表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

312/325

308話 - 神様からの贈り物

『”光線(レイ)”』ピュピュピュピュピュピュピュン。


 GYA……


 やっぱ最速攻撃はこれが1番だな。


 実はアンと戦う前、90階層で訓練してた時……。

 極光(ルミナス)を創造したときだ。

 僕はとうとう……


 転生してからずっと待望していた憧れのビームが出せるようになったのだ!

 でも残念ながら使い所はなかった……。

 開発してるのに使い所無い魔法多すぎだよ……。


 この魔法の特徴は、とりあえず早い。

 打った瞬間に着弾してる。

 だって光だもん。


 ただ、弾丸(バレット)系の方が威力は高いんじゃないかな?

 その代わり弾丸(バレット)系は攻撃力を出そうと思うとちょっと溜めが居るけどね。

 回転力をあげたりスピードを出すイメージがしっかり必要なんだ。


 それに比べ”光線(レイ)”は溜めとか要らない!

 すっごく使いやすい!

 連打も出来るし便利魔法だね!


 僕の周りから光のビームが大量に出ていく様がかっこいい……。

 と、思う。

 僕1人しかいないから見られないけどね。


 みんなには教えたよ?

 でもこれは使えないみたいなんだよねぇ。

 意味わからんって。

 イメージって難しいよね。


 今までもちょいちょい光線の練習はしてた。

 ただ極光(ルミナス)を覚えるまでは光の線が出るだけだったんだよね。

 要するにただの懐中電灯だ。


 でも極光(ルミナス)って僕の創造魔法だもん。

 ビームとかアニメの定番じゃん?

 何回も見たことあるもん。


 僕は今まで地球の物理法則のイメージで魔法を作ってた。

 でもここは地球じゃない。

 クラマやエステルの闇魔法はがっつり質量があるんだもん。


 いっそ、光を想像して魔法を使うことを止めて、アニメを想像して創造魔法を考えることにしたんだ。

 じゃあビーム出せたの。


 ただ、あくまでこれは創造魔法だ。

 ただの光属性を込めるイメージじゃできないね。


 魔法を完全に創造するのはかなり難しい。

 でもがっつりイメージがあれば僕の能力分の攻撃力は出せるみたいだ。


 多分きっと、これが本当の創造魔法なんだろう。

 なんかしっくり来たんだよね。


 今までは他の魔法の簡略化や利用をしてただけだと思うんだ。

 蒼氷や白炎、その他殆どの魔法は自然現象を強力に起こしてたって感じだからね。


 自然の理に縛られることなく、僕がしっかり創造して作っちゃうって感じだ。

 そう考えると僕が創造の力をしっかり使ったのはスマホくらいのもんかもしれないなぁ。


 ただ、光線(レイ)はあくまで極細ビームだからそこまで攻撃力があるって訳でもない。

 貫通力は高いけどね。


 もっと太くも出来るけどそこまで必要を感じないな。

 早さだけで充分だ。


 ってか……


『風竜雑魚だなぁ……。クラマならこいつなんて即殺できるんじゃなかろうか……』


 昨晩僕は不安で不安で仕方なくて夜遅くまでずっと体を動かしてた。

 で、今は早朝。

 不安で眼が覚めちゃった。


 せっかくだし、早起きしたらもちろん特訓だ。

 そろそろ100体セットのトカゲは全然倒せるようになったから新しい魔物にチャレンジしてみてるんだよね。


 出来るだけ魔素を集中させる為にお得セット魔物は使わない。

 で、実験をする為に69階層に来たんだ。


 ワイバーンやウィンドホークやハーピーは居ない。

 もう50階層より下の魔物は全部消してるからね。


 そして全DPをつぎ込んで50匹の風竜を相手にしてみてたって訳だね。

 せっかくならクラマが訓練に使いたいって言ってた風竜との戦闘実験だ。


 僕の高所恐怖症はすっかりなくなったなぁ。

 今この階層に来ても特に何ともないや。


 風竜は今まで見た溶岩竜やドラゴレより小さめ。

 とは言え15mくらいはあるけどね。

 そしてスマートな体形をしている。

 竜の中では小さいとは言えワイバーンよりかなり大きいし攻撃力も高いのではなかろうか、多分。


 特徴はクラマが言ってた通りずっと飛んでる感じだ。

 延々と遠距離から風のブレスや風の刃っぽい魔法を打ってくるの。


『だから何って感じだ……。ただの的だよあんなの……』


 訓練にならねぇ……。

 風竜の風魔法は言う程早くもない。

 全部躱せるし躱す必要もないし魔法でかき消せるしさ……。


 更に15mあるんだよ!?

