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237話 - 完済

 みんなは自分のお気に入りアクセサリーに即死無効を付けるのは嫌らしい。

 ずっと着けてるものに付与した方がいいと思うんだけど。

 でも壊れちゃうもんなぁ……


 [特訓31日目]


 とりあえず僕とクラムで大量にミスリルを作った。

 その後、複数アクセサリーを着けての実験をしてきた。


 結果、全部一気に砕けてしまうようなことはなかった。

 あくまで1つずつ効力を発揮しているようで順番に壊れていく。

 

 ただ、順番はランダムでした!

 わかりやすく形を変えてみたりしたけど付けた順番も全く関係なかった。

 

『どれから壊れるかわからないという結果に……』


「じゃあ、やはり嫌です!」


「我もじゃのぉ……。それなら王都で量産品を買ってくるのじゃ」


 しゃーない。

 その分大量に専用アイテムを作ろっと。

 そしてどうせ壊れるアイテムだし適当に作ろっと。


 とりあえず即死無効付与だから十字架のキーホルダーにでもすればいいかなぁ。

 でも着用するなら趣味に合うかわいいやつの方がよくない?


 でも趣味に合うかわいいのつくったら壊れるの嫌になるよなぁ。

 壊れる前提アクセサリーつくるのって逆にムズイ……


 とりあえずお気に入りアクセに即死無効付与するのは却下で!!

 そして今後も壊れそうな能力を大切な物に付与するのは辞めようと思った。




 [特訓33日目]


『どうしよ。目安の1か月は過ぎたし、そろそろ行く?まだちょっと不安だけど、一応やる事リストは終わったしなぁ~』


「行くとして皆で行くかのぉ?」


『ん~そこも悩むところだよね。怪しい感じなら僕1人で行ってくるけど……。まぁとりあえず僕の分裂体には先行させるよ』


 ぷちクロで即死を受けながら色々試してみたところ、ファントムは自分から1番近い生命体に無条件で即死魔法を打ってくるからだ。


 位置とか色々変えながら即死魔法受けてたんだけど、単純に直線距離が一番近い生命体に即死魔法打ってくるの。


 ファントムの位置が分かっている限りはぷちクロで肉壁すればいいんだ。

 これも何度も即死魔法受けてみないと分からなかったことだね。

 やっぱり実験って大切だな。




『パパ~?パパってレベルいくつになったの~?』


『ん?レベル?そう言えば最近全く見てないな?ちょっと待ってね?』


 昔、海底洞窟でクラムと特訓してた時からなんだけど、ステータスに踊らされないようにある程度伸び方を把握したら必要なくステータス見ないように訓練してたりするんだよね。

 実験とか計算してる時は毎日見るようにしてるけどね。


 一気に上がってた方が気持ちいいじゃん?

 あと、ソフィア様からステータスが見える弊害も大きいって聞いたしなぁ。

 てかもう、僕らの強さにレベル関係ないから表示無くそうと思ってたくらいだわ。


 よし、”鑑定”


 -----


 ★種族:オリジンスライム

 名前:クロム

 役職:創造神ソフィアの使徒


 ・LV200 / 200:経験値 FULL


 -----


『あ、いつの間にかレベル200になってる……』


 めちゃくちゃ敵倒してたもんなぁ。

 それに僕すっごい魔石食べてたもん。


 最近は分裂体にも協力してもらって食べてた。

 即死魔法受ける為の分裂体を増やす為に沢山食べてただけなんだけどね。


 意図してないところに効果があったなぁ。

 もう全く自分のレベルに興味なかったなぁ。


『でしょ~?クラムもね~?パパととっくんしてたからレベル182なの~。200までやっちゃダメ~?』


 お、クラムももうちょっと?

