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負けず嫌いのアン・ネヴィル  作者: なまくら
1/6

王妃なのに、ぼっち死に!!

史実をちょっぴり味つけにしたフィクションです。



私の名前はアン・ネヴィル。

この輝かしいイングランドの王妃にして、瀕死の病人だ。

はじめまして。もうすぐ死にます。

ずっと咳がとまらず、どんどん身体がやせ細っていく。食べものも受けつけない。もう助からない。自分の身体のことだもの。なんとなくわかる。


ずっと愛し合ってきた良人のリチャードももう訪ねてきてくれない。彼は、兄の美貌譲りの(エリザベス)に夢中なのだ。おのれ、あの手遅れなブラコン患者め……。


思い返せば、私の最大の恋のライバルは、若さあふれる令嬢でもなく、大輪の貴婦人でもなかった。リチャードのじつの兄、前国王、エドワード四世だった。


自分で言うのもなんだが、私は美貌、才能、家柄に人より恵まれていた。この世のどんな女性より、リチャードの魂のそばにいるという自負もあった。実際、あまたの恋仇たちを、卑怯な手なしに、正々堂々打ち破って来た。

なのに、彼の兄にだけは、常に苦い敗北感を味あわされた。私は女に勝って、兄に負けたのだ……。


ようやく亡くなったと安心したのに、まさか姪という形で、再び私を脅かすとは。私にとって永遠の疫病神だ。私の運は最低だったが、きっとこれもすべてエドワード四世と関わったせいだ。ま、細かい事情は、そのうち説明しよう。話す時間なんてものが、私に残されていればだけど。


それにしても、昼間にしては暗すぎない?

ああ、視力ももう死にかけてるのか。


「太陽が闇に食われる!!」

「この世の終わりだ!! 審判のときだ!!」


悲鳴をあげて逃げ惑う大騒ぎを耳にし、私は事情をのみこんだ。

皆既日食だ。

まさか私の死にあわせて起きるなんて。

これだけインパクトがある死を迎えたら、リチャードも私のことをずっとおぼえていてくれるかしら。無理ね。あの人の心は……ずっとお兄さんで……いっぱいだもの。


そのため息が、私のこの世での最後の呼吸となった。


◇◇◇◇◇◇


アン・ネヴィル。


1456年6月11日生まれ

1485年3月16日没


キングメーカーとおそれられたウオリック伯の娘。

シェイクスピアの劇で有名なリチャード三世の妃である。


彼女の生きた時代は、イングランドじゅうの貴族が、白薔薇派(ヨーク)赤薔薇派(ランカスター)に分かれ、王位をめぐった死闘を繰り広げていた。これを薔薇戦争という。


アン・ネヴィルは、白薔薇派(ヨーク)最大勢力の娘でありながら、叛旗をひるがえした父の策謀により、

のちに赤薔薇派(ランカスター)の王太子妃になり、

敗れて捕縛。

いろいろあって台所女中に身をおとし、

そこから公爵夫人→白薔薇派(ヨーク)の王妃という

波乱万丈の人生をおくった。


彼女の臨終のとき、皆既日食が起き、人々は不吉な予兆とおそれおののいた。


……なんと、諸説はあるが、ここまで史実だったりする。

設定盛りすぎ。


彼女の死後、数か月後、国王リチャード三世は、格下と侮られていた穴馬(ダークホース)のヘンリー・テューダー、のちのヘンリー七世に、誰もが予想しなかった大敗北をし、壮絶に討ち死に、ここに薔薇戦争にいろどられたプランタジネット朝は終わりを告げた。


史実では。

史実「を」ちょっぴり味つけ「に」したフィクションです。

史実「に」ちょっぴり味つけ「を」したフィクションではありません。

大事なことなので二度言いました。


作者に歴史の知識はまったくありません。

歴史ものに入れていないゆえんです。

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― 新着の感想 ―
後々話が出てくるのかもしれないのだろうけど一言。 夫のことをぼろくそにこき下ろしているけども、 前年に急死した息子のことに思い至らない貴方も大概よ>アン、今際の際にて。
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