 スピードも捉えられない程早くもない!

 じゃあ僕の視界に入った瞬間ビームでハチの巣になるだけだよ……。


 クラマは風竜はずる賢いって言ってたけどそれを実感するまで戦闘が続かないよ……。

 強いて言えばずっと高い所とんでたり裏に回ろうとしてたんだろうか……。


 意味無いけどね。

 僕の今日の練習はビームだし。

 ってか弾丸系(バレット)でも全然倒せるよ。


 あぁ、他の竜の後ろから攻撃してきてたやつもいたかな?

 ってか他の竜もろとも僕に魔法打ってきたやつもいたなぁ。

 魔物ごとに性格ってあるのかもしれないね。

 どっちみち関係ないけどね。


 訓練の魔物はしっかり考えないとダメかもしれない。

 僕って今魔物の強さのカスタムができるんだよ?

 って事はだ。


 正直トカゲの方が風竜より厄介なんだよね。

 トカゲ隕石の方がよっぽど強いよ。

 じゃあ総合的にあいつ飛んでるだけのただの的じゃん……。


 案外スライムとかを爆裂に強くしたらそっちの方が強いかもしれないなぁ。

 まぁスライムはお得パックだから100体以下に出来ないんだけどね。


『まぁ一応レベルは上がるんだよなぁ。ステータス上はトカゲより強いし……』


 今日はまだみんなは帰ってきていない。

 帰ってくる時は連絡があるはずだ。


 もうちょっと訓練して行こっと。

 次は30体くらいにしよっかなぁ。


 ・

 ・

 ・


 もう夕方だ。

 一旦家に帰ってきた。


 みんな全然帰って来ないなぁ……。

 今日はエデンで過ごすんだろうか……。


 連絡してみよっかなぁ……。

 そう言えば朝から訓練してて全くスマホ見てなかった。

 ってか気が散ったら危ないかもしれないからサイレントモードにしてたな。

 結局風竜全然強くなかったんだけどね……。


 ただ、ステータスが僕より上になってちょっと危ないから20体以下にするのはやめておいた。

 ちゃんとステータスが追い付いたらそれ以下に減らしてみようと思う。


 クラマならまだ100体くらいかな?

 ってかDP全部つぎ込む必要はないんだけどね。


 とりあえず一旦休憩しよっと。

 みんなから連絡来てるかもしれないな?


『”スマホ”ッ……。なんだなんだ!?』


 メール通知53件!?


 えっと……。


 ……なんだこれ。

 ハイエルフさん達からめっちゃ連絡入ってる……。

 内容は……っと……。


 がんばります?

 もっと強くなります。

 クロムさんに安心してもらえるように?


 何の話だ?

 昨日の新種族の件かなぁ。

 エルンさんからも連絡来てる。

 皆がクロムくんに心配をかけないようにしっかり訓練に励んでもらうって書いてるし多分そうなのかな?


 ま、まぁいいや。

 ありがとう、無理せずにがんばって。

 ってみんなに返事すればいいかなぁ。


 あ、王様とリトさんからも来てる。

 ……なんだよ。

 俺達はずっと親友だからな!って……。

 うれしいけど急に何!?


 キャシーもだ。

 私達はずっと側にいるからね?

 ありがとう。頼りにしてるよ。

 って返事しようかな。


 スチュワードさんはあまり思い詰めないように……か。

 だから何を??

 ハイエルフさん達の件の話??


 ベルに至っては私は死なん!とか書いてるし。

 竜人は不老不死じゃないんじゃなかったの?

 どゆこと??