 それはむしろやって欲しいかも。

 僕がスライムの間に見守れる方が安心だもん。


『良いに決まってるじゃん!ここでクラムのレベル最大にしちゃおっか!』


『ありがと~!やった~!!』


 クラムがもっと訓練したいなら僕も訓練続けるだけだ。

 即死の実験とか魔法の訓練はやることが尽きない。


 敵が即死魔法使ってくるってどれだけ強くなってもずっと安心感こないんだよ……

 ゲームじゃないんだもん……


 アイテムももっと作ろっかなぁ。

 ここからは延長戦だな。




 [特訓42日目]


『クラムもレベルいっぱいになった~!』


『やったなクラムッ!今日は焼肉だッ!!』


『やった~!やきにくぱ~てぃ~だぁ~!!』


『甘いものも食べ放題だぁぁぁ!』


 とうとう長らく悩みの種だったクラムのレベルが最大になった。

 超うれしい……グス。


 マジで僕が即死無効を覚えた時の何倍もうれしい。

 よかったなぁクラム……あ。


『そういえば進化先は出た?進化先ナシとかじゃない?』


『えっとねぇ~?だいせいれいになれるらしいよ~?それしかないの~』


 ひとつ進化先出たのか、ほう。

 それにしても大精霊か……。

 今エステルの精霊魔法が中精霊まで手伝ってくれるんだけどそれの上って事か……。


 完全に精霊の方への進化しかないんだな。

 せっかくエデンのみんなと話せるようになったのに精霊……うーん。


『クラムは大精霊になりたいの?』


『よくわかんない~。どうなるんだろ~?』


 そうだよなぁ。

 今までで詳細が1番わかんないかも……。


 精霊になるってピンとこないよなぁ。

 どんな感じなんだろう。

 全くアドバイスしてあげようがないなぁ……




 ……ん?

 ソフィア様からアクセスが来てる。

 どうしたんだろ?


 ずっと通信続けてたから何となく繋がりがわかるようになったんだよね。

 これも僕が神力を扱えるようになった影響かも。


 しっかりこの先に関わる話をするときは僕の応答をちゃんと待ってくれるんだ。

 たぶんエネルギーを無駄に使わないようにってことだと思う。


 僕の応答を待ってるってことは今回は僕らに関わる事だな。

 ほいほい。


『もしもし~!ソフィア様~?話していいよ~!』


≪ありがとクロムくん。クラムちゃん?大精霊への昇華は特に希望がないなら止めた方がいいわ≫


『ソフィア~?』

 

 お、クラムへのアドバイスか。助かる!

 アドバイスくらいなら僕を介してできるんだな。


 でもソフィア様が明確に進化先を指定するアドバイスなんて珍しいな。

 ってか進化じゃなくて昇華って言った?なにそれ。


≪いいわよ、あなたから話しなさいな≫


≪あら、ありがとソフィア。うふふ≫


 あ、デメテル様にチェンジしてくれるんだね。

 クラムの仲良し神様だもんな。

 見ててくれたんだ。


≪クラムちゃんやっほ~!クラムちゃんがもし死んじゃったらどっちみち大精霊になれるわよ~?今急いで昇華する意味がないわ~?≫


『デメテル~!そうなの~?しょうかってなに~?』


≪肉体を魔素体に変化させちゃうの。簡単に言えば肉体から解き放たれるのよ~。ちなみにその姿の上位生命体なんて存在しないからクラムちゃんの進化先はずっとそれ以外に出てこないわよ~≫


