122話 - ダンジョン準備3日目③。それぞれの休日。
(ゴポゴポゴポ……)
今僕は海中にいる。
浴槽を作るために岩探さないとね。
何はともあれとりあえず電話も作ったし僕は僕の予定こなしますかっと。
今後これでみんな1人行動もしやすくなるね。
あの小さな僕実は強制的にもつなげるんだ。
そんなことはしないんだけど、僕の体だからね。
見ようと思えば許可なしで意識しっかり移すこともできる。
だから例えば万が一攫われたりして連絡がつかなくなったりしたときも安心。
どこかに潜入する時なんかは〇時間連絡付かなかったら繋いで、とかね?
電話プラス防犯カメラもできるよって感じかな?
我ながらいい能力作った。
そのうち録画機能とかつけれないかなぁ。
『パパ~いまだいじょうぶ~?』
お、クラムだ。
『クラム?いいよ~?どうしたの?』
『これみて~』
『ん?ほいほい。接続っと』
……パチッ。(目を開ける音)
『おわっ!!』
これは……なんのつもりだクラム……。
『このスープにいれるおにくなにがいい~?』
あ。そゆことね……
持っている中で1番でかい……寸胴鍋だ。
そのなかでポトフの様なおいしそうなスープがぐつぐつしている。
大きな野菜がゴロゴロ入ってとてもおいしそうだ。
ポトフいいよね。
作るの楽だし野菜のうまみで甘くておいしい。
豊穣村で大量入荷したから美味しい野菜使い放題だ!
そういえば腸詰系やベーコンも欲しいなぁ?
あるかな?
ベーコンなら煙で燻製すれば作れるな。
腸詰は……ちょっと自作はしんどいかな~。
何でも自作しなくていいでしょ。餅は餅屋だ。
肉はわざわざ買いに行かないんだよね。
新鮮なのあるからさ。
作ってくれる人探してお肉渡すのもありだよね?
『うーん、ポトフなら癖なさそうなお肉の方がおいしそうだよね』
臭みのある肉はいれなくないよなぁ。
ボアとかはないな。
あれはそのまま焼いた方がおいしい。
『じゃあ、とりさんのおにくにする~』
『それがおいしそうだね!食べるの楽しみだ』
『これつくりながらおよ~ふくつくってる~』
『うん、了解!たくさん作ってくれて助かる!で……さ?』
『なに~?』
『申し訳ないんですけど……降ろしてくれないですか?』
『おなべのなかに~?』
『んなわけあるか!!』
こっちに意識をうつしたら……
ふわふわ浮いてるクラムが小さい僕を鍋のど真ん中上空に持ち上げててさ。
釜茹で地獄5秒前くらいの絵面だよ?
ぐつぐついってる鍋の真上で意識入るとおもわんじゃん。
今から処刑されるのか調理されるかどっちかだと思ったわ……こわい……
そのあと少し、あれ作りたいとか…
他にごはんはなにが欲しいとかそういう話をした。
すごいなぁ。
料理3つ作りながら服作りながらのんびりしてる……
ドタバタすらしてない……
なんか優雅なのになんでそんな速いの?
メイドさんのプロじゃん……
『じゃまたあとでね~おさかなとってきてね~』
『は~い、わかった~あとでね~』
(プツッ)
……はー、びびった。
全く向こうに意識入れないようにしてるからさ。
突然意識切り替わるの結構ビックリするね。
プライベートのぞき見する趣味ないからね。
プチクロムに意識入れると頭の中に2つの映像流れてる感じ。
でもワカメの時にバラバラになった時とは違って向こうに意識を強く持っていくことも出来る。
分裂と並列思考の合わせ技便利だね。
メインウィンドウ切り替えてる感じかな?
いやー電話あると便利だなぁ~。
さってと……
浴槽ってホーローとか、強化プラスチックとか……
地球の一般家庭だとそんなイメージなんだけどこの世界でその辺期待できないじゃん?
で、よくあるヒノキのお風呂とかもあるけど手入れめんどくさそうじゃない?
わかんないんだけどね?
