24話 - 魔法の原理とイメージ
（バチンッ!!）
『 いっっっだあああああ 』
空間が少しゆがんでバチンとはじけた。
え……
いまの重力魔法か？
イメージをしっかりしないと魔法の発動に至らないって思ってたから現象が起きる仕組みや原理なんかを当てはめるようにしてたんだけど……
イメージってそういうことではない？
実際最初のウォーターボールは何となく考えた時には発動失敗。
ちゃんと頭で水が発動するところを思い描いて、サイズや発射後のイメージを固めると発動したんだが……
あ、クラムのこと忘れてた。
クラムー！僕水からでられないからさー
水中で考え事してるからこの周辺探検してきていいよー！
（コクコク）
お前もう結構強いし歩けるようになったから
無茶しなかったら逃げてこれるよね？
（コクコク）
初めての陸地にも慣れたいだろうしこの近くで遊んでおいでー！
危ないって思ったら帰ってきなよ！
（コクコク）
（トコトコ…）
貝だと移動がほぼできなかったから心配だったんだけど
最近は色んなとこに遊びにいってるしね。
既に身体能力だと僕より全然強いし
僕が居る方が足手まといな感じまであるよ…はは。
陸地と海の違いに戸惑ってる感じもないし。
特に水陸どっちの環境にも制限うけてないんだろうな。
いいなぁ……
よし魔法の時間だ。
さっき重力魔法について考えたのって
『宇宙は神秘。そういう仕組み。それ以上はない。』だったぞ。
中身なんて何もなかった。
逆に発動後の具体的なイメージはあった。
『手のひらサイズの重力球を手にだし、
ぶつけたものの重力を１０分の１くらいにする魔法』って無意識に考えてた。
だから自分の思った通りの現象が起きようとしていてかなりビックリした。
発動前の現象が起きる原理をイメージするんじゃなくて、
発動後の具体的なイメージが必要なのか？
そもそも【創造魔法】ってカテゴリがおかしい。
逆転の発想をすれば普通創造できないってことになる。
この世界の住人は思ったように魔法はつかえない……
思ったようには使えないけどそれでも魔法は発動している、
ってことになるんだ。
人間は本とか伝承で魔法をつかっているのか？
なんにしても魔法はこういうもの！という具体的なイメージがあるんだろう。
僕はそれがないから原理からイメージを固めている方が発動しやすかっただけ……
そういうことか！
そう考えれば重力もきっと使えたんだ。
失敗したのは僕に力が足りないからだ。
構築途中ではじけ飛んだって感じだったな。
よし、原理はわからないがイメージがはっきりしている、
尚且つ簡単なもの。そんな魔法を試してみよう。
火魔法で行くか。
ゲームで絶対出てくるやつだ。何やっても絶対出てくるやつ。
空中にいきなり直径30センチくらいの火球が出現し敵に投げつけるやつ。
なんで空中に火球が…空中の水素とかを燃やしてるのか？
でも火球ってなんだよ。なんで火が球の形になるんだよ。
原理がわからない。なんでそうなる。
僕は昔からいちいちゲームにこういう反応をしていたタイプだった。
今なら僕もそれができそうな気がする！
そんなときクラムが向こう側から大慌てで駆けてきた。
（ピュー）
どしたのそんな慌てて！
え、逃げて？なんか来た！？
気持ち悪いって？
クラムの後ろからは僕の３倍くらい大きさがあり
ヌメヌメで気持ち悪い、足がたくさんある生物がのっそりうねうねして……
あれ、タコじゃね？
『鑑定』
【ステータス】
種族：レッドオクトパージ
名前：
状態：なし
LV16 / 20：経験値 23 / 30
HP：176 / 180
MP：32 / 32
力：42
防御：24
敏捷：18
器用：42
知能：28
魅力：16
幸運：28
【魔法】
・水属性 LV3・闇属性 LV3
【スキル】
・毒牙 Lv3 ・遊泳 Lv6・毒耐性 Lv5
パワー型のタコか？
あー、ここはあいつの巣だったのか。
毒牙に注意か？
魔力もあるしタコ型の魔物って感じかな。
闇属性はなにをする魔法だろうか。
毒魔法とかが使えたりする属性かな？
クラムも持ってるしな。
あいつ全部毒攻撃で戦闘終わらせるから
全然攻撃呪文みたことないんだよな……
クラムが水中の僕の前まで逃げてきた。
あいつと地上で戦えるか？
僕は地上にあがれないんだ。すまん。
（フリフリ）
逃げたいって？
だがな……あいつ遊泳スキルがかなり高いぞ。
泳ぎは僕たちより絶対早い。
クラムはステータスわからないもんな。
逃げられるとおもってこっちまできたのか……
多分水の中のほうが逃げられなくなるな。
僕を置いてにげるか？
お前なら水魔法で推進して頑張れば逃げられるかもしれない。
（ブンブンブン）
一緒にいる。そうか。
じゃあ戦って勝つしかないが……
（フリフリ）
地上で使える魔法がわからない……か
そうだよなぁ…
俺もクラムも水中戦しかやったことないからなぁ
”シャーッ”
逃がす気はない。と。
そんな感じが伝わってくる。
逃げないよ。
てか逃げれないから。
クラム近接攻撃とかできるか？
（フリフリ）
やってみたけど毒が効かない……
毒耐性高いもんなあいつ。
タコに魔力が溜まっていく…
いきなり口から黒い墨のような物がクラムに向けて大量に発射された
おわ！！
水中からハサミだけだして…
”ストーンウォール”
（バシャ―ッ）
ふぅ……
直接かかるのは避けられたが地面がタコの墨だらけになったな。
あとで掃除が大変だぞこれ……
魔力が溜まってたからこれ闇魔法なのか？
水中では使えなかったけど陸地なら効果あるか？
直径３０センチの水球を弾丸のように発射！
”ウォーターボール”
（ドンッ）
かなりのスピードでタコ目掛けて水球が発射された！
お、地上だと攻撃に使えそうだ
（バシャッ）
【ステータス】
種族：レッドオクトパージ
HP：170 / 180
だがタコに水球は効果が薄いらしいな。
軟体の上に体力特化っぽいからな…
”シャーッ”
タコ足がクラムに襲いかかる！
（ドンッ）
クラムのウォーターボール！
（バシャッ）
たこ足をはじき返した！
【ステータス】
種族：レッドオクトパージ
HP：166 / 180
だがダメだ。
これじゃ効果が薄い。
クラムは幼いときに仲間とはぐれたせいで
魔法のイメージがかなり弱いんだ。
加護のおかげで僕の魔法を覚える能力は高い。
イメージがすぐ伝わるからだな。
僕が魔法を使ってやらないと
クラムにも攻撃手段がない。
毒攻撃で敵を倒してばっかりいたのは
毒攻撃しか攻撃手段がないからだ
そもそもクラムは魔法をつかうのが大好きだ。
覚えた魔法を使って遊ぶのが大好きな子だ。
僕とクラムがよく使う”ウォーターフロー”は
水の流れを生み出しているだけだから水上では使えないんだ
攻撃手段が毒攻撃以外にないのは僕のせいだったか…
もっと魔法を使ってあげていれば……
クラムがイメージしやすい魔法……
火になんか馴染みがないだろう。
時間があればいけるかもしれんが
加護があってもこの戦闘中に覚えられるわけがない。
クラムがもっている闇と光属性は
僕が今すぐにイメージがわきそうにない。
ビームなんかはきっと能力が足りず具現化できないだろう
重力魔法がはじけ飛んだように……
水魔法か土魔法であいつを…
尚且つクラムがすぐにイメージできる範囲で……
