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37話 - スライムの地底湖

……飽きた。

あれから3日程、何もない洞窟をただひたすら歩いている。


周りを警戒しながらゆっくり進んではいるけど今の僕の歩くスピードは人間と大差ないと思うんだよね。

むしろ体力あるしちょっと早いかもしれない。


3日でしょ?たぶん数100kmは進んだと思うけど……


暗視を手に入れたから視界ははっきりしているけど、元人間にこの環境はつらい……

無音で暗闇に放り込まれたら人間は精神に異常をきたすんだよ?


たまにコウモリが飛び出してきたりダイオウグソクムシのような気持ち悪い虫がその辺をうごめいている以外にこれといったことはなにもない。


しかもコウモリは急に飛び出してくるもんだから感知でなんとなくわかっていてもその度にビクッとする。

腹立つ……ちょっと精神耐性あげたもん。


あれからヴァンパイアは出てこなかった。

むしろちょっと出てきてほしいまである。

世の中都合よくいかないもんだ。


クラムと一緒でよかった。

とは言え、クラムもかなり飽きているようでだいたい僕の背中で寝てるけど……



……

そういえば、ふと思い出したことがあるんだ。

時間が有り余っているのでいろんな考えが頭をよぎってくるんだけど、


「カニ化現象」って聞いたことはあるだろうか?

水中の甲殻類はいずれカニに似た形態に収束するという話だ。


水中で生きていく甲殻類はカニの形が最良という説がある。

それがこの世界にも適応されるなら僕やクラムの今の姿ってほぼ甲殻類の頂点ってことになるわけだ。


このままの進化系統では大幅なパワーアップを見込むことはできないかもしれない……

前の進化の時サソリが進化先にでてきてたけど甲殻類続行するのもなぁ……


それに加え僕もクラムもこの姿のままかなりのパワーアップをしてしまった。

たぶん今この体と強さが全然あってない。

コウモリを倒してるだけでガンガンレベルがあがるんだ……


そのおかげでクラムのレベルがもうすぐいっぱいになっちゃう。

経験値もったいないし今は主に僕が敵倒してるんだけどその僕ももうすぐいっぱい。


今僕とクラムのステータスはお互い最大5000付近。

僕のを例に出すけど……


種族:グリムジェイドクラブ

加護:創造神ソフィアの加護(小)

・LV27/30:経験値 121 / 350

・HP:621(96↑)

・MP:12270 / 12270(4020↑)

・力:750(130↑)

・防御:946(134↑)

・敏捷:4025(785↑)

・器用:3892(1574↑)

・知能:5274(2212↑)

・魅力:865(245↑)

・幸運:480(130↑)


結構伸びていると思うでしょ?でも僕レベル27上げたんだよ?

それに書いてないけどスキルがレベルアップではもう全く伸びてない。

知能系統は伸びるけど体関連の能力の伸びがわるいの。


ね?数値見ても肉体の限界をひしひしと感じる。

進化先に甲殻類の幻獣みたいやつもいたしもうこの姿は限界なんだろう。

ほぼ同じ強さのクラムもそうだろうと思う。


まぁカニ極めたくねぇしなあ~

そろそろ次の寄生先を考えた方がいいかもしれないな。


その為にもここから早く脱出しなくては。

寄生先どころか生物がほとんどいないからね。


このままでは寄生先はコウモリ一択になってしまう。

そこからヴァンパイア目指すのもまぁ…なしではないけど…

なんかしっくりこないんだよなぁ……



洞窟生活5日目。


そろそろアイテムボックス内の魚も尽きてきた。

たまに大量に襲ってくるコウモリはあるけど魚もっと取っておけばよかったなぁ。

こんな長い洞窟だと思わないもん……


でもさっきから少し明るくなってきてる気がするんだよ!

地上が少し近いかもしれない!



洞窟生活7日目。


かなり明るくなった。

外から光が入ってきているのかもしれない。


≪んー?あっちにおっきな水たまりがあるよ~?≫


ん……?

あれは…地底湖か?


(ゴソゴソ…)


≪なんかいるよ!はやく!逃げちゃう!≫


そこには半透明の丸い物体が……

水と同化してよく見ないとそこにいることがわからない。

小さく丸い水滴のような生き物が存在した。


『ほんとに!?ちょっとまって!』


“鑑定”ッ


種族:スライム

加護:水龍の加護


・LV3/80:経験値 0/15

・HP:25/25

・MP:30/30

・力:5

・防御:12

・敏捷:5

・器用:15

・知能:20

・魅力:16

・幸運:24


【魔法】

・水属性LV3・氷属性LV2


【スキル】

・治癒 LV2 ・物理耐性 LV2

・分裂 LV1 ・吸収 LV2


これは!スライム!?

魔物の原点!この世界にもいた!