『何の話なん!?僕これに全部返事するの!?53件だよ!?何があったの!?』


 ……ってか家族の皆からは連絡ないのか。

 まぁエデンで色々やってるのかなぁ。


 みんなに返事書きながらアンのエネルギー稼ぎにトカゲ倒すか……。


 ・

 ・

 ・


 結局またいつものトカゲ階層にやってきた。

 でも僕はエリア外から射撃で倒したりはしない。


 さすがにもうトレーニングにならないからね。

 せっかくだし転移魔法の練習しよっと。


 もう転移はずっとやってるけど少しでも消費MPが落ちたらありがたいしね。


 今日はトカゲ隕石を100体分転移で全部躱しながら1体1体を背後から気付かれずに単体魔法で即殺する練習かなぁ。


 さすがにまだ瞬間転移(ワープ)使いまくるとMP枯渇するんだよね。

 もっとMP増やさないと……。


 普通の魔法を使ってる分にはMPは枯渇しない。

 魔力急速回復で補える。

 でも長距離転移をしようと思うとMPの最大値を増やすことが必要なんだよね……。


 だから結局MPを増やすためにもっと早く回復して欲しいんだ。

 MPは使えば使う程伸びるからね。

 魔力急速回復の上は覚えられないんだろうかなぁ。


 ってかエデンまで転移するのに計算上70億くらいのMPが必要って話をしてたけどさ。

 ハイエルフさんがどこに居ても助けに行けるようにするならそれどころの騒ぎじゃないよなぁ。

 僕大丈夫なんだろうか……。

 不安だ……。


 みんな帰ってきてくれないかなぁ……。

 みんなに狙ってもらう方が訓練の効率良いんだよ。

 トカゲの攻撃はもう避けられるんだよねぇ……。


 シュシュシュシュシュ。


 今も音うるさいから耳のボリューム下げてずっと瞬間転移で避けっぱなしっだし。

 もう考え事しながらでも避けれちゃうんだよ。


 うーん。

 ちょっとマンネリだなぁ。

 あいつらランダムに出現するから遠いんだよね。

 もっと僕に近い所で僕のこと狙ってよ……。


 あ。そうだ。

 これも思いついてたんだった。

 距離は……1kmを50mくらいでいいかな?


『は~い。みんな集合~。”界縮レルムコンプレッション”』


 シュン。


 おお、出来た。

 これは僕の周りの空間を圧縮して距離を潰す魔法だ。


 一気にトカゲが僕に迫ってきた。

 僕の周り50mはトカゲでギュウギュウ詰めだ。


『”光線(レイ)”』ピュピュピュピュピュ。


 おぉ。トカゲの固い殻でも貫けるな。

 さすがの貫通力だ。


 界縮のイメージはソフィア様の魔法なんだ。

 ソフィア様が家の空間操作してる時に”出来るかも知れないわね?”って言ってたじゃん。


 じゃあ出来るんでしょ。

 あの人無理なら無理って言うもん。


 で、だ。

 こっちが多分本当の空間魔法なんだよ。

 僕空間魔法って今まで転移以外ほとんど使ってこなかったんだよ。


 きっと空間魔法はこの世界の空間に作用する魔法なんだ。

 ○○エリアとかロックオンとかさ?

 空間を認識して使ってた魔法の応用なんだよね。

 かなりMP消費するけど転移よりは魔力使わないんだよね。


 これがわかってから考えてたんだけどさ?

 転移って多分空間魔法カテゴリとはちょっと違う気がするんだよね。

 転移は()()()の空間に作用してる魔法なんだもん。


 そしてMPありえない程消費するんだよ?

 1m飛ぶだけで数万とか消えるんだよ?

 僕のMPじゃなかったらこんな魔法使えないって……。

 絶対現実味ないでしょ……。


 そんでね?

 瞬間()()、ではなく瞬間()()なら空間系統の魔法を使えば出来ることに気付いたの。


 空間の距離を拡大したり潰したり?

 でもそれってどれだけ早く移動しても線移動なんだよね。

 空間が消えてるわけじゃないもん。

 どれだけ極めても目に見えない程の高速移動でしかないんだよ。


 それに比べて転移、は別次元を介してのワープって感じ。

 転と転でつながってる。


 イメージで言えば

 瞬間転移は ・   ・ なの。

 瞬間移動は ーーーーー  なんだ。

 説明下手?


 とりあえず瞬間移動中の線上に攻撃魔法が飛んで来たら当たっちゃうんだよね。

 じゃあ絶対転移の方が良いじゃんね。


 きっと転移は空間魔法じゃない。

 次元魔法って言う方が本来正しいんだ。

 だから結局瞬間移動が出来るようになっても、僕は次元魔法を極める方向ってことに変わりはないんだよね。


 …………。


 やっぱダメだ。

 最近転移の訓練をしながらこの事をずっと考えてるの。

 でも、いつも想像したら創造魔法がパッと出現するのに覚えてくれない……。


 シスさ~ん。次元魔法おぼえられないの~?


