも相当精神的にきているようだ……シールド透明だしめちゃくちゃ怖いよな……。


 魔法が使える隙を与えると別方向に攻撃をされてしまう。

 意識をうまく散らしながら戦われている感じだ……。

 チームワークがめちゃくちゃうまい!


≪もぉぉぉぉ!こいつらきらい~!!≫


 クラムがこの上なくイライラしている。


 僕の方もバレット系の魔法を打ったりしているが直線的な魔法だと躱され当たらない……

 バレット系は弾丸を作っているのが見られるので貯めれば貯める程よけられやすくなってしまう。


 僕も相当イライラしている。

 おちつけぇ……冷静にだ……。精神耐性はあげたくないんだよ。

 あいつ(俺)多分めちゃくちゃする気がするから……


 ただ、自力の差がかなりある分相手のHPをじわじわ削り少しずつ弱ってきてはいる。


 集中できないからなかなか倒しきれないな。

 先に雑魚のほうを倒そう!


『クラム!そっち攻撃する!』


 ”ロックバレット”ッ!


 かわされた!くそ!


 ”ストーンバレット”ッ!”ロックバレット”ッ!!”アイスバレット”ッ!!!


 もおおおおおお!!当たらないっ!!

 威力が弱い魔法を使うほうが発動は早いし、かといって威力がなさ過ぎても遅くてダメだ。

 どっちみち避けられる!


 色々混ぜながら使ってはいるんだけど……早いな……くそっ。

 最悪森がちょっと削れてももう仕方ないけどクラムとエステルを巻き込む魔法をつかえない……

 だから広範囲魔法もきつい!


 しかもそれ多分わかっててつかず離れず攻撃してくるんだよ……

 あいつら戦い慣れすぎだろ!


『クラム!そっちのやつ滑らせるから動きとめて!』


≪りょうかーい!≫


 ”アイスフィールド”ッ!

(パキパキパキ)


 Woof!!(ツルッ)


 よっしゃ!!結構なスピードで動いていたから滑った!

 するとクラムがとびかかってフレイムウルフに体を巻き付けた。

 ナイス!組みつかれたらクラムの力には勝てないよな!


≪パパー!ロックバレットうって~!クラムよけるから!≫


 おっけー!クラムなら全然余裕で避けるだろ!

 いくぞっ!”ロックバレット”ーッ!!


≪じゃあね!ばいばーい!≫


 クラムがフレイムウルフから絡みついた体を外して僕の方向に突き飛ばした!

(バアアァァァァァン)


≪オリジンスライムのレベルが上がりました≫

≪オリジンスライムのレベルが上がりました≫


 フレイムウルフの上半身ははじけ飛んだ。


 やっと一体倒せた……

 はぁぁぁ~。めちゃくちゃつかれた。

 そしてめちゃくちゃイライラしたわ……


≪やっと倒せたあ……クラムもう疲れたよお~……ずっとにげるんだもんあいつ~……≫


 よし、あとはボスだけか。1体なら相手にならんぞ。


『後1体だな。気を抜かずに行こう』


 その時、大きな魔力がボス狼に集りだした。


 AOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!

(ブオオオオォォォォォ)


『なんだ!?超巨大な火球か!?』


≪………≫


 直径10メートルに及ぶ火球がボス狼の上に作り上げられている。

 どんどん大きさを増している……


 1匹倒したから全力で魔法使ってきやがった!

 最後の力振り絞った全力の火炎魔法かよ……ってか


『おい!森でそんな魔法つかうなよ!!火事になるだろうが!!』


 周りの木々が巻き込まれて炎上しだした!


 くっそ……どうするか……

 とりあえずクラムに全力でシールドを張ってもらえれば……


≪キャハハハハハハハ!!!≫


 え……クラムどしたん………?

 突如クラムが爆笑しだした。


≪知ってる~?大きい魔法ムダにつかうやつってバカなんだよ~??≫


 あ。これ前おしえたやつ……


≪クラムたちちっちゃいのにそんな魔法使ってもイミないよ~??そんな長い時間かけて魔法つくってたらクラムにげちゃうし~!ば~かば~か!≫


 相当イラついてたなクラム……。ってかもうキレてるか……


『クラム!僕ら全員入るようにシールド全力で張って!あいつ倒しても多分火球消えないから!クラムの全力シールドならあの魔法にも耐えられる!僕も念の為外側に氷魔法つかうから!頼む!』


 魔力の感じクラムのシールドを貫通する威力はなさそうだ。

 かなり大きな火球だけどパワーが拡散してしまっているから威力面では全然耐えられる!


≪だいじょぶ~クラムにまかせて~≫


 そういってエステルのシールドをといた。


『え?』


 ”ぷちぷちさいくろん~”


 クラムさんんんんん!?それは………

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