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131話 - 知らない方がいいもの

「いや、まぁクロムが長生きしてくれるんならいいけどよ……」


「よかったわね、エステルちゃん♪」


「はい♪」


『ぐるじいいいいいい……つぶれるううぅぅ』


 今僕はエステルに抱きしめられている。

 ……ものすごいパワーで。


「あ、すみません!!」


『はぁ、ゆるんだ……』


 でも離してはくれないのね……


「そもそもスライムってどこから息してるのかしらね」


『さぁ?魔力呼吸とかじゃないの?肺とかないし……あれ、なんで僕苦しがってたんだ……?』


 家族パワーってすごいな……


「耐えろよそれくらい。すげぇ不安だったとおもうぞ」


『いや、ほんとそうっすね。謹んでお受けいたします……ぐるじいいいい』


「うふふ♪」


 もうしばらくエステルには頭上がんないな……

 凄い心配かけた……ごめんね。


 はぁ。寿命なぁ。

 この先のこと、生活のこともだったんだけど今後どう生きていくのか、僕に関してはどう死んでいくのかまで考えないとダメそうだ。


 生霊は避けられたけど僕の寿命は体に準ずるわけでしょ?

 進化路線は完全に潰れたしこの先何に寄生するのか考えていかないとダメだなぁ……


『まぁそれはそうと氷魔石のことは一旦王様に任せるとしてダンジョンどうすんの?このままだったらダンジョン入りたくないよ?氷魔石のことももう王様が回してくれるんでしょ?』


「まぁ、そうだな。その魔石についてはこっちで何とかするし、対価も支払うつもりだが。別にダンジョン入らなくていいってことか?」


『まぁ、そうだな。エステルも特に、だろ?』


「そうですね。魔石で道具がつくれるなら取りに行く方が無駄遣いしないのでは?と思っただけのことなので家族に危害が加わってまでしたいことでもありませんね。あとは少し特訓できれば、と思ったくらいでしょうか」


『そうだよなぁ。別に敵なら強いところありそうだしな……』


「それどこだ?」


『魔の森の中心部。強いって聞いたけど?』


「あぁ、なるほどな?そうかクロムは別に行こうと思えば行けんのか。俺らには夢物語みたいなもんなんだが……前のエステルちゃんとの話な?」


『いや、ごり押しすれば時間かかるだろうけどやりようはあるぞ。大陸繋げちゃえばいいんだろ?氷でも大地でも作ればいいじゃん』


「もうお前言ってることまるっきし神だな……」


 いいえ?使いっぱしりですが。


「まぁできるでしょうねぇ。見たもの。クラムちゃんが一瞬で訓練場氷漬けにするところ。」


 あぁ、コキュートスね。


「ただ、それはやらない方が無難かと」


『わかってるよ。余計な戦争が増えるだけだな。今度その橋狙って戦争がおきるだけだ。崩してもいいけど追いかけっこになるだけだよそんなの。ハイエルフも巻き込まれるし獣人だけ魔大陸に送っても人間とエルフはこっち攻めてこようとするだろうし碌な事無いよきっと』


「その通りです」


『ただまぁそういうこと。特に身の危険感じてまでダンジョン行く必要もないよってこと』


 ソフィア様のおねだりは聞いてたけど僕の意思に任せるって感じだからな。


「そうよねぇ。私もそう思ったのよ。あなた達が魔石が必要ないのであれば別に行く必要はないわ、と思ったの。あなた達だけがそこにいけて魔石潤っても世界の物価が壊れるだけだから碌に回すこともできないわ」


「そうだな。で、お前らが狙われる理由ふえるだけだ。俺もそんなこと望んでねぇよ」


『そう言ってくれる人たちだからこんな話出来るんだけどな。頼む!取ってきてくれ!ありったけだ!とかいう奴のほうが世の中多いだろ。最初は金なら払う!っつってそれが当たり前になったら値切り出していつのまにか馬車馬か?目に見えてるぞそんなの。まぁそもそも不用意に回すつもりもなかったけどね』


「自分だけの利を考えるものはそうなるでしょうね」


「クロム君はこういう話得意なのねぇ」


「本当に。私の部下に欲しいですよ。いえ私が部下になりたいですかね」


『ないない。僕は僕個人と大切な人の為だけに動きたいだけだ』


「うん、いいわ。それなら、ガウルちゃん」


「え!?なんだ!?」


「ちょうどいいって言ったでしょ?あれ、許可出しなさいな」


 あれ?


