02話 - チート会議!魔法がある世界!?
『先程チート能力をいただけるという話でしたが、具体的にはどんな能力なんですか?』
≪それを今から相談するのよ。テンプレとかはないわ。今からあなたの要望にできる限り添えるように私が作ったり設定したりするんだもの。さすがに世の中の仕組みを覆すものや、物理的に不可能なものもあるわよ。まぁ言うだけ言ってみなさいな≫
設定??
なんかゲームみたいだな。
まぁいいか。
そうだな……
まず生前は病弱だったから病気はもう懲り懲りだ。
普通の人と同じ人生を歩みたい。
っていうかあんまり望み無いな……
本当に普通にスローライフを送れればそれでいいかもしれない……
普通普通って、普通が何かわからないけど……
僕も皆と同じように生きたいってくらいだ。
≪あ、そうだわ。まず転生する世界について話しましょうか。あなたはどんな世界に転生したいの?≫
世界……。
地球しか僕には想像できないけれど……
≪そうね。地球文明を標準値として考えると、もちろん機械文明がもっと進んだ世界もあるし、逆に原始的な文明の世界もあるわよ。ただ、地球で過ごしてきた君が原始的な文明で過ごすといっても恐竜時代の文明なんかに放り出しても生活できないでしょ?その当たりは私が調整するわ≫
『助かります!そうですね……。文明が進んだ世界ってデメリットってあります?できればスローライフを謳歌できればと思うのですが……』
≪それは簡単。戦争が激しくなるわ。文明が発達する事に兵器も発達するし情報量が増えていくもの。生活は便利になるかもしれないけれど……。悲しいところね。こればかりはどうすることもできないわ。どの文明もそうなるの。そう考えるとスローライフを謳歌したいなら地球より文明が少し劣るくらいの世界に転生するのがいいんじゃないかしら?≫
どこの世界でも歴史は同じように繰り返されるってことか。
『その辺りはソフィア様に任せるのが良さそうですね』
≪わかったわ!あ、そうだ。地球から来たんなら魔法は使えないわよね。魔力がないもの。君もやっぱり魔法に憧れたりは……≫
魔法だと……
え、そんなもの本当に存在したの!?
『魔法!?魔法が使えるんですか!?もちろん!じゃあ魔法が使える世界に転生させてください!!』
≪じゃあちょうど良かったわ。魔法が使える世界は機械文明は発達しない傾向にあるのよ。なんでも魔法で解決しがちだしね。でも、そうなると争い事はどうしても起きるし魔物とかも……≫
ま、魔法だと!?
何もできなくて貧乏で病弱の僕が唯一の趣味だったネット小説に出てきたあの魔法だと!?
おおおおおおおお!!!
やる気出てきたああああああああ!!!
これは吟味しないと……。
俗にいう俺TUEEEEEなんかもできちゃう訳だろ!?
いや、でもなぁ……。
なんか人付き合いしんどそうだ。
そういうのって絶対貴族に囲われたり王様から急に呼び出されたりするのがテンプレじゃん。
目立ちたくねぇ……
平々凡々と平和に暮らしていきたいんだよ。
でも魔法は使いたいぞ……
こうなったらできる限り欲張って便利で万能な魔法の構成を……
≪き、急に性格変わったわね……。すごく乗り気になったわね……。そして、テンションが上がると急に言葉数増えるわね……。はぁ……、まぁ、本来そっちが辛い人生を送る前の君の性格なのね。いいことだわ。でも、そんなになんでも叶えてあげることはできないのよ。……あとせめて声に出しなさいよ!!≫
『あ、すみません。ちょっとテンション上がっちゃって……。なんでも叶えられないというと?』
≪簡単に言えば魂にはその魂に応じた器というものがあるの。今、ここで無理がある能力を付けようとすればするほど、生物としての格は落ちてしまうことになる。例えば、君がドラゴンに転生したいとするでしょ?じゃあ些細な能力しかつけてあげられなくな……
『ド、ドラゴンだとおおおおおおお!ドラゴンって本当にいるのかあ!かっけえええ!乗りてええええええええええ』
……ゴホンッ。転生してから努力をすれば器の容量も上がる。レベルアップみたいなものよ。今ここで無理がある能力を付けようとすればするほど生物としての格は落ちてしまうことになるわ。反対に生物としての格を上げたいのなら能力は控えめになるわ……って、あなた聞いてる?≫
『はい!もちろん!ドラゴンは憧れですよねッ!ちょっと怖いけど、レベル上がるんですもんね!勝てるように努力すればいつか夢のドラゴンライダーにも……』
≪……君に刺激がありそうなことを言うのは控えることにするわ。で、どうするの?何か思い浮かぶ能力はありそう?≫
『そうですね…。魔法は全部覚えられるようになります?最初から全てとは言わないので』
≪君の努力で全ての魔法を覚えられるようにすればいいのね?いいわよ。それはできるわ≫
『あとは、健康な体と精神力が欲しいです。病気にならないように、怪我をしてもすぐに治るように。苦しい事があってもへこたれない様に……。無限の再生能力と不屈の精神とかどうですか!?いい案じゃないですか!?』
≪まぁ、君はそれが原因で前世苦しんでたんだものね。うーん。ちょっと難しいわねぇ……≫
『あれ?よくある能力だと思ったので簡単かと思ったのですが……』
よくある能力じゃない?
