第九十六夜 婿に来たってジワジワきてるよな
水曜日 アキラ料理教室で 樫村本家に 明と婆到着
「比丘さんじゃかなった 明さん 実家行って荷物とか取ってきます」計二
「俺も出禁らしいので 計二くんをカートに誘おうと一緒に行く」光宏
「こっちは ド素人の要求基準で始めるから 憑いてこれるでしょ
婆様も その要件基準でお願いしますね」明
「婆の基準で 参ります」婆
そもそも明と歩美以外 婆様の素性を知らないまま教室スタート
和恵はどこかで観た顔と思い出してる
15分で婆様ブチ切れ ままと止める明 吹き出す姑の佳代
「そもそも どこの婆様なの」と歩美に詰め寄る順子
「岩山の長兄の婆様 明くんの教室に渋っていたからヘボいと」歩美
「パンチのアキラに比べたら99.9%の人はヘボいわよ」順子
「それで観た覚えがあるお顔 岩山流のトップエンド」和恵
婆様のブチ切れを明が止めながらも 教室のメニューは熟されていく
お昼前に出来上がったおかずと炊けたご飯
ちょうど帰ってくる 計二と光宏組
帰りの車の中で計二と光宏組で 不味いことは織り込み済みと握っていた
皆で頂く初料理教室で創られたおかず達と明が炊いたご飯
「意外と美味しく食べれる」歩美
「それはアキラ殿が要所要所で指導を入れておったからじゃ
今日を思い出して 明日同じものを作れれば良しなのじゃがの」婆様
「婆様 まぁまぁ 長い目で」計二
上から との思いが顔に出る和恵
ここで婆様に言える肚 他にもなにかある 慎重になった順子
「サニーサイドアップ 2つ目で焼いて味噌 付け合せはなしでいい」明
その辺にあったテフロンのフライパンを綺麗に洗い 焼き始める計二
卵は片手で2個同時に割って フライパンを微妙に揺すって焦げ付けさせずに
菜箸でサラッと皿の上にのせて 明の前に配膳
「こうやって 黄身がトロトロで白身が半熟 でも崩さない 目標だね」明
計二くん、ものすごく簡単にやってたけど、今日の最初の課題の目玉焼き
焦がすか半熟どころか崩れて皿の上に載らない な三人 実力差を思い知る
「歩美が出禁にした意味が理解った 兄貴たちとは違った意味で出禁」順子
「卵を片手で割ってた 次元が違う 出禁に賛成」和恵
「でしょ 基準点を計二くんに合わせられたら 困るから出禁」歩美
「それで午前中は俺と一緒に行動」笑ってはいけない苦行を熟す光宏
「婆も樫村の婿殿の出禁には賛成じゃな」
「婆様 岩山から電話で お迎えが13時との事でしたが 3時と間違えていて
お迎えが3時 15時になるとの事 3時間ありますので 婆様のお手前を
久しぶりに頂きたく」母の雅代
「良い考えじゃ 皆で基本の基 薄茶の運び手前を 女五人で」婆様
雅代の案内で 女性五人で移動していく 憑いていく男三人
茶室の前で 歩美に追い返される 男二人 光宏さんだけ入室を許される
意味が解らない和恵 手前座に座らせればあの指示の意味とか と思う
「計二くん 計二くんの部屋掃除終わってるから ダンボール片して」姑の佳代
10畳ほどの部屋 作り付けでデッカイクローゼットのハンガーラック
ガラス製の飾り棚 これもデッカイ
木の置きだなもある
デスクと4席のテーブルセットもある
「これと これの辺は 飾ってもいいな」ここ4年間の年間の盾
「あとはダンボールでいいや」とダンボールのままクローゼットの中へ
「これか 女神の祝福を7回って シリーズ6戦だろ」明
「年間表彰で此の盾の時も勝利の女神は祝福をしてくれます」計二
「4年前が100cc 3年前が250MT 2年前が250NR 去年も250NR
なんだ 250NRって?」
「“NO LIMIT!” ノーリミット 限定解除クラスの略ですよ
その前の250MTは250ミッション 単気筒クラス 世界的やってるクラス」
「すっげえなぁ」
「明さんは?」
「俺なんか 海難の捜索協力で海保とかからの感謝状位だな」