「え!あぁ!職員カード使わせろってか!?」


 職員カード?


「そうよ。冒険者が中から出れなくなった時に助けに行ってあげられないとダメでしょ?だから正当な理由があった時に正当な能力のある子になら職員のカードを貸し出せるの。ギルド職員のカードは特別なのよ。ただ、自力で階層更新できないなら自分のカードでそもそも次から入れないわ。だから本来は本当に救助用なの。私の貸してあげるわ。30階層までなら入れるわよ。ちょっとズルしましょうか」


 なるほど!?


『それなら……本気で打ち込んでいるようなやつしか既には入れない階層になってるってことだな?少なくともあんな奴いないって話か』


「30階層はA級でないともう厳しいわ。だからほとんど入れる子すらいないわよ。ごめんなさいね。多分私は40階層もいけるんだけれど更新していないのよ。職員になってしまったから……。でも職員だと私のカードが一番上なの……」


『ってことはキャシー元S級とかなの!?』


「そうですよ?最強の一画でしたね」


『へー。2つ名とかあん…「言ったら殺すわ」


 ひぅ!!殺気!?


「い、いわねぇよ……」「え、えぇ……口が裂けても……」


 逆に気になるわ!!

 また、聞いてみよ……

 いや知らない方が身のためな気がする……


「まぁ今いるS級3人は皆ダンジョンに興味はないの。もぐってるのはほとんどA級まで。みんな変わり者なのよ……」


(((じー)))


 お前が言うなよって声が聞こえてくるようだ……


「階層主の部屋の奥にゲートがあるの。階層主と戦い始めるとそのゲートは閉まる。だから30階層でゲートを更新したいなら私のカードを使って、階層主の部屋に入って倒してゲートを更新するって流れになるわね。階層主の部屋に入ってしまえば戦いが勝手に始まる。扉もしまっちゃうから倒せないから帰ってくる、は出来なくなるわよ?それか……30階層はスルーして40階層まで突っ切るか」


『あ、そうなんだ?出れないんだ。ウルフェンさんが前で待っとけよって言ってたからボス戦始まっても出入りできるシステムなのかとおもった』


「それは言葉の綾よ……というか数回勝手に同時に飛び込んで寄生しようとする者がいたの。自分達だけで倒せないパーティーが他のパーティーと同時に飛び込んでお零れをもらう。もらえなくてもゲート更新だけできれば設けものってね?だから事前に承諾しているパーティーとしか入るなって意味で言ったんじゃない?」


『あぁ、そういう言い方してたわ。ちゃんと前で待ってろって。そういう意味か……クソばっかりだな』


「それもみんな人間パーティーがやったのよ……」


『あぁ……理解した』


『じゃあ……40階層まで突っ切れば絶対だれとも合わない?』


「いえ、というよりA級にはあっても問題ないわ。だからガウルちゃんに断られたんだもの。エステルちゃんとクラマくんは」


「え、私!?」


「あぁ、すまねぇ。A級っつーのは国から褒美だすようなことせにゃなれんのよ。ちなみにSはバケモンだ。まぁだから俺から褒美もらうかもう来なくても名の轟くようなことしてるかだ。オグルとかな。まぁあいつ結局来る羽目になったんだが。簡単に言うと知名度がいるんだ。民も認めるA級だと思えばいい」


 あーなるほど……


「エステルちゃんとクラマくんは身を隠したいんだろ?ってかクルードの一件で褒美出せればエステルちゃんだけはA級にあげれたぞ。名前出すことになろうがそれは構わねぇが話聞いてると奴隷関連のあの一件で名前売るの怖いだろ?街に迷惑かけた魔物倒したとかそういう箔の付け方なら牽制にもいいと思うんだけどよ……。話聞いても敵しか増やしそうにねぇや。クロムもそう思わねぇ?」