 僕もクラムもオリジナル系の体してるもんな……

 クラムの進化に関しても僕と同じだ。

 普通に進化出来るものなんてあるわけないか。


『そっか~。せいれいになったらいやなことある~?』


≪そうね~?ご飯が食べられなくなるかしら~?≫


『やだ~っ!ごはんすきなのに~!!』


≪でしょ~?クラムちゃん嫌かなって思って繋いでもらったのよ~≫


 その後ちょっと神2人とクラムと話した。

 肉体がある生命が魔素生命体と呼ばれるものに存在を変える事を昇華って言うらしい。


 クラムの中には大精霊に昇華できる程の魔素が溜まっているようだ。

 ただ、昇華しなくても死んだら勝手にそうなるらしいの。

 だから今大精霊になろうが肉体を失うデメリットしかないんだって。


 これが言えたのはクラムの運命にも殆ど関わらないかららしい。

 どっちみちそうなるからって話だ。

 要するに、今肉体を捨てて大精霊になる意味は全くないってことだな。


 ちなみに大精霊になれば話すことも可能だしコミュニケーションに関する懸念点はないって。

 それは聞けて良かったなぁ。


 クラムが精霊になっちゃったらみんなと話せなくなるかもって思ってたからね。

 で、今クラムが簡単にパッと理解できる肉体を失うことによるデメリットが”ご飯が食べられなくなる”、だったらしい。


 まぁ食事絶対要らないもんな。

 肉体ないんだもん。

 肉体関連の生理現象が全て無くなるってことだね。


≪もしクロムくんと同じ体になりたくなったらクロム君の細胞を貰って進化するくらいでいいんじゃない~?それは出来るわよ~?≫


『そうする~!クラムスライムすきだもん~!ソフィアとデメテルありがと~!』


 クラムの進化はクラムの気が向いたらでね。

 そんな感じが一番いいよね。

 自分が過ごす体は自分が1番いい体にするべきだよ。


 神様との相談を終えて、クラムの進化が保留になった。

 その日の夜はもちろんクラムのレベルMAXを祝うパーティーを開催した。

 こんなに嬉しい日は中々無いもんっ!




『さって、クラムのレベルも上限になったことだし、明日からダンジョン進みますか』


「……パパ。ぼく……もうすぐ暗黒LV100……。パパが急いで無いなら特訓していい?」


 おお、クラマももうすぐ100かぁ!

 もちろんクラムは暗黒魔法LV100は1番に突破してるよ?

 おばあちゃんも神聖LV100は突破してる。


 LV100超えたら無効とか関係なく即死魔法効かなくなるかもしれないな。

 ファントムと暗黒レベルが同じになるんでしょ?


『よし!やろう!せっかくだしみんなキリいいとこまでやろっか!』


 やめられない止まらないレベルあげ。

 あとちょっとで……ってところに来たらそうなるよねぇ。

 みんな気が済むまでやればいいのだ。


 それに強くなればなるだけ不安は無くなる!

 実はまだちょっと不安なんだよね……。

 どれだけ強くなっても不意打ちって喰らったりするじゃん?




≪もしもしクロム君?もうさすがに安全だと思うわよ……?≫


『まだまだ!よく考えてみたらまだ僕等には早かった!』


≪そ、そうなのね……。まぁ私は別にいいんだけれど……≫




 [特訓56日目]


「……ぼく……大丈夫。さっき目標達成した」


「あ、あの……私、もうすぐレベル200なんです……良かったら……」


「そういえば……ぼくも……」


『よし!とことんやろうぜ!やるに決まってるよ!!』


 さすがにここで敵倒しまくってたらそうなるか。

 僕ら必要経験値量途中で止まってるから尚のこと早く上がるよね。


 おばあちゃんがちょっと大変だけどまぁレベルの意味なんてないし。

 ただの気分の問題だね。


 延長戦を止めるのが名残惜しくなってきた。

 やりたいだけやるがいいっ!




