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175話 - おばあちゃんスイッチ

「……ぼく……クラマ」


(クラマというのかぇ?美しい天狐じゃのぉ。お主の家族は皆珍しい種族ばかりじゃ)


 おお、ばあちゃんやっぱ知ってるんだ!

 さすが数万歳だ……


「……知ってるの?」


(まぁこれほど長く生きていればのぉ。しかし出会ったこと等数度程しかないぞ?天狐は少数で移動を続けている種ゆえなぁ)


「……そうなんだ……知らなかった」


(天狐については詳しくは我もわからん。古代から生きている長寿の種というくらいじゃ。我も似たようなもんじゃからの?)


「……一緒?」


(うむ。一緒じゃの。おおそうじゃ、我は名乗ったことが無かったのぉ?名乗る機会などないので忘れておったわ。我の名はティアマトじゃ。はるか昔の友人はティアと呼んでおったぞ?好きに呼ぶがよい。おばあちゃんでよいがな。あっはっは)


 あ、意外とおばあちゃん気に入ってくれたんだ。

 よかった。ちょっとドキドキしたもん。


『おばあちゃん名前あったの!?』


(数万年生きて名付けの機会に1度も巡り合わんのもおかしいじゃろ?)


『確かに……それはそう』


 ティアマトって地球で言うところの海の女神とかじゃないのか……?

 すごい人……神……龍?

 をおばあちゃん呼ばわりしてしまっていた……


 色んな神話の街や神の名前がでてくるなぁ。

 地球の神話ってこの世界から色々取られていたりするのかなぁ~。


『あ、そうだ!おばあちゃん神獣だったでしょ!?髭を鑑定したら神獣の髭って出たよ?』


(我は神獣なのかぇ?そもそも今初めて知ったぞ)


『あれ?そうなんだ?』


(自分の存在のこと等意識して生きておらんよ。あっはっは)


「確かクロムさんとクラムちゃんと一緒にステータスの確認をしたと伺いましたが……。おばあ様は鑑定能力をお持ちなのではないのです?」


「……鑑定」


『うん~!みたみた~!』


 あ、そうだ、それ聞きたかったんだ。

 よく覚えてたなエステル!


(あぁ、あれかぇ?あれはクロムの心の声を聞きとったんじゃよ?後、少し念話を使ったのぉ。見るぞ、と許可はとったじゃろ?)


『あ、うん。おばあちゃんに見られても全然いいんだけどね。心の声?あと念話?』


(我は読心術が少しできるのじゃ。あと、お主の足を喰わせてもらったじゃろ?少々繋がりを感じてのぉ?お主の能力を利用して同じものを意識で感じていた、というのが正しいの。我も鑑定は出来るがお主のように数字で表されたりはせんぞ?)


 あ、なるほど?

 最初のクラムみたいに意思伝達のように読んでいたのか。


 ってか読心術……心を読めるのか……

 うん。読みそう。違和感ない。

 初めて会った時も言いたいことよく当てられたもん……


(少しだけの?普段は読んでおらんから心配するでない。相手の心を覗き見してもいいことなんて殆どないのじゃよ)


『そうだろうなぁ……王様がいい例だよなぁ……』


(おぉ、紹介も終わったところでお主らの話を聞かせてくれんかぇ?獣人国には行けたんじゃのぉ。聞きたいこともあるのじゃろ?まぁここにおる間くらいゆっくりしていくのじゃ)


 ・

 ・

 ・


 その後洞窟でスライムマットを出して机を作って……

 のんびりお茶しながら話をした。


 焦ってもいい案が出るわけではないからね。

 色々決まってから行動を迅速にすればいいよ。


 今までの経緯などを全て話していたので数時間はかかった。

 全てね。おばあちゃんそもそも神様と喋ってるから秘密にすること何1つないんだよね。


(なるほどのぉ。色々あったのじゃなぁ。ダンジョンには行ったことないのぉ。魔石も利用したことはない。存在は知っておるがのぉ)


「……行ったことないの?」


「ダンジョンには、ということは人の国には行ったことがあるんです?」


(行ったことないぞぇ?国などなかった。もう遥か昔のことじゃからの。ただ、人とは過ごしておったことはあるのぉ。その者にティアマトと名付けられたのじゃ。まだ我が幼いときじゃった。古き友人じゃ)


『人間と暮らしてたことあるんだね?って言うかおばあちゃんが動いてた時ってまだダンジョンないかもしれないな』


「遥か昔なら……確かにそうですねぇ」


(そうじゃなぁ。当時獣人国などなかったはずじゃからのぉ?もうあまり覚えてもおらんよ)


 まぁ数万年生きてたらなぁ。

 ハイエルフの1000年ってことすら想像つかないもん。

 別の生き物ってくらい幼いときと今じゃ記憶変わっちゃいそうだよな。


(それにしてもクロムが自分の進むべきことを定められてよかったのじゃ)


『そうだね。変な目標だけどね。今はとりあえずハイエルフの集落を……あ、魔法のことは?転移魔法のこと知ってる?』


(いや、申し訳ないんじゃが……。先程見せてもらったようなお主の作った魔法のことは我にはわからんぞ……。空間という属性も聞いたことがないのぉ。そもそも我はクリーンのことも知らなかったのじゃぞ?お主に教えてもらった魔法は重宝しとるよ)