汚れやすい素材で作りたくない。
しっかり換気できてなかったりしたらカビ生えたりしそう。
だから綺麗な石削るのが後々楽かなと思ったんだよね。
おおきい岩切り取って持って帰れば中削るくらいなら僕もできる。
壊さないように慎重に……
水漏れとかあまり何も考えなくてもできそうじゃない?
で、削り取ったり砕いたその石床にばらまいてあいだ僕の地魔法とかで埋めたらさ?
綺麗な石の床できそうじゃない?
お風呂っぽくない?
それが一番楽かなーって。
いや、一番楽なのは魔法で作る事なんだけどなんかなぁ……
野宿の時は良いけど家に僕の地魔法でつくったただの浴槽って風情ないわ。
あとは作業室用の机にもよさそうかなと思ってでっかい石探しに来た!
ってなると御影石とか大理石とかの白っぽい綺麗な石のイメージがあるんだけど……
ゆっくり溶岩が冷え固まって作られるらしい。
海底の主要な岩石の1つが御影石とかだったはず。
大理石か御影石か……まぁなんでもいいけど綺麗な石あればなと。
僕水棲だしね。
どっこかな~。てか今海底なんだけどこの辺多分全部そうだよな。
久々に海底にきた。
ワカメ&カニの生活思い出すなぁ~。
大変だった……
今はすっごいすいすい泳げるなぁ。
あの時の苦労が嘘のようだ。
久しぶりに……”ウォーターフロー”。
うぉッ。すごい海流起きた。
あの時と全然違うや。
使う場所考えないと僕ごとながされちゃうなこれ……
でも海底の砂飛ばせた。うん、やっぱり。
海底が全部白くてきれいな岩質してる。
この辺りの綺麗ででっかい岩もってけばいいや。
お、あれよさそうか。
白い綺麗な岸壁が海底に反り経ってる。
あの辺削って持って行こっと。
この辺りの砂利綺麗な色してるからこの辺もガバッと。
『……パパ……聞こえる?……いい?』
お?クラマだ。
『はいはい~聞こえるよ?だいじょうぶ~』
「……おわった。……これ、どうしたらいい?」
『早くね!?まだ2時間くらいだよ!?そっち行っていい?』
「……いいよ」
ん……接続っと。うおっ!?
森の中。
接続したカラビナのついた小さな僕を地面に置いていてくれたみたい。
目の前には……一刀両断された魔物が数10体乱雑に重なって置いてあった。
獰猛兎やオーク、これは……フォレストボアかな?
魔の森のやつより弱いやつだ。
肉はこっちの方がおいしい。
熊とか鹿まで!?こんなのいたんだ。
凄いね。ジビエじゃん。
『これお肉のこと考えてとってくれたんだね。ありがとう』
「うん……僕がおいしかった肉……」
経験談か。お肉集めはクラマがいいな。助かる。
『これすっごいね……。切断面鋭利すぎる……真っ二つじゃん……』
「……うん。刀……すごく使いやすかった」
すげぇ……ってか魔物の角とかも真っ二つ。
これは素材にはならなそうかな。
まぁ要らんのだけど。
「……でも……よわい。……飽きた……うみ」
あぁ、この辺試し切りにならないくらい敵が弱すぎたんだ……。
心配いらなかったな。
早く海行きたかったんだね。
『それにしても早かったなぁ……』
「うん……いつも匂いで探してた……。今……パパの……あれ……えっと」
空間感知ね。
クラマはもともとそういう技能かなり優れてたみたい。
里で忍活っぽいことしてるし何年も野生生活してただろうからさ。
僕らより全然ベテランさんなんだ。
やっぱ生きるために必須だった能力って伸び方が全然違う。
僕とクラムの魔法しかり。
生温いことしてられない。
だから加護入った瞬間にいきなりカンストしたんだ。
エステルのステータスが一気にあがったもそれだね。
努力は蓄積するのだ。
クラマは感知と隠蔽が凄くうまい。索敵系だね。
ゲーム風に言うと斥候とか盗賊職系もかなり向いてそうな感じ。
嗅覚もすごいし、森で狩り勝負とかしたら勝てないと思う。
『仕分けはギルドでしてもらえるし今日はお肉目当てだから全部異次元ポーチにぽいぽいしていいよ!角の破片とかはいらないからさ?手伝っおっか?』
「……うん」
『じゃあ入れ終わるまで小さい僕動かしとくね。終わったらこっちおいで~。王都の南門の前の広い道分かる?』
「……うん」
『あれ3本木が並んでる方と反対方向にずっとまっすぐ。曲がり道とかも無視してまっすぐでここまで来れるよ。クラマでも1時間はかかんないと思う」
この前エステルといい勝負だったしなもう……。
「……わかった」
『迷ったり海見えてきたらまた呼んでくれたらいいからね!』
「……うん、ありがと……あとで」
(プツッ)
うんうん。クラマも順調だ。
どうしよっかな。岩沢山あってすぐとれちゃったな。
ワカメやカニの時は水中で魔法使えるか!っていってたんだけどね。
今は質量ある魔法もしっかりつかえるからさ?
