103話 - 家族対決②
(((ドンッ!!!)))(地面を蹴った音)
開幕早々3人ともすごいスピードで襲ってきた。
ほんっとに本気でやるんだな……
そんな僕と戦いたいのか……
僕そんなに強い人と複数戦したことないんだけどなぁ……
まぁ僕の練習にもなるかっ…うわっ!?
まず開幕早々……
エステルが空中に飛び上がって氷の矢を何本も……
目にも止まらないスピードで放ってきた!!
(バシュシュシュシュシュシュ)
それ使うの!?
うわっと……ほっ!?はっ!うおッ!!ひッ……
(ズダダダダダダダダダダダ)
地面にものすごい勢いで氷の矢が刺さっていく……
クロムは左右に体を振りながら後ろに下がって躱していった……
『びゃっか……』
うそだろッ!?!?
『りょうらん~!』
(ズドオオォォォォォォォオオン)
訓練場を白炎の嵐が覆いつくす………
クラムのやつ……みんなにダメージはいらないからって……
いきなり最大攻撃ぶっ放すのは反則だろ!!
”蒼氷盾”《クリスタルシールド》
とりあえず打ち消せるように全面に蒼氷の盾はったけど……
このままじゃ……
シュッ(ズドッ)『……ダメ』…シュンッ
うわっ!!(サッ)
あぶねぇぇぇ……後ろにいた!!
盾を解いた瞬間にクラマの後ろからの刺突……
クロムはなんとか体を歪ませ短刀を避けた。
やっぱはっやいな……
エステルの直接的な速さとちょっと違う。
上手く緩急をつけている感じだ……
しかも刺突した後に速攻後ろまで下がった……
うまい……ヒット&アウェイか……
やっば!上だ!!
避けた瞬間に飛び上がっていたエステルが降ってきた。
そのままかかと落としが炸裂!!
『ここです!!』
”アースウォール”ッ!!!
(ズダアアアァァァアアアアアン)
やっば!割れた!!!
”嵐撃”(ドンッ)
『キャアアアアアッ』
あぶねぇ……急いで嵐を圧縮して吹き飛ばしたが……
これはダメージないなぁ……
エステルの攻撃を魔法で防ぐのはキツイな……
また後ろからクラマ!!
”蜃気楼”《ミラージュ》
幻術!?うっそ!!
やばい!初戦だからわかんない!
全部ふっとべ!!
”嵐気流”ッ
嵐で乱気流を起こしてみた。どうだ?
『……ちっ』(シュンッ)
今舌打ちしたっしょ!?はぁ……避けられた。
辛いよ……3人がかりはひど
『こきゅ~とす~』
いやだからクラムは技のスケールおかしいってえええ!!
やばい……訓練場が全部凍っていく……
これこの前僕が教えたやつじゃん……絶対使うなって……
蒼氷地獄ね……全力の蒼氷魔法だよ……
取りあえず目に見えるもの全部凍らせろって……
それだいたい氷の極致の魔法につく名前のやつだから!!
その最初のターゲットが僕……うぅ……
”白炎陣”
はぁ……いそがしいなぁ……
じゃあみんな避けなよ?
”雷波”《ショックウェイブ》
『わっ』『危ないっ』『……くっ』
『負けませーーーん!”デスサイズ”ッ!』
闇の鎌とか聞いてねえええええええ!
・
・
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「ここ地獄……?この不思議道具なかったら王都消えてるわね。ほとんど見えないわ~♪ちょっと煽りすぎたかしら?うふふ♪誰かこの子たちの全力把握しておかないとね?でも……クロムくんは本当にすごくすごく手加減してるのね。受けているだけなのが私にもわかるわ。全部後出し。攻撃は避ける猶予をつくっている。これで皆は手加減されてるって思っちゃうのね……」
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・
それから10分程技の応酬が続いた……。
エステルは精霊術をつかった色んな弓の乱打。
双剣の形や間合いも変えて自由な位置からの攻撃。
さらに格闘術も合わせながら遠近どこからでも攻撃を仕掛け続ける。
万能型だ。どの位置でもとても強い。
クラムは大技を使い続ける。
逃がす場所を与えないフィールドを覆いつくすほどの超火力殲滅魔法。
味方に攻撃が当たりそうになったらシールドでカバーしながら。
超火力と防御を兼ね備えた戦闘スタイル。
その隙間に幻術をつかいながらクラマが攻撃をはさむ。
スライムの体の急所は分かりづらく、
それでも目や着地した瞬間の隙などをうまく狙い続ける。
全てが隙狙い、急所狙い。1撃1殺という言葉がとても似合うだろう。
でも……
ふぅ……今のはマズかったなぁ。
みんないいチームワークだ。
僕が練習相手になってるならよかったなぁ……
ちゃんと攻撃も躱すし、しっかり僕に隙が無い様に攻めてるな。
よしよし。
この魔道具売ってくれないかなぁ……
……クロムはずっとこの調子だった。
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『パパまじめにやって!!』
クラムが突如叫んだ。
『え?僕は真面目に練習を……』
「ずっと私達に合わせて戦ってます……倒しに来てください」
……そうなの……か?
