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17話 - ワカメVSカニ④ - カニ鍋食べたい

”ウォーターフロー”ッ


(バンバンバンッ)


……よし、上手くいった。

バラバラになっても魔法が使えるかわかんねーから

泡が当たる寸前にカニに向かって水流を起こした。

あとはこの水流にのってカニの方へ向かうだけだ。


体がはじけ飛んでHPがなくなってから一瞬意識が暗転しそうになった。

その時「不死」が発動したって天の声が聞こえたんだ。


今はかろうじて意識が消えずに残っているって感じだ。

生きていた時の名残がのこってるんだろうか。

今は走馬灯のような世界にいるのだろう……たぶん。


思考能力や知覚能力がきえていく…何もかもを失う…

なのにそこにあるって存在だけ消えねぇ。

あいつを乗っ取らないと「俺」は消える……


夢も見ずに熟睡してる時のことわかるか?

わかんねーだろ?覚えてもねぇし、いつの間にか朝だ。

でも寝てるときも生きてるよな?


死んではない。ただ生きているって感覚もない。

意思は完全に消失する…


表現しづらいが…そんな感じになるのだろう。

「不死」って本当に碌でもねぇな。はは。




本体は過半数がバラバラになったはずだ…

本体に意識があまりないおかげで見えるサイズから見えないようなサイズの細かな破片にまで俺の意識が伸びている。


たぶん今俺が認識しているこの位置は多めに破片が飛び交っているんだろう…

ひどく薄いが…


魔力感知は使えるか?

んー使えなくもないが…ひどくぼやっとしている。

なんとなくあの辺にカニがいるんだろうってことはわかる。

ただ、ちょっと遠いな。


破片が固まらないとマズい…


ウォーターフローっておおざっぱな魔法だからな。

カニの方面に行った破片の量がすくねぇ。

おそらくエラや口ん中には多少破片は入ってると思うんだが…


そのうちカニが呼吸してれば集まっていくとは思うんだがそれまで俺の意識がもたねぇ。マズいぞ…


とその時小さな水流が起き、カニの方に意識がながれた。

少しずつカニと距離がちぢまっていく…


お、なんだ?

神風ってか?


あー。クラムか。

逃げろっつったのによ…

ありがとな。




1分程するとカニの呼吸のおかげでエラに見えない俺の破片がたくさん付着したようだ。

エラって汚れをろ過するためのものだからな。

今の俺は汚れみたいなもんか…


これなら行けるか?

頼む…


『寄生』


入れそうだが…

少し抵抗されている気がするな…

侵入を拒まれている感じだ。


だが俺がちょっとずつ強くなってきている気がする…

破片が集まり続けているからか?


こいつの抵抗力も下がっていっているな…


お、これは……


ワカメの破片から意識が抜けてカニの中に入っていく…

スーッと溶け出す感じ…何だこの感覚。


それと同時に俺の中にカニの意識がはいってくる…

統合しているのか?


少しカニの体に意識がなじんでいく感じがする…



これは…


俺じゃない意識を感じるんだが…


あ!そうだそうだ!


とりあえず「僕」。こっからはお前に任せた。

これからの為にちゃんと精神的な負荷を認識してる方が良さそうだろ?な?


『精神耐性ダウン』



---------------


……嫌な夢を見ていたみたいだ。

ストレスフリーになるとあんな感じになるのか…

この検証もまた後々に置いておこう。


さて、これは…

カニの意識が僕にも理解できるな。

何を考えてるのか、どういう意思でうごいているのか……


何も考えてない!!

ってことがわかった…うん。


このカニの意識をどうにかすればいいのか?


①心を折る

②話し合いの上譲ってもらう

③共存を促す


こんな感じか?

なんか仕事みたいだな……

②、③は要するに僕が居るメリットをプレゼンするわけでしょ?


とりあえず完全な敵には①だとおもうんだけど…

ただ…こいつ…


”あ、初めまして。わたくしワカメと申します~。

さっきまで戦っていたものなのですが…えぇ、えぇ

あ!その節は大変お世話になりました~

で、ですね~。この度こちらに伺いましたのは~

可能であればカニ様の体を私に譲っていただければと思いまし……”


カニ(……)


”……”


これ、僕の意識届いてるのか…?

無反応……何の抵抗もないぞ……


こいつ生存本能しかないのか?

戦闘でイライラしてたから喜怒哀楽くらいはあるとおもうんだが…


”いやー寒くなってきましたねー!

やっぱり冬と行えばカニ鍋!温まりますよ~!

あら奇遇!こんなところにおいしそうなカニさんがいるじゃありませんか!

よかったらその足ちょっとわけていただけませんかねぇ?”


(……)


一旦CM入りま~す。


よし。

ここにいる限り体があるからか僕の意識が消えていく感じはないな。

ちょっと考えるか…


意識に入る時には抵抗は感じたんだよ。

なのに意識内に到達してから全く抵抗を感じない…


というよりこいつ意識ベースで抵抗する術をもっていないように感じる…

やりとり不可って感じだ。


これって入る時には物理的なダメージが必要で

内部に入ってからは知能勝負とかになってるのか?


植物に「寄生」を持ちかけたら無抵抗だったんじゃないのか?

じゃあそもそもこんな危ない橋わたらなくてもよかったんじゃないかな……


知能の数値勝負とまで言わなくても

そもそも対話するレベルの知能も持たなかったら意識交渉とかも不可能じゃんね。


入る時に抵抗があったのは体力ってこと?

体の防衛システムというか、白血球みたいな感じ?

徐々に少なくなっていったのは弱っていったから…


クラムの毒の効果かな?

物理ダメージが必要なのか?


……


いやああああああああ


やばい!!そういえばカニさんもうすぐ死にますううううう

僕は肉体的に死んでるんだけどもー!!


≪死体には寄生できないわよ≫

ってソフィア様がいってたああああ


クラムの毒ダメ絶対のこってるよねえええ!?

悠長に意識相談してる場合じゃなかった!!!


”カニさんカニさん!君このままじゃ死ぬよ!”


(……)


”僕ならこのまま生きながらえるかもしれないから変わって!”


(……)


えーっと。プレゼンには対価とか必要かな…

”ほら、僕がこの体もらったらおいしい食べ物とか食べれるかもしれないしさ…”


(……)


”僕にこの体ちょうだい!僕がこの体これから使うから!チェンジ!”


(…… … … …


あ、あれ?意識が消えた!?

そもそも思考ができないからそのまま僕がもらってよかったのか…


急にヌルゲーだったな…

絶対抵抗されるとおもってた…


えっと、ここから…

カニの意識が消えたことで急に体が僕のものになった感覚がする。


「寄生」成功か??


ここ意識内の世界だよね。

今夢見てるようなもんでしょ?


じゃあそろそろ起きよ……


---------------



おええええええええええええええええええええええええええええええ

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