精神はあんまり聞かないけど無限に再生するとかさ……
≪君がよく見ていた小説やアニメと現実は全然違うのよ。不屈の精神力や無限の再生能力。それって、簡単に言えば生物をやめるっていうことになる。不屈の精神を得るということは、体の異変に気付くことができなくなるのよ。命に危険があっても気付けないわよ?治癒は人間の本来持つ治癒能力を魔力で増幅しているだけ。限度があるのよ。即時、傷を治す事は上級魔法になれば可能かしら。でも、無くなったものが再生するなんてことは不可能。人間は無くなった腕が生えてきたりしないわ。病気を治す治癒魔法はあるわよ。でもその内容は、細菌を殺す魔法っていうだけ。世の中にはちゃんとした仕組みがあるのよ。君は生物やめたい?人間のまま転生したいでしょ?それともエルフとかにでもなる?≫
えりゅふっ!
≪……もちろん人間より格上だから能力は下がるわよ≫
『理解できました……。すみません。人間で大丈夫です……』
そっか……。
能力下がるのか……。
アニメの見過ぎだな…
≪まぁできる限り体は強くしてあげるわよ。怪我も可能な限り早く治るようには設定するわ。精神面については君は元々強い方よ。そのままでも充分じゃないかしら。辛いことが多かったから自分は精神が弱いと勘違いしているだけね。まぁここも可能な限りは融通するわ≫
『それで大丈夫です。ありがとうございます』
≪心の中であまり望みはないとか言ってなかった?急に溢れてきたわね≫
『すみません…。ちょっと魔法が使えるって聞いてからどうかしちゃってたみたいで…あ、あと!』
≪なによ。聞くだけ聞くわ≫
『レベルがあるって聞きましたけど上限を取っ払うことってできます?ってか上限ってあります?』
≪あるわね。人間は基本100までね。わかったわ。無限には不可能だけど増やすようにやってみるわ≫
『ありがとうございます!』
言ってみるもんだ。聞いててよかったぁ
あと何か忘れてることはないかなぁ。
転生後じゃもう取り返しがつかないし……
『コミュニケーション能力に自信がないのでいい人が近くに寄ってきたりする能力ってあったりします?人同士のトラブルはもう懲り懲りで……。できれば気楽に過ごしたいので人生のレールを引いてくれるくらいの人がいるとうれしいかも……』
≪コミュニケーション能力の向上ね。前向きになったようでなにより。ただ、さっきも言った通り限度があるのよ。あなたのカルマ値で増やせる限度を見ながらバランスをとって調整するわ。能力を増やすと1つ1つの能力が小さくなるわよ。全魔法を覚えられるようにするんでしょ?あとは自分で頑張るほうがいいと思うわよ?≫
『ちなみに、普通の人間と僕のカルマ値ってどれくらい違うんですか?』
≪カルマ値っていうのも君にわかりやすく表現してるだけだからこの先忘れてもいいわよ。そうね。一般の人間を100としたら君は5000ってとこかしら?≫
『すっげぇ!50倍っすか!?』
それでも再生能力は無理なのか……。
本当に生物の法則から外れちゃうんだろうな。
ってか僕は何回不幸な人生を送ってきたんだ……
≪聞かない方がいいわよ。それに、だから私がここまで来たのよ……。本当に、なんでこんなことになっているのかしら。それだけのカルマ値があるから魔法を全取得可能にしたりできるのよ?普通の人間は2、3属性でも恵まれてる。まぁ、その辺りは転生してからの楽しみにとっておきなさい。悪いようにはしないわ≫
『そうですね!楽しみながら頑張ってみます!』
≪それがいいわ。じゃあちょっと調整に時間かかりそうだから待ってなさい。お茶でも出すわ。≫
よし、こんなもんでいいはずだ。
ちょっとテンション上がっちゃったけど、結局健康が一番だな。
そもそも基本スローライフ志望だしね。
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