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102話 - 家族対決①

 本部のギルマスに連れられてギルドに併設されている訓練場にやってきた。


 うわー。ここ中でしょ?ポートルよりだいぶ大きいなぁ……

 設備もかなり整っていて武器も豊富。


 これなんにつかうんだろう……っていう訓練用の器具もある。

 馬とかも走らせてそうだなここ……すげぇ……さすが王都。


「ここ広いでしょ~?騎士との合同訓練もしたりするのよ?」


 へぇ~、獣人国って闘技大会とかもあるっていってたしなぁ。

 訓練とかもきっとすごいんだろうな。

 僕素人だから1回ちゃんとした訓練見てみたいなぁ。


「じゃあやりましょっか。あ、私キャシーっていうの。よろしくね?」


「……うん。クラマ」


「クラマくんっていうのね。よろしく♪」


「……武器は?」


「うーん。まぁケガしても嫌だし木剣でやりましょうか」


「……キャシーに勝てばいい?」


「あらあら、うふふ♪元気ねぇ。でも……嫌よ。」


 おお、すごい自信だ……。

 この人、たぶんポートルのギルマスより強い……

 クラマじゃ……ちょっとキツイかも……


「……負けないよ」


「あら……?嫌よ……あ、そういうこと!?ちがうわ!ごめんなさい!私やんないわよ?」


『『「え」』』


「ギルドマスターやってるとよく勘違いされるのねぇ……血気盛んな子多いから……」


 いや、筋肉の問題では……


「だって私が直接戦うメリットなんてないじゃない!もうB級を下せる程強いところみせてもらったわよ?」


 まぁ……それはそうですが……

 俺の肌で感じたい!ってだいたいの強者がいうじゃないですか……


「私戦いそんなに好きじゃないのよねぇ……スイーツ食べてるほうが幸せだわ~♪」


 そ、そっすか……。

 すごいギャップだ……


 筋肉こそ美学系の人かと思った。

 見た目で判断してすみません……

 でもこの人めっちゃつよいよ?なんでだ……


「……どうするの?」


「そうねぇ?エステルちゃん?」


「は、はい!」


「エステルちゃんと勝負しましょっか?」


「私ですか!?」


「……ママと?」


「うんうん♪クラマくんは思いっきり!エステルちゃんは躱しましょうか?効率良いと思わない?」


 なるほど……そういうことか……

 エステルとクラマ……か。


「でも……」


「……ママと」


「そうねぇ。ちょっと全力は抵抗あるかしら?じゃあ……クラムちゃん?」


 え!?


『クラム~?』


 あ!ばか!


「うんうん、エステルちゃんに結界つかってあげて?」


 え……なんで……知ってるんだ……


「何で知ってるの?って思ったのね?クロムくん?」


 ………


『あぁ、そっか。そりゃそうか』


「うんうん♪君たちの荷物運んで王都にきたんでしょ?待ってたのにあなたたち全然こないんだもの~。これからずっと王都に魔物の素材運んでくるのに私が一番知っておくべきじゃない?心配しなくても余計な人には言わないわ♪」


『ポートルのギルマスから?』


「そうよ?オグルちゃんから聞いてるわ~。安心してね♪」


 ……あのおっさんの信用ある人なら大丈夫か。

 あ~びっくりした。


 でも、おっさんはちゃん付けなのか……


 まぁクラムのシールド入りならケガはないかな。

 ちょうどクラマもみんなの力みたいって言ってたし。


『いいんじゃないか?クラマはみんなの力、感じてみたかったんだろ?まだ知らないんだもんな』


「……うん」


『大丈夫だ。クラマが思っているよりエステルは早い。クラムのシールドは僕でも壊すの大変だ。おもいっきりやっていいぞ?保証する。そもそも木剣なんかじゃクラムのシールドは割れん』


「……わかった。パパがいうなら」


「でもクロムくんはどうしようかしら……一度みんなの力みておきたかったんだけど~クロムくんって本領発揮できるの魔法なのよね?それもかなり強力な……困ったわぁ~」


『パパ?』「クロムさん……」「……?」


 え、なに……この雰囲気……。

 なんで……みんなこっちみてるの……?


「あら?みんなはクロムくんとやりたいの?」


『パパね~?いっつもにげちゃうの~』


「はい、クロムさんには相手にされない、というのでしょうか……」


「……そうなの?パパが一番?」


「はい♪ダントツです♪」『うん~かったことない~』


『いや!いっつも負けてるじゃん!』


『パパはすぐやめるからでしょ~?』「そうですよ……」


「あらあら、面白くなってきたわ~♪」


 キャシー煽んなよ!!