僕……無意識に……合わせてるの……?
『倒す……みんなを……?』
「……パパの全力……みせてよ」
……全力って……なんだ?
『……どう……すればいい?』
『いっぱつで倒せるでしょ~?』
「きっとそうですね」
「……うん。もう……何回も殺されてたよ」
そっか。僕……合わせながら戦っちゃうんだなぁ。
無意識に避けられる隙間を作るように打つんだ……
それで手加減してるって思われてたんだ。
『一発?』
「はい!」『うんー!』「……大丈夫」
『わかった……一発だけ全力。これでおしまい』
「『「こいッ!!」』」
……すぅ~
ふぅ……。行くよ。
”大気異常”《アトモスフィア》
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『あ~あ、まけちゃった~』
「……なにされたのかわからなかった」
「最後の魔法は……一体」
『あぁ……うーん。……空気をぎゅってしたり膨らませたり?全力って言ったから魔力全力で空気を早く動かせて圧力を増やしたり減らしたり……無と風の複合だよ。限界までやると体潰れちゃったり破裂しちゃったり?でも……そうなる前に死んじゃうと思うよ……。体耐えられないと思うからさ』
「風じゃなくて空気……で攻撃ですか?避けられません?」
「気圧……っていうか。どうだろう?範囲内だと避けるのは不可能かな。空気だから。あ!でもゲート作れば避けれるかも!」
『シールドすぐつぶれちゃった~』
『うーん。まぁあらゆる場所からダメージあるだろうしねぇ。そもそもシールドの中にも空気はあるから物理防御あんま意味ないかなぁ……』
「……どうやって勝つの?」
『僕もわかんない……あ、なんかしらで断層作って自分の付近への空気への干渉か、魔力への干渉を防げば行けるかな?相手が操作できないようにすれば!!えっとそのためには風魔法……いや無属性か……でも確実なのはやっぱり空間魔法でゲートで体の周りを覆って次元の断層を……ん?』
「ちなみに他にもこういうのあります?」
『そだねぇ……まだあるかなぁ……あはははは…は』
『「「…………」」』
『だって!全力でやれって言うから!!』
思い返してもすっごいひどい魔法使った気がする……
”大気異常”《アトモスフィア》は加圧と減圧状態を繰り返す技。破裂、圧殺、おまけに真空にもできるしどれか1つでも多分負けない。実はそれぞれでも使える。でも全力って言われたからさ……絶対に逃がさないようにその状態をデタラメに変えたんだ……まぁまぁえぐい技だよね……多分。この技の途中段階の技5個くらいあるんだけど……。でも……全力って……グス。
よかった……この道具ダメージ飛ばしてくれる仕様で……
受けて回復とかだったら絶対やりたくなかった……
くっそ……キャシーめ……
手加減しても全力でやっても居た堪れないじゃないか……
こんなんクソゲーだぁぁぁぁ
今日のことは記憶の彼方に抹消しよう……
「はいはーい♪どう?楽しかった?」
「……うん。みんなの強さがわかってよかった。ぼくが……一番弱いね」
「はい!一度全力でやって欲しかったんです!いつも私達ばっかりなんで……やっぱり思った通り!ぜーったい勝てないことがわかりました!意味が分かりません♪」
『きもちよかった~!いつもつかえないのいっぱいつかったああ!パパのまほう……クラムにはちょっとむずかしいなぁ~つかえるようになるかなぁ~?』
クラムだけ方向性が違う気がする……
それであんな超広範囲殲滅魔法みたいなやつばっか連打してたのか……
『僕って無意識に手加減してたんだね。それがわかった。ごめんな。』
「そうよ?手加減されてる方はわかっちゃうんだから。たまには全力で負けさせてあげることも大切。その方が皆もつよくなるわよ♪」
『気持ちよかったなら良かったよ。はは。……くっそおお!僕は全然気持ちよくない!!お酒飲みに行きたい!みんな付き合って!!』
「はい♪」『クラムもおなかへった~』「……おさけおいしい?」
いや、クラマはダメだから。
「じゃあみんなBランクにしとくわね♪また後日いらっしゃいな。付き合ってくれてありがと♪Aでもいいんだけど……いやSかしらねぇ……その辺りは王様と相談がいるのよねぇ~」
あ、全員Bランクになった……
まぁ。結果オーライか。
はぁ……もう二度とやりたくないなぁ……(トボトボトボ)
「元気出して下さ……
・
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・
行っちゃったわね~。
ちょっとクロムくんに悪いことしたかしら。
オグルちゃんの言ってた通り。
私……クラマくんがぎりぎりかしらねぇ?
クロムくんはちょっと規格外……何やってるかもわからなかった。うふふ♪
元Sランクなんですけどねぇ……
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