41話 - 背負うんだ…
よし、とりあえず落ち着いてステータスに触れていこうか。
とは言え今回は簡単かも。
ざっと見た感じ僕もクラムも基礎ステータスはたぶん1000くらいだと思う。
これが強いのか弱いのかはわかんないけど。
でお互いの今までの種族値や努力値がそれぞれに加算されている感じかな?
僕が魔力敏捷よりにすごい尖ってる。クラムは防御やパワーも伸びて僕よりは平均的だね。
でもクラムも他の魔物にくらべたらかなり魔力高いはずだけどね。
僕が特化型すぎるんだよ……。特化型戦闘しにくいなぁ……
硬化と怪力さがっちゃったしね。
(スライムは何かに突出している魔物じゃないからのぉ。良くも悪くもお主らの得手不得手がそのままでとるんじゃの。)
やっぱりそうか。
お互いその他のスキルや魔法は全体的に伸びて、
「吸収」ってスキルがスライムの種族スキルかな?
それを僕もクラムも新しく覚えてるね。
で…僕の使用不可スキルに分裂って入ってる……
分裂できるの…?これ要確認だな。
自分が増えるのちょっと怖いぞ……
ちなみにクラムにはないんだよね……
そして僕が空間属性を覚えたっぽい。
この前アイテムボックスミスったからかな?
空間感知がMAXになったからかな?
感知系スキルまとめてくれたみたいだね!助かる!
それと「スキル合成」ってギフト手に入ってるみたい。
これ創造魔法の力かな?
いろいろ組み合わせできるかも!いらないスキルあったら考えてみよう。
で問題のクラムさん……
精霊になってるんですけど……
『クラム~?体に違和感ないの?』
≪ぐにぐにしておもしろいよ~≫
『それならいいけどねぇ。あとお空飛べるようになったの?』
≪うん~!ふわふわ~!たのしー!≫
飛ぶというか浮いてる?「浮遊」スキルだもんね?
これは精霊だからなのかな?
それとも水の中飛び回ってた(?)からかな?
デメテル様、加護与えても自然が育ちやすくなるだけみたいなこと言ってたじゃん……
(ふむ。加護もあるじゃろうが、元々自然との相性がかなり良かったところに魔力生命体のスライムの進化系譜が入ったことも関係ありそうじゃな。我と近い存在になった感じかのぉ。特にデメリットはないから心配しなくてもよいぞ。むしろ寿命がのびたんじゃないかのぉ?)
『そうなんだ……それはうれしいですね!安心しました。』
(それにしてもお主もクラムも聞いたことの無いような種族じゃのぉ)
『僕普通にスライムに寄生しただけなんですけどね……。前のカニの時はそのままの種族だったはずなんですけど……』
(いや、全然普通ではなかったの。ほれ、湖の中を見てみるのじゃ)
シーン。
『…あれ?スライムは?』
(全部お主と融合してしまったのぉ……)
え……?
(おぬしが膨大な魔力を出すからじゃろ……。100匹以上がこぞってお主と融合しようとしていたぞ。みんないなくなってしまったのぉ……。スライムは我がここにいる限りまた増えるじゃろうから気にせずともよいのじゃが……。まぁそういうわけで全く普通ではなかったのじゃ。)
『なるほど…それで原初のスライムみたいな生物に進化してるんですね…。まぁ結果オーライですかねぇ。せっかくスライムになったから水龍さんの加護もらえたら嬉しかったんですけどね!』
’(これは与えようと思って与えられるもんでもないからの。残念じゃったのぉ~はっはっは)
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『さて、長らくお邪魔しちゃいましたね。そろそろ出発します』
(おぉ。そうか。さみしくなるのぉ)
『ぼくも…さみしいです。せっかくお話できる方ができたのに……。あの…、よかったら水龍さんも一緒にいきませんか?』
’(いや、うれしい申し出じゃが……遠慮しておこうかの。我が一緒に行くとお主らは少なからず影響を受けてしまうじゃろ?例えば我が「やめた方がいいぞ」といったことをお主はきっとやろうとはしないのじゃ。お主は今この世でどう生きていこうか悩んでおる。そこに我が関与すべきではないと思うのじゃよ)
『なるほど……』
(何も知らないで旅するのもよいことなのじゃよ。またお主がしっかり自分の行く末を定めてその時に我のことを覚えておったらここへきてもう一度誘っておくれ。我もお主のことは気に入ったしのぉ。お主の短い生の間くらい一緒に過ごしてやろうかの)
『わかりました!じゃあ名残おしいけど出発します!いろいろお世話になりました!また絶対迎えにきますね!クラムいくよー!』
≪まって~!殻せおえないよお~≫
『(……)』
『やっぱそれもってくの……?』
≪たからものなのー!≫
『アイテムボックスにいれとこうか……?』
≪やだー!せおうのー!!≫
……って言われましてもね。
『ちょっと待ってね?』
えーっと、丈夫そうなツタあるかな……。
(我の髭でもつかうか…?ちょっとやそっとの魔法じゃビクともせんと思うが。また生えてくるしよいぞ?)