かなり操作もできるようになったし打ち出さなくてもだいじょうぶ。
氷鋭利でとげとげにして高回転させてガ~ッってやれば切れた。
丸のことかチェーンソーみたいな感じだね。
でもこれ勢い凄くてさ。
大雑把な作業には向いてるんだけどね。
これ小さくして船の中削ってたら割れちゃったの。
だから多分石もそういう作業すると割れちゃう。
中削るとかには魔法は向かないな。
だから昨日ミスリル買ったの。
ノミとか大工用具昨日の夜作ったんだ。
手作業でガンバる!
じゃあ、クラマ待ってよっかなぁ~。
せっかくの海だし一緒に魚釣ろっと。
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その後……クラマが海に到着し二人でのんびり魚釣りしてたのしんだ。
たまには魔法でバーッとやらなくてもゆっくりもいいよね。
魔大陸から乗ってきた船に乗って釣りしてた。
クラマは狐化して尻尾で釣りしてたよ。かわいかった。
かかった瞬間飛び込んで噛みついてたけど。
水がしょっぱくてびっくりしてた。
泳ぎも得意らしい。すいすい泳いでた。
犬かきで。
そういえば……クラマもおばあちゃんに紹介したいなぁ。
クラマならここから天駆で行けちゃいそう。
こっちくるときは船で怪しまれないように来たけど……
エステルがあんなに飛べるってしらなかった。
クラムはデフォ浮いてるし。
僕もまぁフロートできるし……したくないけど……
これからは深夜に飛んでいけそうだ。
またみんなで一緒に行くか。
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『ふぅ……ただいま~』
「……ただいま」
『おかえり~!クラマあたらしいおよ~ふくつくった~!みて~』
「ありがと……ねぇね」
おー!クラマの新しい着流し!
今度は白の柄入りか!いいね!!
『パパー!ちっちゃいパパはかいがらにつけれるようにしたの~!』
『おー。可愛いじゃん。あ、そうかクラムカラビナはつけれないか、ごめんな』
『いいよ~?じぶんでつくりたかったし~』
いやもうまんまランドセルに付けてるキーホルダーじゃん。
可愛いけどね。
これ……ばあちゃんの髭編んでストラップにしたのかな?
まぁこれミスリルより丈夫だしな。
龍の髭って結構ヤバいアイテムじゃないのか?
あ、ばあちゃんは鑑定できないけど髭ってアイテムとしてなら?
”鑑定”
★水龍の髭(幻想級)
古から世界を守る神獣。精霊龍の一柱。水龍の髭。
姿を見た者はいないと言われる伝説の生命体。
とてつもない魔力が内包されておりその髭は絶対に切れないと言われている。
詳細不明。
ばあちゃん!?
神獣!?やっぱやばいじゃん!!
守ってないって言ってたじゃん!!
神じゃないっていってたけど神獣じゃんか!!
同じだわ!!
これもってくか?ってノリで髭抜いて渡さないでよ!!
世界樹よりやばそうなんだけど……そのストラップ……
まぁたぶんこんなちっちゃい紐鑑定する人いないとおもうけどさ……
クラムの殻ごと阻害かけとこっと……。はぁ……
ってかエステルから連絡入らんのだが……
まぁ……いいんだけども。
・
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・
ふぅ。できた!
長方形に石を切り取ってなかミスリルのノミで削った!