 さっきおばあちゃんに心読んでいいからってステータス見せたんだよね。

 魔法の説明口で色々するの難しくて。

 もう見てもらう方が早いなと思って創造魔法の類や転移もここで見せた。


『空間って創造の類の可能性が高そうだな。多分この世界には使い手はいないんだろなぁ』


「そうですねぇ。魔石に入るかは試してみるしかないですね」


(恐らくのぉ。力になれんですまんのぉ。少なくとも今までに使い手はいなかったと考える方がよいかもしれん。お主みたいな稀有な存在のことまではわからんがのぉ。ちなみに無、というのはわかるぞ?魔力を変化せず使用しているものじゃろ?魔の達者な物ならつかう物もごく稀にはおるなぁ)


『いやいや、僕が作ったもの知ってる?って聞かれても知らないに決まってるもんね。ありがとう。作ったものだって分かっただけでもうれしいよ』


 でも無属性は使う人いるんだな?

 居ない方がおかしいよなぁ。

 なんで魔力そのまま放出する魔法が使えないんだ……


『しーるどはつかうひといるかもね~!』


(似た使い方をするものはおるかもしれん。まぁクラムほど達者な物はおらんと思うがのぉ……)


 さっきからおばあちゃんちょっと凹んでるんだけどなんでだ……?


(あまり力になれんかったなぁ……。集落の移動にもあまり力になれんと思うしのぉ……)


 んー、そうだなぁ。

 おばあちゃん飛べるのかな?

 でも飛べてもシールドで飛ぶかおばあちゃんで飛ぶかっていう事が変わるってくらいか……


『相談に乗ってくれただけでも充分だよ。ありがとう』


「私の集落の問題なので、私自身が1番頑張らないと!おばあ様にお話を聞いてもらえて嬉しかったですよ?」


『ありがと~おばあちゃん!』


「……うん……ありがと……天狐のことも知れてよかった」


(そうかのぉ……)


『じゃあ、そろそろ行くか!とりあえず魔石取りに行かないとね!』


「そうですね!いったん帰りましょうか!」


「……うん」 『そうだね~!』


(も、もう帰るのかぇ?今日は泊って行かんのか?)


『うん、ちょっと気持ちがソワソワしちゃって。でもうまくいったら僕等この森にも住むつもりだから!よく来れるようになると思うから!ばあちゃんも良かったら遊びに来てよ!またね!』


「そうですね!楽しみです!またお話してください♪」


「……うん……また」


『またあそぼ~ね~!』


 よし、じゃあ速攻戻って転送魔石作れるか試してみるか。

 もし無理だったら説得方法を考えよう。

 あと乗り物を……


『よし、じゃあ帰りはもう飛んで帰るか』


『わかった~!クラムはいつもとんでるよ~?』


「そうですね!クロムさんは私が!!」


「……うん……いいよ」


(フワッ)




 ・

 ・

 ・




(の、のぉ……我も……連れて行ってはくれんかのぉ……)


『……え?』


(じゃから……その……我も……連れて行っては……くれんかぇ?)


『おばあちゃん……来るの?』


(お主酷いの!?前は誘ってくれたではないか!)


『あ、いや、そういう意味じゃないって……。おばあちゃんずっと見守るスタンスじゃなかったっけって……』


『いっしょにいかないほうがいいっていってたよ~?』


「えぇ……私もそう聞いていましたので……」


「……そうなの? ……ぼくいいよ」


『いや、僕も歓迎だよ!?反対してないから!!ただ……なんで心変わりしたのかなと……』


(我とておばあちゃんと呼んでくれるかわいい孫の世話くらい焼きたいわぃ!せっかく遠いところ訪ねてきてくれたというのに……。神にも見守ってやってくれと言われたのに……。なんの力にもなれんし……。そのくせ自信満々におばあちゃんの知恵を貸してやろうとか言ってしもうたわ……あぁ……恥ずかしいのぉ……)


『「「………………」」』


『い、いや……いつも感謝してるよ?今回のことは僕の無茶ぶりだったし……』


(それにお主ら強すぎるじゃろ!なんじゃあの魔法と強さの数値は!もうそろそろ我もついていけんわ!お願いじゃよぉ……もう……今回を逃すと……今後何も頼りにされることが……なくなってしまう……)


 えぇぇ。

 どうしたのおばあちゃん……。

 僕がおばあちゃんスイッチを押してしまったのか……?


『いや、そんなことないよ!?それにおばあちゃんの方が強いでしょ……』


(何故そうなるのじゃ!?お主らが最初に訪れた時ですら戦って勝てる自信などなかったぞ!クリーンって何じゃ!?全然クリーンではないではないか!神の奇跡みたいなもんじゃろ!そんなお主になぜ勝てると思えるはずがあるんじゃ!………それに……お主の体……我の魔力の残滓じゃろぅに………何故本体の我よりそんなに強くなってしもうたんじゃ……)


『え、そうなの……?』「そうは見えないのですけれど……」

「……つよそう」『うん~つよそうだよねぇ~?』


(見ればいいじゃろ!?強くないと言っておるじゃろ!?何故そんなに我への期待が高いのじゃ……)


この小説を読んでいただきありがとうございます!



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