104話 - お子とママとおっさんとおっさんとおっさん
はぁ……すごい大変だった。
まさかテストで家族対決する羽目になるとは……。
しかも3対1って……。
でも……
戦ってみてすごく思ったんだけどさ。
うちのチームってバランス取れてるよねぇ……
本当に偶然なんだけど……
クラマがもう本当に無駄打ちしないの。
急所だけ狙えば〇れる。って感じ。
エステルは超万能。
遠距離も近距離も魔法も打撃もなんでも屋さん。
クラムは……。うん。
無敵ガーーーーーーーーーーードッ!!
残り全部消しとべええええええええええええって感じ。
言うことなさ過ぎて文字数無駄に使ったわ。ふっ。
クラムとクラマが対極だ……
エステルはどっちの補助も先陣もいける。
………この3人の攻撃ぼくずっと1人で受けたんよ?
『慰めてほしいッ!ちゃんと労って!!』
「よしよし♪」『よしよーし』「……よしよし?」
ってことで今僕らはバーに来ている。
あんまり騒がしいところは気分じゃなかった。
なんかないかなーって王都にある細い道をぐるぐーるしてたら誰もいないバーを見つけた。
雰囲気いいんだ~ここ。
大人のバーというより、純喫茶ぽくてね?
子供が来ても全然違和感なさそうでここに決めたの。
おじいちゃんがやってそうなお店。
すっごい落ち着く~。王都きたら通おっと。
外観ボロいのに中薄暗くていい匂いするしすごいアンティーク調でいい感じ。
砂糖菓子とかお酒とかステーキとか何でもあるんだよ?
何でもあるっていうか……メニューがないの。
ある物だったら作りますって。
なかったら素材渡せば作ってくれます?って冗談で聞いたらOKって。
クラムもクラマもエステルもめっちゃ食う。
そしてめっちゃうまい!!なんだここ!?
なんでこんな誰も来なさそうなところに……
すんげーセバスちゃんしてるマスターさんがなんでも作ってくれる。
1人ファミリーレストランじゃん……。
うちの子がいっぱい注文してごめんねぇ。
『エステル~次このジュースのむ~』
「……ぼく……ミルク」
『じゃあ……僕このワインのみたい……ごめんな。注文できなくて……』
「はいはい♪あ、ちょっとこぼしてる。はい♪ふけました。注文すみませーん」
ママしてんなーエステル。
クラマは本当に人の姿が久しぶりで、食器使うのむずかしいって。
スプーンはいけるんだけどフォークに苦戦してる。
豆と格闘してる。それはスプーンでいいよたぶん。
あんな器用に僕のこと攻撃するのに不思議だなぁ……。
まぁゆっくり練習しような。
「はい。次はどれに致しますか?そういえば王都の商店で最新の遊具が……」
おもちゃ!なんでもアリか!!
あ、でもエステルさんは成人してるんです~
興味あるんですか?じゃあなんでも買ってくださいな。
はぁ……天国。
もう護衛とか奴隷とかでまたしばらくシリアスモードだったから息抜きしないと。
おばあちゃんもここに連れてきてあげたいなぁ……
人生こんな時間ばっかりでいいよなぁ……
(カランカランカラーン)
「いらっしゃ……またあなたですか……」
ん?他のお客さん?常連の人かなぁ。
まぁこんな素敵なとこ絶対常連さんいるよ
(ムギュッ)
ん?なんで僕浮いてるの……
「……誰?」
え、クラマ……なんで剣かまえた?
「どちら様でしょう……?」
『パパ?』
「クロム……か?」
ん?
はっ!??
「おおおお!クロムじゃねーか!こんなところで会えるとおもわなかったぞ!!」
「クロムさんを知ってる……?」
「パパ……誰?」
「一緒に飯くおーぜ!な!!みんな俺も一緒にいいか!?」
『……おうさま』
「ひっ……」『おうさま?』「……えらい人?」
「……あ?なんで兄者そいつと知り合いなんだよ」
んな!?!?ぎるます!?
