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124話 - 雑魚階層

『すご~い!ひろ~い!』


「……なんで?」


「外……ですか?地下に降りてきたはずでは……」


 ふっふっふ。僕は知っている。

 ここが異次元空間とつながっているということを……

 ただこんな面白いネタいいたくないじゃ~ん!


 さっきのウルフェンさんもニヤッてしてたしさ。

 わかるー!!っておもった。

 話せてたら握手してたな。


 でもほんっとーに外だ。

 しかもいつも見える空じゃない。

 星が1つしかないの。


 たぶんこれ別の星とかの空間みせてるんだとおもう……。

 完全につながってるのかな?天井とかないんだろうか。

 でも多分ダメージカット効いてるっていってたから枠組みは……


≪ないわよ。使わない星をつくってその星ごとダメージ消し飛ばしてるもの。すごいでしょ?ここはアテナも苦労したところだけどね≫


 星ごと!スケールでっか!!


≪もうめんどくさかったのよね~。アテナと2人でイライラしちゃって。またどこか抜けてるって言われるのも癪なんだもの。だから丸ごとやってやったわ!≫


≪そうだぞ!そこつくんの大変だったんだからな!精々楽しめよ!!死なないようにな!!≫


 おお、アテナ様まで……。

 つくったのにダメだしされてイライラしたんすね。わかります。

 僕もそういうところあります。


≪でしょ~?まぁ私からはこれくらいよ。ちょっとドヤってストレス発散したかっただけ。うふふ。すごいでしょ?まぁある程度進めば空間ループしてるから果てしなく離れてしまうほどではないわ。迷わないように気を付けてね。楽しんでね?じゃあね~≫


≪エステル!闘気練習して来いよ!んじゃな~≫


『は、はい!!』


 お疲れさまでした!!おお、皆に話してたのか。


『聞こえた?まぁそういうことだ。ここ異次元空間につながってるからいろんな気候や土地と出くわすかもしれない。魔物も全然想像つかないから気合い入れてくぞ………うん………』


「いますけどね。目の前に」


「……ねぇねとパパ?」


『スライムー!ひさしぶり~!』


 え~。どうしよ……

 1階層スライムメインじゃん……


 目の前にはいろんな色のスライムが跳ねている……。

 冒険者もたっくさん。100人以上はみえるんじゃないかな。

 色んなところでスライムがやられている……


 ここにいる冒険者は……

 でもクラマより年下はいないな?

 精々たまに高校生くらいの子がいる感じ。

 だから子供では入れないレベルなんじゃないのかな?


 たしかD級くらいじゃないと入らない方がいいって言ってたんだよ。

 ポートルの受付さんがね?

 D級ってしっかり魔物倒せますランクだったはず。


 このスライムもつよいのかな?

 ダンジョンだから魔物の強さ普段通りともかぎらないぞ?


 ”勘定”!


 ★種族:スライム

 ・LV5 / 10

 ・HP:100 / 100

 ・MP:100 / 100

 ・力:121

 ・防御:143

 ・敏捷:68

 ・器用:105

 ・知能:81

 ・魅力:10

 ・幸運:10


『あ、でもステータス平均100だわ。外のゴブリンより強いかも。ダンジョンの魔物は特別みたいだ。普通に出てくる生物と比べない方がいいよ!みんな姿に油断しないようにな?』


「わかりました!」


「……うん」


『でも~まだだいじょうぶだよ~』


『いや、まぁそうなんだけどね……僕慎重派だからさ……』


 大量にスライムいるからあまり強くない冒険者が取り囲まれるとちょっとしんどいかもしれないとおもう。

 D級って確かステータス平均300位なはずだから。


 たしか冒険者は同じランクの魔物を5人くらいでやっつけられる強さなはず。

 D級そこそこで苦労する難易度なんだとおもうね、これが。


 まぁ……僕らはまだまだ大丈夫そうだ。


『とりあえず……散歩しながらどうするか決めよっか』


「そうですね~ちょっとスライムは倒したくないです……」


「……ぼくも」


(チラッ)


『じゃあクラムがたおそっかなぁ~』


 いや……僕もなんか複雑……

 スライムマットも複雑だもん……

 クラム1ミリも気にしてねーな。


 まぁ別に僕らスライム意識ないからなぁ~。

 僕の場合はスライムかわいいな~くらいだよ。

 同族がどうのではなく愛着沸いてきたって感じ。


 あ、話はそれるけどこの2か月の間に転生の下りクラマにも話したよ。


『というわけで僕は別の世界の人間で、クラムは貝だったの』


『そ~なの~』


「……そうなんだ」


『クラムが貝で僕は元人間って聞いても特に思うところはないの?』


「……なにが?」


『なにが~?』


『……そっか。ありがと』


「……?」


 すっげ~リアクション薄かった。

 頬杖ついて眠そうな目で

 驚くこともとくになく……


 だから何?

