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101話 - 半分こ

「それでは、クラマ様の登録とエステル様のランク更新を行ってきます。少々お待ちください。あ、パーティー登録はどうなさいますか?」


 パーティー?あ、そうか。

 今まで実質エステル1人だったもんな。


 でもこの世界パーティー組んでも経験値配分がされるわけでもないし……

 え、無理だよね?


『パーティー組むメリットってあるの?経験値配分とかされんの?』


「パーティーを組むメリットってあるんですか?経験値配分されるとか……」


 あ、ありがとエステル。


「経験値配分……?いえ、単純に同じチームのメンバーとして登録されるだけですよ?パーティー単位で有名になったり……闘技大会なども個人戦以外にパーティー戦もありますね。複数パーティー合同のクランなどもございます。あとは……他のパーティーから勧誘されにくくなりますかねぇ?あとは……えっと……あ、パーティー単位で口座がつくれたり倉庫が借りられます!」


 うん、わかった。

 あんまないんだな。

 経験値配分なんてこの世界にあるわけなかった……


 ただでさえしっかり経験しないと経験値0の世界でパーティーだから経験値もらえるとか意味わからんもん。


 寄生し放題じゃん。

 ポンコツが出来上がるしむしろそのシステムいらない。


『とりあえず勧誘とか来たら嫌だし組んでおこっか。名前後付けでもいいかなぁ。そんな簡単に思いつく?』


『思いつかないです……』


『……?』


 うん、クラマはね。苦手でしょ絶対。


『はぁ~おあよ~』


 あ、クラム起きた。


『おはよクラム、ねぇねぇパーティー名って何か思いつく?』


『ぱーてぃー?やきにく~』


 うん。知ってた。

 この前オーク肉で焼肉パーティーしたんだよね……

 楽しそうだったもんなクラム……


「登録して欲しいのですがパーティー名って要りますか?後でも大丈夫です?」


「はい、大丈夫ですよ。では個人名で登録しておきます。またパーティー名が思い浮かびましたらギルドまで。少しお時間かかりますのでおかけになってお待ちください」


 そういえばアランノルドサラさんってパーティー名あったのかな?

 名乗ってなかったけど。今度会ったら聞いてみよっと。


 ・

 ・

 ・


 クラマの登録、エステルの更新、パーティー登録を全て同時に行っているので結構時間がかかるようだった。もう30分くらいは経った。


 クラマクラムがうとうとしてる……。


 静かにしてると眠くなっちゃうよねぇ……

 元々口数多い方じゃないもんね2人とも。

 ってかうちのパーティーみんなそうかも?


『ちょっと長いなぁ。仕方ないけどね。2人とも寝ちゃいそうだ。クラム起きたばっかなのに……』


『ふふ。そういえば口座や倉庫って作ります?』


『あーどうしよっかなぁ……お金も素材もアイテムボックスが一番安全だろ?』


『ですねぇ。異次元収納万能ですから……私達にはあまり活用の場はないかもしれないですねぇ』


『まぁこの先ダンジョンとかいくし、アイテムボックスいくら広げても足りない!みたいな状況になったら借りようか。ちょっとこの前の空間魔法のせいでMP足りなくなってきたんだよね。今MP50000程アイテムボックスに振ってるけどさ……』


『MPそんなに使っててまだクロムさんが一番ゆとりあるのはすごいですけどねぇ…』


『僕それくらいしか取り柄が……』


 と、エステルと何気ない会話を楽しんでいたら……

 4人くらいデカいやつが近付いてきたな。


『エステル』


『気付いてますよ』


「おいおい、いつからここはお遊戯会場になったんだ?こんな子供2人が冒険者やってだいじょぶかよ、はっはっはっは」「「「はっはっはっは」」」


 わー。典型的なテンプレ。これぞテンプレ。

 前回のナンパと違う。ただ絡みに来ただけのやつだ。


 2人ともちっちゃいからなぁ。

 ただ……知らない人に話しかけるのそんな楽しいかぁ?


「私は成人してます!」


 あれ?ちょっとエステル膨れてる?

 気にしてるの?今まで全然そんな感じしなかったけど。


『エステルはそれで充分かわいいし美人だとも思うよ?どこいっても大人気じゃんか』


『ふふ♪ありがと……じゃありません!それとこれとは別です!』


 そうなんだ……ノンデリだった?