「それはそれで すごいですよ」
チノパンとかポロシャツを引き出しに仕舞う計二
部屋に入ってくる前に声を掛ける佳代
「入っていい 嫁に内緒のものは片したの」
「大丈夫です 特にのは隠しましたし、服とギア位っしか持ってきていませんから
明さんに教えて貰ったバウアー いいですね ヘタレないし見栄が晴れる
後は メットは落ちない一番下で スーツはハンガーで 済」計二
「あら、仕舞うのも上手ね なにかの表彰の盾も幾つもある
このケース 爺がゴルフを始めた時にトロフィー用に買ったのだけど
入れるものがなくて爺が空き部屋のここに勝手に置いたのよね
計二くんに有効活用されるのは この棚も嬉しがるわね」佳代
「トロフィー用なのですか ガラスなのに転倒防止や飛散防止とか
1段の高さ調節可能 最終戦で頑張って表彰台に載って トロフィー貰って
ご老公と婆様も一緒に入って貰って チームでの写真は飾ろう」
「計二がさぁ 此の部屋に引っ越して盾を飾る 最終戦の予定をこの部屋で立てる
俺もアパートからダンボールで引っ越し 婿に来たってジワジワきてるよな」
「ホントにお婿さんが来てくれた感があるわよ」佳代
「どんなんですかね? 俺ら三人の婿入りの衝撃派は?」
「さよのさんは四国九州露天温泉の旅に出た」
「順子さん情報だと さよのさんと同期で妹は香織さんと同期
香織さんの口上丸パクリで喧嘩売られて 景子様の披露宴で17の娘の
此の子のお父さん でクラッシュして津軽海峡へ一人旅だって」佳代
「(修造|玲美ちゃん)、容赦なしだな」明と計二
それでも香織の口上には触れない優しさがある
「計二くんのおかげで、ウチは高みの見物が出来るので有り難いわ
お昼のサニーサイドアップ 三人とも見事に凹んで教訓になったし
その表彰の盾もだし まだ隠し特技はあるのよね 楽しみ」佳代
無言で答える 計二と明
「婆様はお帰りになったわ
計二くん 片付いた? なにか手伝うことは」と歩美
「男ボンズの部屋に 逃げ込みます 疲れたぁ」順子
「順子さんは疲れたぁ でいいですが、私は胃がキリキリですよ」和恵
「光宏さんは?」佳代
「30分で逃げた」激おこの和恵
「でも、あれは婆様が 殿方は頂ければいい と追い出した訳で
光宏さんが婿殿達も とかだと惨事よ 15時じゃなくて 大惨事」歩美
「歩美さん そこまでで 言ったら面白くない」明
「明さん 土曜日の茶事を余裕で熟してましてたけど」
忠告を無視しても どうしても訊きたい 茶名餅の和恵
「それは 料亭も代打で行く 茶事もある 料理を創るにも
茶事の内容を熟せないと創れない 許状とかは無いですが一通りは」
山本さんの事と 景子さんとの茶室の事は言わない明
「やっぱり その筋で そこは理解ったけど 計二くんの指示出しは?」和恵
「追求が来るか 毎度の樫村の婿殿 茶の一つはトラップ」明
「そのための土曜日の茶事 樫村の婿殿 茶の一つも頂けないでは困るのよ
出来なければ今日から教えればいい そうよね 順子さん」雅代
「とばっっちり」と零す順子
『順子さんは料理も』と思うが黙る 佳代と歩美
旧家の嫁に婿 こういうイジメはある 順子さんは娘だし と思う和恵
「順子さんは自業自得 計二くんはパンチのアキラに習ってたの?」和恵
「情報公開を行いますか」とダンボールから出して和恵さんに渡す茶名の名札
「紙じゃなくで茶名の名札 しかも岩山の長兄の署名入り 嫌がらせ」和恵
「こっちが 煎茶」と出して和恵さんへ渡す 檜の名札
「煎茶も いやがらせ」和恵
「明さんも 煎茶いけますよね」計二
「そりゃ 和食屋 煎茶は基本で出来ないマズいだろ
今のトコ和食に中華にイタに 片瀬の嫁が和菓子屋の娘 和菓子も揃う
計二 今度習いに行こうな シッブイ煎茶に和菓子」
「なに?計二くんは そんなに凄いトコに居るの」訳がわからない順子
まったね