 [特訓71日目]


「我も……実はあとちょっとで200なんじゃが……」


『いけいけおばあちゃんッ!おばあちゃん魔石も食べられるんじゃない?みんなでレベル200突破だッ!』




 [特訓84日目]


「では、みんなLV200突破もできましたし行きましょうか!」


『実は僕がもうすぐ暗黒属性LV100なんだよぁ……』




 [特訓100日目]


『うっし!ちょうど今日で特訓100日目なの!まぁまだまだ不安はつきないけどキリいいしそろそろいこっか!まぁ何かあったらすぐ帰ってこよ?転移魔石ここに置いて行こうよ』


「そうですね?危ないことがあったらまた訓練しなおしましょう!」


「そうじゃの。クロムの分裂体に囲んでもらえば即座に死んでしまうことはなさそうかの?」


『クラムもファントムたおすおてつだいするねー!』


「……ぼくは……闇の気配探ってる。先に見つける」


 即死無効アクセサリーは持った。

 ぷちクロ数十体で皆の周りを固める。


 これだけやれば……

 ギリ行けるかな。


 ギリね!?

 まだまだ不安だし……

 何かあったらすぐ帰ってこよう!


≪…………≫


 ・

 ・

 ・


 あれから幾度となく即死無効の耐久実験もした。

 試行回数はもう100回を超えている。


 即死無効アクセサリーも1000個くらい作った。

 これで絶対に負けない。

 100%だ。


 そしておばあちゃん特性の超神水を沢山陶器の瓶に詰めている。

 極光+水属性の回復水だよ。


 もし目の前にファントムが出てきてもこれをぶん投げれば倒せるはずだ。

 これも1000個くらいアイテムボックスに入っている。


 ちなみにファントムに1番攻撃が通るのはきっとエステルだ。

 闘気がきっと一番効果的。

 エステルの闘気はこの星の理から外れてしまっているからね。


 だからエステルはずっと闘気弾を構えて控えていてくれるんだ。

 その他のみんなは手に超神水を持って歩いて行く。

 物理無効や属性無効なんか関係ないぜ。


 これで10000%大丈夫なはずだ。


 さらに極光魔法を使って即死無効のエリア魔法を唱えられるようになった。

 即死無効というより暗黒魔法なんか絶対通してやらない。


 僕の神聖レベルはファントムの暗黒レベルの3倍だ。

 これで100000%大丈夫なはずだ。


 さらにさらに僕のクリーンを極光属性を使ってパワーアッ……


 ・

 ・

 ・


 ダンジョン91階層。

 今回は初めて皆で91階層までやってきた。

 本当は本番前の練習とかもしたいの。

 でも即死魔法に対して練習も何もないからなぁ。


 そろそろ次の階層が見えてくる……

 準備は万端だ。

 絶対完璧なはずだ。

 いける。きっと大丈夫……。


『みんな!忘れものしてないよね!?』


「だいじょうぶです!皆キーホルダーを50個以上付けてますっ!」


 即死無効キーホルダーはみんなこれでもかと付けている。

 気分はエクソシストだ。


 腰や首に十字架がじゃらじゃらついているのだ。

 アクセサリ―嫌いのクラマにも耐えてもらっている。

 こういうのは全然聞いてくれるんだ。


 もうこれで100000000%負けないのだ!

 でもやっぱ不安だああああ!!




 特訓50日を超えたあたり。

 実験も完全終了したくらいのところであまり91階層には行かなくなった。

 ファントムが全然即死魔法を打ってこなくなってしまった。


 91階層以上は訓練の効率が悪いんだ。

 そして即死無効は取った後だからね。

 訓練に91階層以上に行く必要はないんだよね。


 ちょっとぷちクロ使って即死魔法を打たせすぎたのかもしれない。

 あまり打ってこないうちに進もうかとも思ったんだよ。

 でもいつ来るかわかんない方が怖いんだよね。


 進んでて視界の悪い後ろから即死魔法使われるのがいちばん怖いの。

 それなら階層間の階段少しでたところで正面からしか来ないファントムを迎え撃ちたい。


 だから敢えて訓練しながら即死魔法が使えるようになるまで少し待ってたんだ。

 ソフィア様はもう大丈夫ってずっと言ってたけど不安なもんは不安なのだ。


 即死に耐えてから僕がとっておきの魔法を打ちこんでやる。

 0.1秒以内に即殺してやるからな……

 この日の為にとうとう僕は憧れの魔法を使えるようになったんだから……


『最初の階層だけは僕が先に行ってくるよ?みんな待っててね?』


((((コク……))))