≪該当するデータがありません≫


 ちぇ~。やっぱりか。


 創造魔法は僕の創造で作られている。

 でもこの世界で実現可能なものに限るんだよ。

 この世界の管理人のシスさんが知らないって事は、この世界で作れる魔法じゃないんだね。


 次元魔法はこの世界にない。

 そして、きっと創造も出来ない魔法なんだな。


 よく考えりゃそりゃそうだった。

 転移は僕がアイテムボックスを見て強引に作った魔法だもん。


 アイテムボックスってそもそもこの世界で本来使えないって言われたんだ。

 別次元に作用するイメージが僕等の文明で沸くわけがないって言われた。

 でも僕が神界を水浸しにしたから僕のMPと引き換えに特別に使えるようにしてくれたんだもんね。


 じゃあもちろん次元魔法もその応用だから使えるわけないよね。

 そして使えるわけがない転移って魔法を気軽に使えるようにこの世界が作られているわけもない。

 だから使い勝手が悪いのは当たり前だったんだ……。


 いいもん……。

 創造魔法にならなくても使えてるもん。

 MPは脳筋思考で伸ばすもん……。


 転移は僕がきっと神様から盗んだ魔法なんだろうなぁ。


 盗んだって人聞きの悪い!

 僕がアイテムボックスをアレンジしたの!


 使えてるってことはこれでいいんだ!

 きっと神様からの贈り物(プレゼント)なんだッ!


 じゃあ尚更こっち極めるでしょ!

 僕だけの魔法ってすごい安心じゃん!

 絶対世界中に転移できるようになってやるからな……。






「クロムさ~ん!すみません!おそくなりました~!!」


「訓練は切り上げて夕食にするのじゃ!」


 あ、みんな帰ってきたんだな。

 考えに耽りながらずっとトカゲ倒してたから気付かなかったよ。


 最近訓練に浸りすぎて無意識に敵倒せるようになって来てるんだよね。

 殺戮マシーン一直線だ。


 僕の未来はこれでいいんだろうか……。

 スローライフはどこに行ったんだ……。


 はぁ……。

 帰ろっと。

 みんなのそばに瞬間転移っと。


『ふぅ。おっけ。これで終わりにするよ』


「どうせずっと訓練しておったんじゃろ……」


『まぁぼちぼち。そろそろ帰ろうと思ってたところだよ』


『ほんとかなぁ~?』


「……多分嘘」


『あ!そんなことより!風竜試しに出してみたよ!危なくないように先に実験してきた!』


「……誤魔化した。……でも、どうだった?」


『トカゲより全然雑魚だよ。ってか出し方に寄っちゃスライムのが強いんじゃない?クラマなら調節すれば全然勝てるよ。明日やってみる?』


「……うん。楽しみ。……スライム?ライム呼んでくる?」


『それいいかも!ライムに僕に向かって魔法ぶっ放して貰おっかな?……ライムに付き合ってもらうには甘いもの用意すればいいんだっけ?プリン大量に作ってちょっとお願いしてみるよ』


「クロムさんは少し休んだ方がいいですよ?また思い詰めてるんじゃないです?」


『ん?だいじょぶだいじょぶ。僕はみんなが居ればそれだけで和んでるよ。ってかめっちゃメールきたんだけど!?あれから何喋ったの!?』


「クロムさんの昔話ですよ?ダメでした?」


 あぁ……。

 なるほどな……。

 ……でも僕もあんま覚えてないんだよね。


 でも昔の奥さんと娘の顔はうっすら覚えてる。

 ……僕の顔は全く思い出せないのになぁ。

 それくらい大切だったんだな。


 ってか僕すごく時間が経ってから転生したんだっけ。

 もう僕の昔の奥さんと娘は2、3回転生してるかも知れないなぁ。


『いや、別にいいよ。秘密にするようなことじゃないもん』


「皆すごく悲しんでました……。王様は号泣してましたよ」


 どんな喋り方したんだよ……。

 ただの僕の情けない話でしょ。

 エステルって物語めっちゃ呼んでるから物語調に話すからなぁ……。


 まぁいいや。

 前世があって今の僕が作られてるんだ。

 前世は後悔だらけだったけど、その分、今世は絶対悔いのないように生きるんだから。


『パパ~!しゃんでりあできた~?クラムはダンジョンにおうちつくったよ~?』


『あ!忘れてた!!……さーせん。夜やります……。ってか僕シャンデリアつくれないって……。クラムみたいに器用じゃないんだから……。部品で精一杯だよ?』


『そうなの~?いっしょにつくる~?』


 僕も僕で楽しくやってるよ。

 2人が素敵な人生を送れますように。

 ソフィア様から素敵な人生(プレゼント)を貰ってたらいいな。


 僕は今晩、夜更かし決定だな……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