「おお、でもこいつ結構かわいいぞ」


 ほら、やっぱり。そっちに流れるんだ……。

 はぁ……めんどくさ……


「お?マジかよ、ちょっとこっち向いて……」


 あ、ちょっと!それは……


 冒険者がエステルの肩をもって強引に振り向かせようと……




(パチッ)シュッ……


(チャキッ)「……殺す?」


「ひぃ……」


『ころさないでくださあああああああああああい』




 した瞬間……

 目を覚ましたクラマがエステルに触れようとした冒険者の後ろに回り込んで短剣をのどに当てつけた……


 見えなかったぞ……今……


『クラマやれやれ~!』


 いつ起きたああああ煽るなクラムうううううううう!!


「じ、冗談じゃねぇか……ちょっと可愛いと思っただけで……」


 触ろうとして冗談も何もあるか。

 ちょっと僕もイラっとした。


「………ママに触るな」


「おお、すまねぇ……ちょっと大丈夫かとおもっただけだ……大丈夫そうだな。へへへ……」


『うん、エステルに触るな。……じゃあいっかな?半分だけね?僕もイラっとしたから残りの3分の1もらった』


『じゃあクラムも~』


『皆さん……でもちょっとうれしいですね……ふふ♪』


(チャキッ)


「ひぃぃぃ、待ってくれ!帰る!帰るから!」


「クラマくん、私は大丈夫ですよ?ありがとうございます♪」


「わかった……」


 短剣を下した瞬間冒険者たちはそっと後ずさってギルドからでていってしまった。

 

 うん、絡まれるくらいならほっておこって思うけど……

 僕もちょっと止めようかと思った。


 軽く体当たりくらいしていいかなぁ……

 スライム不便だなぁ……


「あ、あの~。登録おわりました……」(カタカタ)


 あ、受付嬢さん戻ってきてたんだ………震えてるじゃん………


「すみません……あ。あの……ギルド内で武器を抜くのは……」


 おお。すごいな、受付嬢さん……

 今のシーン見てよく言ったな。


 まぁ武器はあんま良くなかったか……

 僕もイラっとしたからね……反省だ。


(スタッスタッスタッスタッ)


「あらあら、今のはあいつらが悪いわよねぇ?」


 お?この人……受付さん?

 強いな……かなり……。


「君はママが大好きなの?」


「……うん」


(ナデナデ)「うふふ♪かわいい子ねぇ」


 クラマがなにもされずに頭をなでられてる……。

 すごい包容力だなこの人……


「ギルド長?」


 本部のギルド長さんなの!?この人!?

 どおりで強いと思った……


「でも他の人が怖がっちゃうから建物の中でで武器を抜くのはやめましょう?殴り飛ばすくらいならいいわよ?私が許すわ。ね?備品は壊さないで欲しいかしらね?うふふ♪」


「……わかった。次はそうする」


「いい子ねぇ、いい子は好きよ。君可愛いわ~。」


 この人……タイミングよく出てきたけどひょっとして見てたのかな。

 あのマルスさんみたいな感じで……


「でも今の子たちB級よ?あなた強いのねぇ……?この子ランクはいくつ?」


 あ、あいつらB級なの?鑑定もしてなかった……

 クラマってBくらいだと思ったんだけどな?


 Bってすごい枠広いんだな。

 クラマAくらいなのかなぁ。


「あ、はい。今、登録が完了しましたのでG級ですね」


「あらぁ……それはちょっとないわねぇ……。いいわ。少しテストしてあげる。ついてらっしゃいな?」




 あら、本部でもテスト……?

 相手はギルドマスターかな?

 でもクラマだけすごい離れちゃってるしありがたいかも。


『クラマ頑張れ!僕達に追いつけるかもしれないぞ!』


『クラマくんファイトです♪』


『いけいけ~!ねぇねおうえんしてるね~!』


「……うん。頑張る」




 あ、ちなみにギルドマスターはとっても美しいオネェさんでしたよ?

 ワンピースの胸元はじけ飛びそうだった。筋肉で。

この小説を読んでいただきありがとうございます!


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