 みんなも顔を顰めながら見つめている。

 20mは離れてエリア外から望遠で見て居る状態だ。


 91階層と92階層の間は階段でも魔法打ってくるんだ。

 ただ、星が変わるエリアだけは手前の別の星エリアへの干渉が無いみたいなの。


 だから氷階層の最初だけは僕だけで進む……。

 これは納得してもらったんだ。


 お、ファントムが来た……


『久しぶりだなファントムッ!さっさと即死魔法打って来いッ!!』











 1時間後。


『ねぇ。なんで打ってこないの……』




 2時間後。


『あ、みんな疲れたでしょ。お茶飲んでていいよ?』


「わかりましたー!」




 5時間後。


「…………」


『もう倒していいかな……』




 プルルルル……


 あ、ソフィア様。

 僕が応答時にずっともしもしっていってたら、脳内で着信音鳴らしてくれようになったんだよ。

 わかりやすくてありがたい。




 ピョンピョンピョン……。




 エリア外に戻ってきた。

 よいしょっと。


『もしもし~?ねぇねぇ、あいつ即死魔法打ってこないんですけど~!バグですか~?』


≪仕様よ……。というかそりゃそうよ……。何度ももう行っていいわよって言ったじゃないの……。その度に、君がまだ不安だまだ不安だって言うから特に深堀しなかったんです!私もお願いしてる立場だし……≫


 いや、別に僕にもメリットあるからお願いされてるとは思ってないけどさ?

 だって……


『いつ打たれるかわかんない方が怖いんだもん!打って魔法の詠唱ラグ中に確定で倒すほうが安心感あるでしょ!?絶対それがいいんだって!目の前で魔法唱えて欲しいんですけどっ!寧ろ打って欲しいの!』


≪詠唱ラグも何も即死魔法打てないのよ……≫


 え……?

 うてない……?

 うたないのではなくですか……?


『どういうこと?』


≪もう負のエネルギーないんだもの……≫


 はっ!?


≪だから君達が深淵とか混沌とか怖い魔法作って打ちまくるからファントムより負のエネルギー消費したのよッ!!もうファントムが即死魔法打つだけの負のエネルギーないわよっ!≫


 えぇ……


『じゃあ途中から打ってこなくなったのって、ぷちクロに即死魔法打たせまくったからじゃないの?疲れたとかじゃなく?』


≪そうよ!即死魔法に使う負のエネルギーを君達が奪ってるんだもの!今日も朝から混沌打ってきたでしょ!エネルギー補填に時間かかるわよっ!……いえ、即死魔法打たせまくってたのも理由にあるわ!?どっちもよ!即死魔法って1日に数百回、数千回使うことを想定した魔法じゃないわ!世界の負のエネルギーを集めて使ってるのよ!?≫


 え……。

 じゃあ最近全然即死魔法打ってこなかったのって……

 主に僕の深淵魔法のせい……??


『じゃあ安全に進む方法あったじゃん!負のエネルギー無くしちゃえるなら先に言ってよッ!』


≪無くしちゃえないのよおおお!もうっ!君と話してると私の常識が崩れていくわっ!!あなた世界中からどれ程の負のエネルギーが1日に生産されてると思ってるのよッ!それを個人で無くす想定とかどうやったらできるの!?深淵(アビス)とかいう負のエネルギーの権化みたいな魔法作ると誰が想像する!?君達が使ってる混沌(カオス)って魔法なんか即死魔法の何倍も怖いわッ!!さらに君達がそこまで特訓するとも思ってないし、ましてや君が数万回死ぬことを私からおススメしろっていってるの!?する訳ないでしょっ!!≫