『やった!助かります~!』
それから数時間。クラムの為に必死に編んだ。
水龍さんがミスリルを少し持っていたようで
ミスリルで金具を作って…編んで……
よし。なんかランドセルみたいになったな。
『これでいい?』
≪かわいいー!!ありがとおおお!≫
スライムになっても殻背負うんだクラム……
そんな魔物昔ゲームで見たことある気がするな……
まぁかわいいからいいけどね。
動きにくくないのかな…
あ、そうだ!
スキル作成できるよねぼく?
僕のアイテムボックスつけてあげられないかな。
『クラム殻ちょっと貸して?』
んんー、アイテムボックスを付与……
僕と同じ空間を共有……
≪スキル【付与】を取得しました≫
おお!できた!!
『はい。この殻カバンにしたからここにクラムの宝物とかご飯いれなー?』
≪やったああ!ありがとおおお≫
さて……
≪またねー!ばいばーい≫
挨拶のタイミングミスったな(笑)
『ありがとうございました!ではまた!』
’(またの。お主もクラムも達者で暮らせよ)
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(もっと強くなりたい、か。他にしたいことがないといっておったから余計なことを言わんようにしたがの。我は老龍としてはそんなに力が強い方ではないが……もう我と強さがほとんどかわらんのじゃよ……。鑑定を阻害しわからないようにしたがの。かたや半精霊じゃろ?我と同等の存在に加護なんか与えられるわけがないのぉ)
≪ちょっといいかしら?≫
(ん?お主は……あぁ。おそらく創造神じゃろう?)
≪自称してないんですけどね。まぁそうね。あの子に加護を与えたものよ。あの子の肉体をあなたが取り入れたからつなぐことができたの。助かったわ≫
(はっはっは。期待通りじゃの。)
≪あら?じゃあ私が話しかけることをわかっていたのかしら?≫
(そんなこともあるかもしれないと思っておった程度じゃがの。で、要件はあやつの精神のことかの?)
≪さすが老龍。年の功ね。そう、あの子の精神はかなり不安定なのよ。前世の話を聞いたとおもうけれどちょっと特殊な経緯で転生してきてね……≫
(神に年の功と言われるのもどうかと思うんじゃが…。お主のほうが年じゃろうに……)
≪うるさいわね!誰が年よ!≫
(まぁ話は聞いておるぞ。で、我に何を望む?)
≪何も望まないわ。ただ仲良くしてあげてねっていいたかっただけよ。あなたに特に何かしてほしいわけじゃないわ。ただもしあの子があなたを頼って相談をしてきたりしたらよければ話を聞いてあげてくれるとうれしいわ。一応加護主ですからね。親心みたいなものよ≫
(そうか。承ったぞ。我もあやつは気に入っておるでのぉ。相談役くらいにはなれるとよいの。あやつは良くも悪くも素直すぎて少し危うい部分があるのぉ…。まぁすべてはあやつ次第じゃが。)
≪ありがとうね。感謝するわ。いいわねあなた。私とスタンスが似ててとても話しやすいわ。≫
(年の功かの?)
≪やかましいわ!!≫
(長生きすると面白い事があるもんじゃのぉ。はっはっは)
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『さみしくなるなぁ~』
≪りゅうさんやさしかったね~≫
『そうだなぁ。おばあちゃんみたいだったなぁ』
≪おばあちゃんってなに~?≫
『パパのママみたいなかんじだよ~。クラムのひいばあちゃんかな~?お!外に出るぞ!』
≪まぶしい~!そとだあああ!≫
『長かったなあ…海底生活…。やっと地上だ……感慨深い…うう……大変だった……』
洞窟を出た先には……
水平線まで続く海岸。
そして振り返ると見渡す限りの森が広がっていた。
ここ大陸の端っこだって言ってたもんな。
ここから魔の森って言われるところにはいるんだっけ。
≪すごい緑だね~あれなに~?≫
『あれは、木っていうんだぞ?木がいっぱいで森っていうんだ』
≪おーすごいー!じゃあ森にいこー!≫
『まだダメだな。』
≪え~!なんで~?≫
『ここからしばらくずーーーっと森だぞ?魚獲っていかなくていいの?塩もここでしかとれないよ?』
≪やだー!魚食べたい~!≫
『そうでしょ?じゃあしばらく漁だな。準備は万端にしておかないとな。』
≪ちぇ~。わかった~≫
アイテムボックス付与は主人公と同じ空間の共有をしています。
同じ魔法の出口をもう一つ作った感じです。新たに魔法を唱えたわけではありません。
ソフィア様も言ってましたがこの世界ではアイテムボックスを新たにつくりだすことはできません。クラム(主人公の仲間)だけの特別ですね。