ミスリルのノミに硬化付与して全力で魔力いれて削ったらすごい。
豆腐削ってる……って程まではいかないけどね。
シャベルで土掘るくらいの感じ。
だから途中からノミとかして鋭いスコップの形にしたの。
掘れる掘れる。石削ってる感じじゃなかったな。
お砂場遊びしてるのかとおもった。
ミスリルの道具凄いなぁ。
だから思ったよりさくっとできた!
クラマもクラムも手伝ってくれて表面を滑らかにした。
やすりとか細かい道具はポートルやリンゲンの道具屋さんにもあったから気付いた時に大工用具は買ってたんだ。
で、キッチン部屋の一画に綺麗な石とか岩を平らに撒く。
石や岩の隙間を僕の地魔法で埋めて固める。
表面を削って綺麗なタイル状にする。
その上に浴槽を置く。
元々あった排水用の溝に合わせて浴室の溝を掘って周りを囲む。
その溝に合わせて水を抜く栓を作って蓋すれば完成っ!!
今はとりあえず土魔法で壁作った。
またクラムが空き時間に家に合わせて綺麗な壁にしてくれるって。
ばっちりでしょ!!
これは満足のいく逸品だわ。
綺麗な白や黒のすべすべ床に白い浴槽。
光沢が見えるね。
ちょっと広めの浴槽にした。
大人3人くらい並べそうなくらいかな?
温泉みたいなサイズは要らないけどね。
好きな方向から好きな向きで浸かれるのよくない?
蛇口とかすらないしね。
だから正方形っぽい形してるね。
たぶん地球では超高級品。
大理石とかの浴槽って数百万するのかな?
でもこれタダだし。自作だし。
輸送費?岩の加工代?なんであんな高いんだろなぁ。
僕にとってはお気軽素材なんだけど……
こんな簡単に作れるならまた岩とってこようかな?
何にでも使えそうだから結構余分には取ってきたけどね。
アイテムボックスめっちゃ広げちゃった。
『どうよこれ!めっちゃよくない!?』
「……いいね」
『のんびりできそう~』
『岩だから水はけもいいしね。まぁ僕が魔法で乾かせばいいんだけど。ってかエステルから連絡ないな……もう夜なんだが。そろそろ城門閉まるのでは?』
『うん~あのおほしさまがしずんだら閉まるんだよね~?』
『確か……』
「パパ……でんわ?……したら?」
うーん、たまにはゆっくりしたらって思って控えてたんだけどね……
ウザいパパみたいになるの嫌だし……
『あ、子機……ぷちクロム同士も話せるよ。意思伝達機能でつないでるからさ。向こうの風景見るのは意識伝達必要だけど。クラムとクラマかけてみたら?ぷちクロムもってエステル想像してつなげばいいから』
『そうなの~?わかった~』
そうそう、皆同士もお話できた方がいいしね。
その辺は抜かりない。
通話だけなら全然問題ないよ。
2人も意思伝達まで行けば風景も見れると思うな。
覚えるのにちょっと時間かかるかもだけどね。
加護ブッパで作った感じだからさ。
『ん~。あ、つながった~。エステル~もうよるだよ~?』
「ママ……なにしてるの?」
『夜!?嘘!?ごめんなさい!本に集中してしまって!!すぐ帰ります!!』
立ち読みしてたのか……まぁ久しぶりだもんね新しい本も。
『本ってどれくらいの値段するの?』
『銀貨5枚~魔本じゃなければ……金貨1枚くらいまでですね。でも私が見ているのは希少なものとかではないので精々銀貨10枚まで位です』
本高いっていってたもんなぁ。
『じゃあ金貨数枚くらいまで好きなの買っておいでよ。エステルも稼いでるんだしね』
『いいんですか!?』
『エステルのお金でもあるんだから。どうせ気遣って立ち読みで済まそうとしてたんでしょ?』
『はい……私の趣味につかうのは……』
『いいの!エステルが遠慮するとクラムとクラマも遠慮するでしょ?たまには好きに楽しんでね。だから好きなの買ってきて!はやくね~?もう門閉まるよ?』
『えぇ!?待ってください!どうしよ……』
『とかいっても遠慮するのしってるから最低金貨1枚ね。ノルマ10冊以上!よーいドン!』
『えぇ~!これと……これと……』
そしてエステルはそこからまだ2時間程は帰ってこなかった。
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