 …………まぁ。

 そうかもしれなくもないこともないかも……。


『じゃあ僕らの3か月超の特訓は意味なかったのか……』


≪はぁ。意味無くないわ……。君の言い方を借りれば、この100日間で今までの世界の借金がチャラになった。だから世界中から負のエネルギーが溜まらないと即死魔法が使えなくなってるの。即死魔法に関してはこういう結果だけれど星の寿命がとてつもなく伸びたわよ。感謝しかないの。本当にありがとう≫


 意味無くないなら良かったけど……


≪それに、また君のエネルギー回収効率が莫大に伸びたわね。ちなみにもう10数年はエネルギー稼がなくていいわ。君達の特訓はエネルギー稼ぎすぎよ。もしダンジョンの最奥地まで行ってもゆっくり気が向いたら管理人活動してくれたらいいわよ。……というかいるのかしら、ダンジョンの管理人権限。まさかこんな解決法を計るなんて……≫


 なんか思ってたんと違う……。


≪もうファントムは何もできないわよ。というか疑似生命体を産み出すシステムを切らなくても特別性ファントムを作るだけの負のエネルギーがもう無いわ。新たに産まれてもこないし、このまま進んで大丈夫。安全に送り出せて私も嬉しいわ。さて、私は今から君が使う深淵魔法を分析して構造を変えようかしら。君の神力使うわよ?≫


『ん?僕の創造魔法弄るの?良いけど、なんで?なにするの?』


≪深淵魔法もう使えないわよ?暗黒レベルなら日々積み重なる負のエネルギーで使えるけれど、もう深淵魔法が使える程の負のエネルギーの蓄積量が無いんだもの。それでもいいの?≫


『マジでっ!?せっかく作ったのにっ!?是非お願いしますッ!』


≪負のエネルギーから優先的に消費するようにするけど、足りないときは普通のエネルギーでも使えるようにしないとね。それも同じ魔法特性を保持したまま、ね。プログラムごそっと変更しないと。はぁ……≫


『なんかすみません……』


≪いいわよ。呆れてるけど、とても楽しい仕事だわ。これでも喜んでます。……それに、もう君達が生きてる限りその星の負のエネルギーは溜らないんじゃないかしら?たまにダンジョンでも深淵魔法使ってね≫


『あ、そうか。この悪の頂点みたいな魔法って神様的にはめちゃくちゃ役に立つんだ』


≪その魔法の名前や見た目的には悪の頂点みたいな感じですけどね。内容としては星の老廃物を全部消し去ってくれる超デトックス魔法よ。だからプログラムし直すの。正直メリットしかないわ≫


 老廃物……。

 ま、まぁそれならよかったよ……。

 全然使徒が使いそうにない魔法だけど……。


≪今、クロム君こっちで話題になってるわよ。うちの星にも来て欲しい~って。まぁ、他文明で誰もこんな魔法使えないでしょうから当然の感想ね≫


『ゼッタイやだよっ!!』


 えぇ……

 神界で話題になるのやめて欲しいなぁ……。

 なんで他の星のデトックスしに行かにゃならんのだ……。


≪ふふ。さて、まぁ一応気を付けていってらっしゃい。さすがに戦闘が分からない私でもわかるわ。今の君達に勝てる生命体がダンジョンに居るとは思えないんですけどね?じゃあね≫


(プツッ……ツーツーツー)



 …………。



 ピョンピョンピョン……


『ちぇ~』


 なんかなぁ~。

 神様的にはいいことだらけだったらしいけどさぁ。

 即死抵抗する為にここまで頑張ったんだけどなぁ……。


 せっかく作ったし超神水なーげよっと。

 シュッ……パリーンッ


「…… … …」(シュンッ)


 赤い影が消えた……。

 超完璧じゃん。

 はぁ……。


 君とは長い付き合いだったなぁ……。

 さようなら自動掃除機ファントムくん。


『みんな~。もう安全だって~』

この小説を読んでいただきありがとうございます!



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