『これどういう組み合わせ……?』
・
・
・
なぜかとんでもない相席をすることになってしまった……
エステルめっちゃ緊張してるし……
「お嬢ちゃんがクロムの主なのか?」
「は。はい……あの……一応……そういう感じで……」
「俺はお忍びだ!なっ?クロムの友達と飯!緊張すんなってー」
無理だろ……で、いつ友達に……
「すごい……なんというか……」
「王っぽくねぇだろ?エステルの嬢ちゃん」
「……は、はい」
「あっはっはっは。エステルちゃんっていうのか?ハイエルフか。めずらしいなぁ?こんなとこ居て大丈夫なのか?で、横の少年は古代種!すっげーなぁ!そっちのちっこい子もクロムとおんなじで特別か??豪華だなぁ!あっはっはっは」
『クロムさん……ちょっと気持ち悪いです……』
『ぱぱぁ~クラムも……』
『……うん』
『あーおうさま?なんか見てる?みんな気持ち悪いって。ちょっとやめてやってくんねぇ?』
「あ!これ天然でよぉ……無意識なんだよ。すまんなぁ……」
あぁ、シュンってしちゃった。
豪快なのかナイーブなのか……
「兄者の眼ちょっと特別なんだよ。悪気ねぇから許してやってくれや。すげぇいい人だから。お前らに悪い事はなんもねぇよ」
『あぁ、それはこの前の時話したよ。そうじゃなかったらみんな警戒してる。あ!そうだ王様!ちょうど聞きたかったんだけどさ』
「まてまてまて、これどういうことなのか先に説明してくんねぇか?俺だけ話しに入れねぇ」
「お?クロムいいか?」
『あぁ、ギルマスは大丈夫』
「例のクルードの件、クロムが城まで証拠持ってきてくれたんだよ。で、そこで喋った!そんで仲良くなったわけだ!」
うわぁ~雑ううう。
(カタカタカタカタ)
テーブルが揺れ出した。ギルマスが震えてる……
『え、そんなおもしろいことあったか?』
「お前のせいかあああああああああ!」
(ムギュ!ビヨ~ンビヨ~ンビヨ~ンビヨ~ン)
『え!?なに!?伸びるって!なんで怒ってんの!?』
「いや、クロムがよ?いいやつに領引き継いでくれっつったじゃん?」
『そだな?』
「約束通りこいつに引き継ぐんだが……ダメか?俺のイチオシなんだがなぁ……」
『は!?え、どういうこと!?貴族なの!?』
「え、クロムなんもしらねぇんか?」
(ポイッ)わっと。捨てんなよ……
「あー。騙したわけじゃねーんだが、クロム貴族嫌いだったろ?だから言わんほうがいいかなと思ったんだよ……そんな貴族っぽい事してねぇし……」
「貴族っぽい事してねぇのはお前が拒否するからだろうに……」
それからの説明によれば……
まずオグルはポートルがあるサハード領の隣の領の辺境伯の3男らしい。
で、昔に冒険者として功績を挙げてて自分も男爵の地位を持っていると。
知恵のあるドラゴンの話とかしてたもんなぁ……。
ポートルとかリンゲンはそもそもオグルの領だって。言えよ。
気遣わせちゃったな。
子爵にもなれたけど貴族が嫌いで陞爵を拒否してたんだと。
で、自分は少しだけ男爵の仕事しながらギルドマスターしてたんだって。
そして色んな仕事を任されているのが代官のマルスさん。
そりゃストレスたまるわ……。
本来陞爵の拒否なんかなかなかできないらしい。
ただ王様はオグルの兄弟子らしく要望を飲んでいたんだって。
この辺はいろいろ複雑らしい。
あ、冒険者のパーティーも王様とオグルとマルスさんともう一人で組んでたんだって~
マルスさんもただならぬ気配あったもんなぁ。
さらに師匠はまさかの本部ギルマスキャシー。
それで今名前が出たみんなとは気が合うのか……なるほどなぁ……。
もっと難しい話もあったが、よーわからん。
貴族はむずかしい!これで限界!