『おもう!問題ない!いらん!』


「えぇ、その一件で名を売るのは嫌ですね……」


「そういうこと。ごめんなさいね?今日あれから初めて会ったものですから。」


 話通してくれてたんだな。

 いい人たちだなぁ……

 世の中全部こんな人になってくれ……


「まぁだからA級はむしろ会ってみるといいとおもうわ?迷惑かけるやつなんかいないわよ。癖がある子は居るけれども。参考にいいんじゃないかしら?」


「じゃあまぁ30階層付近は大丈夫か。」


「いや……話進んでるとこわるいんだけどよ……いいのかよキャシー……」


「大丈夫でしょ?」


「いや、まぁそれはわかるけれども……」


『え、キャシーに迷惑かかんの……?』


「まぁ……キャシーの為に言わせてくれ」


「心配性ねぇ。いい弟子を持ったわ」


「カード貸すってのはな。要するに全責任私が取りますってことだ。そいつが死んだら判断ミスだって責任取らされる。だからクロム……いや、この場合エステルちゃんクラマくんが死ぬとキャシーはギルマス降りることになるな」


「え……ッ」『げっ!?』


『せいせいするわ?私ギルマス降りたいんだもの』


「そんなこといわんでくれよ~!キャシーが居てくれて助かってんだよ……な?」


「ガウルちゃんが王だから仕方なく引き受けただけじゃないの……まぁ投げ出すつもりないわよ」


『え、それじゃあ2人ともに迷惑かけることになるじゃんか……死ぬことはないと思うが……いやそこまで体張ってくれんでも……』


「えぇ、いいですよ……申し訳ないですもの……」


「魔石。お世話になるんでしょ?それ聞いて尚のことよ。対価って魔石分支払うだけで払えるもんじゃないでしょ?どう考えても死なないじゃないの。男ならしっかりしなさいな。」


「い、いやそれはわかってるけどよぉ……キャシーが」


「別に無謀な賭けに出てるわけじゃないんだからそれくらい体張ってあげなさいな。理由も正当も正当でしょ。氷魔石作るきっかけもらう対価なんて。足りないわよ。だから私の分もかけてあげるわ。弟子の面倒は私が見るのよ。持っていきなさい?」


「いや、わかるさ……俺も眼で見た。見なくても俺が首かけれんなら別に……」


「はぁ。あなた王向いてないわねぇ……」


 はぁ……こいつら二人そろってほんっといいやつだなぁ……。

 キャシーの首がかかるのが王様は嫌で、

 王様の為にキャシーは負担もらってやろうとしてるわけだよな。


 はぁ……

 じゃあ好意に甘えないのもそれはそれでな。

 ここまでしてくれたキャシーの男気踏みにじるのもなぁ。


 でも王様にも安心させてあげないと。


 ん?男気?


『いや王様の心配はごもっともだぞ。俺でも止めるわ。これってズルだろ?逆に普段救護とかの為に使う場合の正当な手順はどうなるんだ?』


「そうだな……単体で行くにしても付き合ってもらうにしても鑑定は絶対するな」


『いいぞ。してくれ』


「え!?いや、お前それ……俺の眼ですらなく数字として出るっつーこったぞ……?秘密じゃないのかよ……特にステータスなんか……」


『いい。信用している。僕達にとって軽くてもキャシーに王様の許可も必要なんだったら2人とも僕らの命がかかってる気分だろ?。絶対に死なない。でも世話になるのに少しでも安心材料は増やすべきだ。基準超えてたら好意に甘えさせてもらっていいか?手順は正当に踏んで借りていく。わがままだが頼む』