 くらいの感じ。


 エステルとはまたちょっと違って完全に興味がない。

 うちの家族はみんな種族とかどうでもいいらしい。

 ありがたいね。


『とりあえず……今日10階層くらいまでは行く?人少なくなんないと早く走る事も出来ないでしょ』


「そうですね……逆に戦いにくいです……」


「……うん。スライムいないところまで」


 じゃあまぁおかしくないレベルで小走りしましょうか……


 ・

 ・

 ・


 3階層……ここまで30分くらい。

 普通に人が走るくらいのペースでね。

 普通に下に降りる階段があった。


 ただダンジョン内は舗装はされてないの。

 多分ダンジョンの地形に干渉することはできないんだとおもう。

 草原でも同じところばっかり歩いてたら道はげてくるじゃん?


 そういうのが全くないんだよね。

 看板とかもないしさ。

 手が入っている感じがしない。


 1階は高い崖に。

 2階は草原に石の台座があってそこに下に降りる階段が付いていた。


 2階層はスライムに少しだけコボルト混ざってた。

 二足歩行の犬魔物ね?


 3階層でやっとスライムが居なくなって、コボルトやウルフ。

 キラーラビットが出てきている。

 小型の獣系モンスターだな。


『スライムいなくなったね。このダンジョン獣型が多いらしいよ?』


「それでも……」


「そうですね……まだ戦うには早いかもしれません」


『ちょっと人へったね~?』


『そうだな?成人してなさそうな子はあんまりいなくなったな?』


 今こいつらのステータス平均は300位。

 それでもこのペースだと40階層になる時には4000位にはなるからね。

 クラマはちょっとめんどくさくはなってくるかも。


 でも僕いても40階層くらいまでって言ってたからな……

 いきなりドカっと上がる時も来そうな気がする。


『ちょっと魔石とか見てみたいんだけどなぁ~?』


「では、この階層は少しだけのんびり行きましょうか」


 スライムが居なくなったのでとりあえず何かしらの魔物を倒してみようということになった。


「あ、目の前から灰狼が来ますね?倒してみますか」


『そうだな~さすがに経験値にはならないだろうし。まぁじゃあ僕が……』


「スラッシュー!」


 何だ!?(シュッ)


「ファーストアタック俺が取ったからそいつは俺のもんだ!手出しすんなよ!」


『は!?』


 少しやんちゃそうな若い冒険者パーティーのうちの1人が斬撃を飛ばしてきた。

 かなりゆとりを持って躱しクロムにはかすりもしなかった。

 ただ……


 いや、まぁこんな遅い斬撃には当たらんけど……

 当たってもダメージ受けないけどさ……


『なにすんの~!だれ~!?』


『今、完全に僕もろとも殺るつもりだったよね?』


 うん、っていうか狼には掠ったくらいだ。

 前足に少し傷がついたかな、程度。

 どっちかと言えば僕に打った。


「ですね。真正面に斬撃が飛んできましたので……」


「……うん」


 なるほど。そういう感じになるのね。

 先に魔物倒した方がってルールになると。


「ねぇ……あいつ殺していい?」


 クラマがかなりキレてるな……


『いや、僕だからいいけど……』


『よくない!むかつく~!クラムがぶっとばす!』


『大丈夫大丈夫。クラマもクラムも落ち着いて。僕どうせダメージ受けないし』


 僕は本当に別にいいんだよ。

 特にムカつきもしない。


 ただ……

 雑魚階層からは早く抜けた方がいいな。


 これ家族にやられたらキレる自信ある。

 僕の為に早く抜けたほうがいい……


『いえ、ちょっと私も許せませんのでちょっとどういうつもりか聞いてきます!』


『いやいいよ!やっぱここの階層早く抜けよ!だいじょ


「どういうつもりですか!?今クロムさんに技うちましたよね!!」


「あぁん?」


 あら~……

この小説を読んでいただきありがとうございます!


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