簡単にまとめるとこういうことらしいね。
で……今その話をしにここにやってきたら僕達と出くわした!
おひたしおひたし。
「まぁそういうことだ」
「私達……ギルマスに申し訳ない事しましたか……?」
「あ!いや!すまん!嬢ちゃんがしたことはすげぇいい事だ!ついな……。あとオグルでいいぞ。色んな街のギルマスと出会うのに役職で呼ぶのもな。」
「まぁ色々あってな。こいつ貴族好きじゃねーんだよ。嫌々やってんだ。」
『あぁ、それは聞いた。僕と似てるっていってた……深堀はしないが』
「ただ、今回はクロムと約束したからってのもあるけど、こいつの領が貧乏だったのはクルードのせいなんだよ。ポートル方面からの流通をわざと止めててなぁ。だからいっそこいつに全部まとめて任せちまおうかとな。ついでに渋ってた子爵への陞爵をさせちまおう、と。どうだ?わかりやすいだろ?元々あの領お前に任せたかったんだぞ……そしてさらについでにマルスを男爵にしよう!」
「ついでついでってよぉ……わかったよ。そもそもいい話しかねぇんだ。受けるつもりだった!ちと渋ってみただけだ!クロムも嬢ちゃんも悪かったな。ただの八つ当たりだ」
『迷惑かけてすまん』
「いや、本当に何も悪い話ねぇんだ。奴隷救ってくれてありがとうな!まぁ強いていうなら仕事が増えるのとマルスが怒るか……。どっちみち俺はポートル中心にうごくからな。あの町の場所実は結構重要なんだ。だから今の……ちっ、クルードの街の代官をマルスにやってもらうことになる。自分の名前街につけんなよ……俺が領主になったらまず街の名前変えてやらぁ」
それは本当にそう思うわ……。
『でもおっさんが領主になってくれるなら安心だ。周りの農村もひどいもんだったからな。あ、クルード……ちっ、の街の前の農村ちょっと弄った!たぶんすげぇ農作物生えてるとおもうから全部買い取りに行くな』
「弄ったって……あれお前のせいか!見て来たわ!こんな時期に出来ねぇ野菜できてたぞ……まぁ喜んでたけどな。はぁ……お前こえぇわもう……有益ならいいけどよ……絶対言うな!兄者もな!」
「こいつが変なのは分かってるって!いわねぇよ!あ、クロムな。お前のこと縛ったり使ったりしねぇから獣人国で楽しんでくれ。まぁ困ったら相談に乗ってくれ。それくらいいいだろ?東から3番目の塔の1階が俺の部屋!勝手に入ってこい!嫁さんがいないときな!あっはっは」
めちゃくちゃだ……なんだこいつら……
『そういえば、さすがにおっさんは王様に失礼過ぎないのか?兄弟弟子でも大丈夫なのかそれ?』
「だろ!?言ってやれよ!王命だってよ!」
「なんでせっかく息抜きしてんのに息つまることやんねぇといけねぇんだよ。俺王様嫌いなの!」
『同じこと言ってんじゃん……似た者同士だなぁ』
「……クロムさんもですよ」(ボソッ)
え?
「じゃあ難しい話は終わり!ちっこい子がクラマ?と古代種の少年がクラム?はこんな話飽きただろ?すまんな!よっしゃ!好きなもん頼め!王様がおごってやろう。あっはっは。クロムも聞きたいことあったんだろ?」
『名前逆!いけいけクラムクラマ!目指すは金貨だ!!あぁ、眼の話だ。』
「これとこれおすすめだぞ。すげーうまい!!いいぞ~みんな知ってるからな!」
『やった~!じゃあそれにする~!』「……いいの?じゃあ、これとこれとこれと……」
たまに入る難しいお話とお子とママとついでに子煩悩なおっさん共の話でした。
貴族の話難しー!!子供の話が一番書いてて楽しい!
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