第九十二夜 フル装備もいいとこ あれが耐火だと火災対応になる
瀬山のデッカイ夢については 琴美ちゃんが探る
亜美さんは 一旦離れて 落ち着く と香織が纏めていく
「タクシー代はあるの?」と訊く香織
「TCで$1000頂きましたので 琴美を送って帰ります」亜美
鉄板焼屋の会計を済まして
「30分の散歩をして帰ろう 片瀬にも言われてるしな」
二人で デッカイ夢って 歌手は絶対ない とか話しながら帰宅
翌朝 0530 顔を洗ってジャージに着替えてる明
ジャージに着替えてスキンケアをしている香織
0555 玄関に行くと片瀬もスタンバイ
「香織が今日からだから 散歩の1時間4kmで」明
「了解」片瀬
歩き始める三人
「片瀬さん 本物の婚約指輪とか結婚指輪とか 予定は?」
「そっか 指輪かぁ 婚約はアレでいいらしい 運命の指輪だって
式披露宴 向こうの親とかとも相談しないとな
結婚指輪だけは文香の好きなやつに と握った」片瀬
それいい 俺も続こう
「式はいきなりでやったし 指輪を選ぶ権利を香織に譲るわ」
「それがいいぞ 香織さんと二人 歩美さんも入れて三人で揉めればいい
アクセサリー選び 女性の意見に男が首突っ込むと碌な事がないからな
指輪を選ぶ 結婚の一大事だ 権利は譲らないと」片瀬
「片瀬と奥山には、俺にはない世間一般の常識がある
その片瀬の意見だ 香織も信用したほうがいい」
男ボンズ二人の策略に丸め込まれて、選ぶ工程を丸投げされる
あとで聡子とかに訊いてみよう と諦めて話を変える香織
「デッカイ夢 世間一般の常識がある片瀬さんに訊いてみるのは」
「なんだ デッカイ夢って」
「カクカクしかジカで、どうも瀬山がデッカイ夢で女を釣ってる疑惑
デッカイ夢が何かを探してる状態」
「それなぁ 奥山がポケベル4つの情報を入手した時点で考えた
ひとつ候補があったんだけど あまりにもあり得なくて悩んで終わった」
「そっか プロスノーボーダー かもと思ったけど ヘボいしなぁ」
「なんらかの プロ なんだろうけど 解らない」片瀬
とかで方丈邸に戻り シャワーを浴びて 婆の準備した朝食を頂く
「香織さんが看護婦資格餅 安心して任せれる」と店に出発する片瀬
「感染症対策で このアルコール除菌液からマスクから置いていかれて
看護婦資格餅とか言われると プレッシャーでしか無いわね」香織
「香織 食中毒系じゃないから次亜塩素酸系は要らないよな」と声を掛ける明
これで防護服が出てきたら、どこの感染症隔離病棟よ と思う香織
「吐いてないみたいだけど 吐いたらこのニトリルの使い捨ての手袋をな使いな」
と入ってくる明
マックスガード感染防止のつなぎ服+フェイスガードには別体式のフィルターまで
「なにそれ」呆れ返る香織
「代打で行った時に挨拶で行くと医者も居る 聞き役に回ると 喜ばれる
感染症対策でお勧めのガードは? 日本だとこれだと 仲介して貰って買った
25組がワンロットでダンボールに入ってた 一回着てみないとって着てみたけど
手袋とかブーツカバーのテープ止めは 自分では出来なかった 問題点発見!
食中毒でゲロ吐かれたら これの出番だ テープ止めを頼むな」
「今は要らないから 自給式の酸素ボンベとかも要らないからね」香織
「酸素じゃないけど空気ボンベ せっかく出したのに
12L200気圧のアルミボンベにフルフェイスのマスク対応のレギ
このセットに装備すれば有線で話せれるし アウトブレイクの映画に出れる」
廊下に置いてある一式
「出してきた意味は?」
「いや アパートから持ってきたんだから 今入ってる空気だと水深40mまで
水深100mだと酸素ヘリウム混合ガスでベルからの供給で
ボンベも混合ガスでエマージェンシー対応用途になる
このセットはでも陸上でも使える 自給式のボンベとマスク対応レギ一式
片付けるついでに動作チェックをしてみたい」
ごそごそと装備を装着し始めて 完了でシュカーとかの排気音をさせている
「あのね インフルA わかる? インフルエンザA型なの エボラじゃないの
感染症対策のガウンセットは実習で着たけど学校の体験用備品だったの
白いつなぎ服と自給式の現物は1Setをクラスの皆で見ただけのレベルなの
完全に隔離病棟 それも屋外のテントの中仕様 なんで持ってるの」
「だって、これでベル潜で潜って仕事してたし 大事な仕事道具」
「そっちなの」
「装備で生命維持をして無理くり行く
空気のない海中も感染症のウイルス蔓延の隔離病棟も 同じだよ
俺は簡易の縫合とか止血とか骨のサポートとか腹痛位しか診れないから
隔離病棟内のウィルス対策は無理だけどね」
「なんで 縫合とか」
「救助で助けに行ったじゃん お礼に何が欲しいかって訊かれて
救助後の手当の仕方を習いたい と言ったら ROYALNAVYの軍医の
訓練に入れてくれて船上救急船員レベルの教育は受けて資格証もあるよ」
「またそんな」
「そうそう メシマズの資格だし日本の陸上では通じないかもしれないから
消防署の救急救命講習 1日で終わるやつ 香織も一緒に行こう
片瀬兄弟とかが行くって言った JRC蘇生ガイドラインの更新が5年毎だから
あいつら3年毎に行ってるらしい 俺も景子さんを連れて行った切りだし」
「はい 一緒に行きます」理詰めで詰められてどうしようもないと 諦める香織
シュカーと排気音をさせながら部屋を出ていく フル装備の明 見送る香織
景子さんを連れて行ったきり という事は3年前には行っていると
陸上では通じないかも 船上では通じると
流石 二人分の命を背負う肚だわ その肚を賄う訓練を貪欲に熟してる
「すっごいわね フル装備もいいとこ あれが耐火だと火災対応になる
鈴鹿のパドックに常に待機している消防隊ね」文香
「起きてたの?」
「雄一郎が出てくのは見送った 香織さんの愚痴からスタートで
愚痴はいいけど 結婚指輪 デザイン本があるそうで 一緒に悩みましょう」
デザイン本を持ってきて 二人で見て悩み選ぶ
「もうこれ」と決める文香
「いいの?」
「最悪何か合った時に 熱にうなされながら選んだから という逃げが打てる」
まったね