第九十夜 渡ってグダるお局様へ一直線
マスターの先導で カウンターに座る三人
「まずは オーダーを 持ち込みの 齧ってた山田の串カツは目を瞑る
皿に載せて食べな」と皿を出してくれる
「チーズ 色々 クラッカーとパン多めで これは差し入れ
二人には定冠詞の30で水割り 俺はダブルのショットで チェイサーは水で」
「呑みモノ出してから チーズな 串カツ齧って待ってて」
氷をピックで砕いて入れて、ロングのタンブラーへショットを切る
水を入れ ステアスプーンでクルクルクル 差し出される水割りとショット
串カツを皿に移して チーズとか準備に行くマスター
「どうしたもんか 琴美ちゃん的にどうなるのが一番いいの」明
「瀬山さんが、亜美先輩に 木曜日に言ったらしい 「嫁に来て下さい」を
履行してくれて 亜美先輩が寿退社 それ以上は望みません」琴美
「琴美ちゃんは まだまだキャリアを積んで行きたい？ 先に寿退社で
先輩 お先です 後はお任かせします をカマしてみたいは無い？」明
「この1週間でお局様グループに編入されて 宛が無くなって」
「この地区に執着はあるの 松平は田舎だけど 駅前とか栄えてるよ
松平に嫁に行くなら 修造に動いてもらう」
「パラレルで 見合い必要領域に入ったことは自覚してます
けど 自力でも頑張らないと 実りません」
「よし 瀬山が揉めてるうちに結納をカマせるように あちこち網を貼る
火曜日の焼肉だけなら見逃すだけど 今日のロングは流石に」
「焼肉 比丘さんに蹴られて、イケメンの瀬山さんに行ったんですね
今日は栗色の肩に掛かるミディアムロングですか」
「先端が見えなかったけど 漆黒で肩甲骨までは見えた」
「居酒屋じゃない また別の女 ポケベルが４台はホントなんだ」
「あきこ かも」香織
「あきこ？ その女性の存在は 掴んでいません」琴美
「瀬山は放置で 琴美ちゃん 来週 写真館と釣書作成
この辺は樫村の酒田さんに頼ろう」
「ほいよ〜 チーズ盛り クラッカーとバケット沢山
呑んでないじゃん 火曜日の瀬山くんの件で揉めてるの」マスター
「その件は 今現在 山田で揉めてるはず」
「他人の事よりも 比丘くん ヤクザの超重鎮 になってるぞ
FRP屋が ロールスの凄いのが表に居た Rrドア開けられて乗って帰ったら
ヤクザどころの騒ぎじゃない とか言ってて 真矢21ちゃん ダッシュで表に
比丘くんのすぐ後を追いかけたハズなのに 比丘くんも車も居なかったとなって
ヤクザ疑惑じゅなくて 真矢21ちゃん ヤクザの超重鎮 と認定してた
FRP屋が パンチだけど気のいい26としておこう と纏めて流してくれた」
「真矢ちゃん・・・ 会うたびにコロナで懐柔したのに FRP屋さんは流石だ」
「まぁ あの車だし そうなるわね」他人事の香織
「姐さん 姐さん プリンセスホテルの車寄せに横付けで
Rrドア開けられて 俺と一緒に乗ったのを 忘れていませんか」
「あ」と香織が言っていると
「こんばんは〜」と若い子グループが入ってくる
続けて もう一グループ 5人 入ってくる
「おっさんが一人やってる店 此の人数だ 最初はコロナにして貰うと助かる
ツマミはこの串カツ山田の串カツ こちらのパンチさんからの差し入れ
一人一本で ご馳走さまして 頂くように」
「ご馳走様でーす」と串カツとコロナをカウンターまで取りに来る若い子たち
場末の若い子向けのBar候で ワイワイ始まっていく
「こういう気軽なお店だったんですね」琴美が言っていると
一人の女性が階段を降りてきて 黙って琴美の隣りに座る
「強いお酒をロックで 私の結納もオン・ザ・ロック」
「亜美先輩・・・」
「あきこ とかいう女
紙は要らない、愛人でいいの でも三太郎がそちらに帰らないのは
私の責任ではないから 私に怒らないでね だって」
マスターと目があう明 「ウシュクべのフラゴンをロックで」
バックバー下から3段目 そこでも隠してあるウシュクべ
黙ってロックグラスに氷をリンスして入れる ショットを二回切って
「ウイスキーのロック ダブル」差し出されるグラス
一気に半分 煽る亜美25
「マスター 火曜日のアベックの女はなんて言ってた？」明
「火曜日の娘は 私と暮せばハンコをおしたくなるから って言ってたぞ」
「居酒屋も 似たようなこと言ってました」琴美
「香織さん 香織さんもイッパイ出てくるから覚悟したほうがいいわよ」
自分だけは嫌 巻き込みに掛かる亜美25
「俺も言われたことはあるけど、瑠美さん・景子さん・お雪さん 全部お局様
呑んで渡ってグダっるお局様は大変だし 優しいお局様はダメ男一直線
どちらも大変なのでご辞退しております」
「あ、スキーツアーでもお局様しか廻りに居なかった と宝飾店で」琴美
「そのパンチだし 真矢21ちゃんも此の店内限定の呑み友達
外であったら知らない人 だって言ってたから」マスター
「亜美先輩 瀬山さんを無理くりにパンチにしてみるとか」琴美
「それはね 店の営業上無理なのよ 比丘さん位にパンチが浸透してれば
宝飾店組とか経理の主任とか昔からスキーツアーに行ってるメンバーに
聞いてみても 比丘さんはパンチ 誰もヤクザとも不思議とも思わない
比較対象が衣笠さん 迫力不足よね もう少し頑張れ だって」亜美
「マスター これがデカイスーパーの女性陣の意見だとの証言が出た
ヤクザの超重鎮ではないと 訂正を」凹みながらも修正を掛ける明
「FRP屋が 此の店では気のいい26 と纏めてくれてるから
そちらの オンザロックの女性グラスが空 次は？」
「黄色」明
「もう 黄色？」マスター
「呑ますのは簡単 でも渡ってグダったら 渡ってグダるお局様へ一直線
足音が聴こえるとかではなく 直滑降でお局様へ 黄色を呑ませて帰す」
まったね
このお話 アン・ルイスと石川さゆりを聴きながら書いたんですよ
ロックと演歌 なのですが 歌詞の内容は似たりよったり
他の女と男を取り合う
天城越えなんて ウーマン とほぼほぼ同じで 愛人でいい
年代が同じ女性歌手ですからですかね