「あらあら、かっこいいわね♪私は見なくてもよかったんだけど?」


『いや、僕の自己満で見せるだけだから。鑑定魔道具持ってきていいよ。なんなら僕の鑑定結果書いてもいいんだが見慣れてるほうがいいだろ』


「はぁ……お前のが王様向いてんじゃねぇのか。」


『絶対にごめんだね!』


 ・

 ・

 ・


 どうやらこのバーにも魔道具はあるようだった。

 スチュワードさんがもってきてくれた。


 まぁ情報機関本部みたいなもんだろうしな。


 ---------------

 ★氏名:クロム★


 体力:831

 魔力:12956

 力:589

 防御:642

 素早さ:1426


 魔法:土 ・水・火 ・風 ・光・闇・聖

 ---------------


『へぇ……こんな風にでるのかぁ……』


「いや、なんだこれ……最低でSランクくらいじゃねぇか……」


『力のこと?僕力がステータス内で最弱だ。近接はほとんどやんない』


「全属性魔法使えるのね……」


『あ、そうか。ここ載ってるのがもう全属性扱いなのか……』


「と、いうと?質問していいのかしら?」


『いいよ別に。王様にステータス見せたし。あ、自分のね?王様は他の項目あるの知ってるでしょ?』


「お、おう、みせてもらったな?」


『載ってない魔法もあるんだよ。氷とかそうじゃん?魔法あるのわかってるのに表記されないのおかしいよ』


「そういわれればそうね?人には使えない魔法だからそれが普通だと思ってたわ……たしかにねぇ」


『僕ここに乗ってない魔法の方が多分得意なの。上位属性っていうのかなぁ……』


 まぁ白炎とか蒼氷とか翠風なんけど……


『あ、最近空間転移できるようになった。ちょっとだけね。やろうか?』


「い、いや……いいわ……。ちょっと見ない方がよさそう。何よ転移って……」


「上位属性って俺の炎とかだろ?クラムはどうなんだ?」


『上位、あぁ全部?いや、闇だけまだかな。2段階上のもあるかな?』


「あら~……」


「そ、そうか……スキルっつーやつもおおいんだろうな……」


『そだな。僕魔法とスキル主体だから。ほとんどここに見えてない能力が僕はメインだよ?力の10倍くらいあるかな?見えてる部分魔力と敏捷以外は僕の残りかすみたいなもんだ。魔法すらここに載ってないやつが主体。結構魔法メインに戦うの難しいんだよ~?僕もバシバシ叩きたいなぁ』


「そ、そうか……んでも俺殴っても勝てそうにねぇんだけどよ……当たらねぇよ……こんな素早さしてるやつに……」


『あ、あと~、僕水と火と風と水と光と毒と聖属性無効。ノーダメージ』


「………」


「も、もういいわ。ちょっと理解できん……ノーダメージってなんだよ……」


『え、まだまだ説明できるのに……信用してるよ?』


「大丈夫よクロムちゃん!気持ちだけとっとくから!もう充分安心はもらったわ!ね?」


『そうなの?全然説明し足りないよ?まだまだ安心してもらわないと……』


「いや、本当に大丈夫よ!!もう胸いっぱいだわ!?ね??」


『そう?んじゃ、いいけど……』


 魔法は属性って言うか作れるんだよなぁ。

 創造魔法使えて不死の神様の使いっ走りなんだけど……


「で、クラムちゃんはこれと同等……」


『うん、得意な部分違うけどね。ってかこのステータスならクラムの方が圧倒的だよ。僕の5倍くらいあるんでない?』


「エステルちゃんもクラマくんもみんないい勝負してたわよね」


『いいよね!家族みんな得意なことあって!僕の自慢!!』


「でも、その子含めた3人を一瞬でクロムちゃんは消すのね?……その見えない部分で」


『ま。まぁ……』



 ・

 ・

 ・



『じゃ、クラムとクラマはエステルにおんぶしてもらって帰るね~!』


「カードありがとうございました~!!」


『腸詰ありがと~!また差し入れ持ってくるね~!ばいば~い!』








「ガウルちゃんのせいで見なくていいものみたじゃない……知らない方がいいってこともあるのよっ!!」


「お、おう……すまん……もう今後あの家族の力には触れずに行くわ……」


「………頭痛薬……飲みましょうかね」


 ・

 ・

 ・


 ふんふんふ~ん♪


「カード借りれてよかったですね♪」


「……うん」


「明日からダンジョンですか?楽しみです♪」


「……うん」


「クロムさん!こっち向いてください!」


「ダメなの!今魔力も遮断してるの!!何も見えないの!!!」


「また悲しくなってきました……クロムさん生きててよかったなぁ~死んじゃうかとおもいました~グス」


「見たくないんじゃないの!世の中知らない方がいいってこともあるのっ!!」


「そうですか~♪ふふ♪」

この小説を読んでいただきありがとうございます!



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