 ちょっと待って、嘘でしょ……これ、僕もやる雰囲気?


「エステルちゃんとクラムちゃんは……2人でならクロムくんに勝てる?」


『……むりかも~』「無理かも……です……」


「……そんなに?」


『まてまてまてまてまてまてまて』


「じゃあ、3対1にしましょっか。私はみんなの強さを確認できればいいの。うふふ♪」


 嘘だろおおおおおお!?!?

 なんでみんなやる気なんだ!?


「それじゃあ、遠慮はいらないですね」


『かつからね~パパ~』


「……わかった……全力で」


 はぁ~どうするかなぁ……これ……

 嫌なんだよなぁ……僕戦いに興味ないんだもん……


「クロムくんはあまり戦いが好きじゃないのね?」


『あぁ……』


「でも手加減ってされてるほうは気付いちゃうから……たまには息抜きも必要だと思うわよ?いい魔道具もってきてあげるわぁ~」(スタタタタタタタタタ)


 魔道具……?


 ・

 ・

 ・


 5分ほどしてキャシーが戻ってきた。


「はい、これ。この魔道具ね?宮廷魔導士の力作で幻術魔法が込められてるの。古代の遺産を改良したらしいわ?はっきり作りかたはわからないらしいんだけど……実際にはダメージは全く負わないから心配なし!好きな体力を設定してそれ以上のダメージを受けると外にはじき出されるの。そこでおしまい。どう?外にもダメージいかないのよ?不思議よね~」


 古代の遺産?ひょっとして神様の……?


≪ひさしぶりね~!そうそう、おもいっきりやっていいわよ~≫


 ソフィア様!?


≪その道具は戦争とか戦いを専門にしている担当の子が世界に影響を与えず特訓させる為につくったものなのよ。ほおっておくと世界を台無しにされちゃうからデメテルが怒るの。魔法がある世界は危ないのよ……。そのフィールド内で起きた全てのダメージは全て別次元に飛ばすわ。外にもカットしちゃうから届かない。武器も地面もなにもかも元通りだし、ダメージを受ける先もバッジをつければ選べるわ。その世界の子がつくった部分はないわね~作った気になってるだけ。完全にこっちの道具よ≫


 あぁ、じゃあ大丈夫か。わかりましたー!


≪最近話してないからまた話しかけてきなさいな。じゃあね≫


 はーい!

 いや~最近すごいドタバタしてたからなぁ。

 でも、ちょっと力抜けた。ふぅ。よかった。


『体力ってステータスの?鑑定道具で図れるやつ?ダメージを受ける先は選べるの?』


「そうよ~?あ、味方同士はバッジつければいいわよ?どうするの?」


 10分の1だよな。


 -----


【意思伝達】


『どうするの?神様が全力で大丈夫って。ダメージは受けないってさ。外にも影響ないって』


『聞こえてましたよ♪大丈夫です』


 あ、そっか。みんなに伝えてくれたんだな。


『じゃあぜんぶ~!』『はい。ダメージなしならそれで構いません』『……神様?僕もそれでいい』


『全力でやってほしいんだな?』


『うん~!』「はい!」「……おねがい」


 楽しそうな顔しちゃってまぁ……はぁ。


『みんなはどうする?思いっきりやりたいなら3人同士のダメージはカットする?』


『どうします?慎重にやります?』

『んーパパとおもいっきりやろ~?初めてだもん~』

『……みんなも初めてなの?』


 -----


『全部だそうだ。3人にバッジあげて。僕はいらない。キャシーさんは外に出ててくれ』


「あらあら、わかったわ。本格的ねぇ♪」


『もうどうせダメージ受けないならみんな武器使っていいよ……』


 ・

 ・

 ・


 キャシーさんが訓練場の外の観客席に出た。


「ここからこのボール投げるからね~!地面に落ちたらスタートよ!わかった~?」


「はーーーい!!」「……いくよ」『てぬきはダメだからね~』


 はぁ。まぁずっと避けてたし。

 ちょうどいい道具使ってくれるみたいだし。

 それなりに頑張ってみますか。負けそうだけど……


「よーーーーい………」(ポーーーン)


 ………トンッ


(((ドンッ!!!)))(地面を蹴った音)


 いや……ガチじゃん……



2本立てです!次回!クロムの全力が……みれるのか?


-----


この小説を読んでいただきありがとうございます!


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