感動した……そして久しぶりに他の生き物をみれた……


特に危機感知働いてないな?

敵対心はないのか……?


この世界のスライムってどんな生態だろう?

”詳細鑑定”!


---------------

種族:スライム

様々な可能性を秘めた生物の原点と言われる魔力生命体。

あらゆる生命の母、もしくは精霊の子等と呼ばれることもある。

環境に適応する能力が非常に高く様々な場所で生活することが可能。

少し甘く好んで食される。自らの体を分裂させて繁殖する。

生存本能しか持っていない為特に危険はないが、弱く他の生物の糧になりやすい。

最近ではあまりみられることが少なくなってきた為絶滅危惧種になっている。

尚、この個体は特殊個体。

---------------


この子飼いたい。ぷにぷにしててかわいい……


ってか絶滅危惧種なんだって!

この世界ではスライム珍しいんだ……会えてよかった。

こいつらすぐやられちゃいそうだしなぁ……ちょっとおいしいんだって。


……でもかわいいしわざわざこの子食べなくていいかな。

水龍の加護とかもってるし……罰当たりそうだ。

レベル上限80は加護の力か?

この世界のスライムはめちゃくちゃ潜在能力秘めてるのかな?


それにしてもやっぱりドラゴンいたんだ!!いつか会えるかなぁ……


でもちょっと今はまだ怖いからいいかな……

いいやつとも限らないし食われちゃったらたまったもんじゃない……


≪こっちおいで~≫


『あ~行っちゃったね。でもあっちにめちゃくちゃいるよ?』


≪ほんとだ~!すご~い!≫


環境がいいからか、敵がこの辺にいないからかこの地底湖はスライムの繁殖地になっているようだ。


『今日はここで野宿させてもらおっか』



今日の晩御飯は魚の塩焼きだ。

まぁだいたい魚の塩焼きか貝の塩焼きか海藻の塩サラダだけど。

最近コウモリの丸焼きがレパートリーにはいった。


虫は…ちょっと食べたくない。

多分この体だと食べられるんだろうけど……


ちなみにここに来る前にアイテムボックスに海水から塩をたくさん作ってきていれている。

調味料は大切だ。


今はクラムも味のある食事じゃないと嫌なようでいろんなものに塩かけて食べてる。

たまに僕がつくった毒もかける。

それはちょっとどうかと思うが……


他にも調味料見つけられればいいなぁ。

他にもいろいろ食べさせてあげたい。


『クラム~ご飯だよ~。今日の分でお魚はおしまいだなぁ』


≪もっととってくればよかったねぇ…≫


『僕はいいからクラムが食べな?きっともうすぐお外出られるよ』


≪はやくお外でたい~!あきた~≫


……するとたくさんのスライムがこっちに近づいてきた。


≪これ食べたいの~?いいよ~?≫


『もうそれしか残ってないけどいいの?』


≪うん~。いつも食べてるし大丈夫~。コウモリ焼いて~≫


『クラムは優しいなぁ』


ご飯も食べ終わったし魔力消費して寝るか。


『クラム~こっちおいで~。クリーンかけてあげるよ~』


あれから毎日全力クリーンで魔力を消費している。

この魔法は魔力消費にうってつけだ。


『いくぞ~、んんんんんんんんn』


(なんだ?この膨大な魔力は…)

(ザバーッ)


頭の中に声が響いてきた……

とても落ち着いた女性のような声色をしている……


≪わぁ~っ≫


『クラム危ないッ』


いそいでクラムを背負って壁まで後退した。

湖の中から全長20m以上に至る長く白くとても美しい、なんとも神々しい生き物が現れた…


なんだなんだ!?こいつは……ドラゴンか!?

リヴァイアサンか!?


(貴公らは……人か?それにしては随分矮小な姿をしておるのだが……)


えっと……

多分カニとヤドカリです……


とりあえず……

”鑑定”ッ


(バチンッ)


弾かれた!?


(ふむ。それは少しばかり行儀がわるいのではないか?特に敵愾心は感じんが……貴公らは我と敵対するのか?)


ブンブンブンブン!滅相もねぇ!!

こんな見るからに生命を極めし姿のお方にだれが喧嘩売るもんですか!


……どうやって話かければいいんだろう。


(おお、念話をつかえんのか。頭の中で我に語りかけてみるとよいぞ)


『あ、あー。聞こえますか?初めまして……』


(やはり知性をもっておったのだのぉ。会話なんぞ数百年ぶりかの。もう一度問うが我と敵対はしないのであろう?)


『もちろんです!ただの通りがかりです!鑑定は癖になってて……失礼したのであればすみませんでした。えっと……あなたはドラゴンですか?』


(ドラゴンとは少し違うのぉ。水龍じゃな。では少し付き合え。暇を持て余しておるのじゃ)


まさかこんなところで水龍と出くわすとは……

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