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第六十八夜 難関の二重太鼓だけよ

部屋に案内してくれたサービスと話をしていると

「大レストラン 厨房は無事ですが 流石に今朝から接客が5人も

 倒れてては 厳しいのでルームサービスで良い方は

 ルームサービスでお願いしたい」

との話になった


「正解でしょうね うちはルームサービスでお願いします」香織


「自慢の展望ですから どうしてもの方用に 座席数を半分で

 営業はしています 明日の朝のテラスは元から貸し切り

 0930にお迎えとのこと 8時から9時までテラスでのお茶と

 展望をお楽しみ下さい」

部屋への案内と連絡事項を済まし戻っていく


部屋でくつろぎなら居眠りをしていると

コーヒーのルームサービス ノックと

ポットとカップセットのワゴンを部屋の前に置きましたので お引取り下さい


「徹底してるな プリンセスホテルが起点でインフル炸裂より

 サービスダウンをしてでも客の感染防止を優先してる さすが一流ホテルだ」


「此の部屋クラスだと寝室とリビングがあるし 上がり畳もある

 大レストランは昨日行ったし 要観察の二人は此の部屋で」香織


取りに行くとワゴンには お湯の2Lとコーヒー1Lのポット

建水と御札を貼られて大ぶりの唐銅の器


「すっごいな アメリカンなポットだけど実用性はピカイチ

 カップ温め用のお湯も建水もある」比丘


「なに 建水って?」


「覚えていないの? 3回生の必修であったでしょ 3年前に習ったはず」


3回生の必修とまで知られていては と凹む香織


さっとカップにお湯を入れて30秒待って 湯を建水に捨てて

カップにコーヒーを注ぐ比丘

カップと砂糖とスジャータとティースプーンをソーサーに載せて


「コーヒーをどうぞ」と香織の前のリビングのテーブルにサーブする


コーヒーを頂きながら考える香織 無音なのに気が付いていない

飲食関係は、どうにも思考を巡らせてもGiveUpが正解と結論がでる

まぁいいわ 創る方は美味しくどうぞで いいらしいから助かった

考えてもいなかった頂く方で 落とし穴が多数

婆様にお願いするとお小言の山だし 歩美さんと考えようと投げる


走行してると、ルームサービスでの夕食と成る

尺半の寸の平の重での配膳

美味しくいただいて 食べ終えて ワゴンをローカに出して

検温をして平熱を確認して、お風呂に入って頑張って寝てしまう二人


翌朝 検温をして平熱 安心して朝食を頂き

テラスに案内されると紅茶の配膳が行われ

四人になると えらく凹んだ歩美さんが 愚痴る


「お茶 茶道わね 引き出しまでは頂いてるの 樫村の娘、当然よね

 上がり畳にでお点前を披露して 長谷くんの合格は貰った」


「歩美さん 指摘はなかった?」と嘴を挟む比丘


「そこそこなので」長谷


「続いての煎茶 もうダメ出しされまくって 見本を魅せなさいで

 美しい所作 よ お抹茶に煎茶 樫村でも上澄みよ

 分家イチの和恵姉さんでも下を向くわよ」


「まぁまぁ 紅茶でも頂いて落ち着きましょう」

キチンとカップを温め、注ぎ ソーサーに乗せて サーブする比丘

ティースプーンのカチャリのカすらしない サーブ


「長谷 こんなもんでどうだ」


「さすが比丘さん 無音で」長谷


やってみる 香織と歩美 カチャリカッチャリと静かなテラスに響く


「香織さんも どうぞ」と無音でサーブする長谷


「長谷 うまいな 奥山たちとツルンでだけはある」


「え? あの二人も」歩美


「そりゃそうだろ 自分の店で料理の配膳でカチャカチャはみっともない

 それを中居さんに指導する立場だ 長谷も指導されたんだろ」


「ご老公の所で指導を頂いて苦労してたら スポンサードの増額でした

 ご老公曰く コースも面白いがこの手の事は引退後に役に立つ

 儂の趣味に突き合わせて 頑張ったからの 増額しておく だそうで」


「ご飯とかは」


「最初なんかまあ大変 指摘入りまくりで 今は楽しんで頂けます」


「それでか 俺もだけど奥山たちもその辺は何も言わずだしな」


「ちょっと 二人で話したいので」とお嬢様女大卒の太実家の二人が離れる


二人でゴソゴソ話をして

「遠山さんも呼んで女子会」

「順子姉さんも 和恵姉さんはどうしよう 茶名持ち」

「呼んじゃえばいいのでは 煎茶で落とし穴」

「四人でね」

と結論を出す


0830

「私達は(着替えるので|着付け師さんがくるので)部屋に戻ります」


「え? 香織さん 自装?」


「ですよ 振袖は他装が基本ですが 訪問着くらいは自装で着れないと」


部屋に戻り ササッと長襦袢を着て 衣紋を抜く

長着を着て 何やら色々を巻いていく


「どっか 押さえると手伝おうか」戻ってきた比丘


仕上げの 帯の二重太鼓 ぱっと撒いてベロクロで止める

帯〆帯揚げで 出来上がり


「それって」


「大学三年の 茶道の講義で長着が受講条件で 毎回の着付け師は辛い

 婆様にお願いすると 毎回のお小言を頂くわけだし

 先日の五人の 康恵さんが和裁士と知り合い 皆して作って貰ったの

 6人で各10本 60本の大量受注で しかも呉服屋通さずだから

 和裁士さん おお喜びで 1本おまけしてくれた」


「いいのか それで」


「訪問着・色留袖の礼装用 難関の二重太鼓だけよ

 小紋のお太鼓とか 訪問着でも崩しての銀座とか

 車の運転をする時用のペッタコ結びの、カルタとか出来ますよ

 振袖は基本が他装で婆様にお願いしてる」


「そっか 黄色のグラマラスで棒の生えた車だと シートもそれなりだしな

 その辺は必要に迫られて覚えたんだ

 明日の一般向け披露宴だと 口うるさい着物警察のBBAが来るかもだが

 今日の主催は 摩耶まやさん 爆笑で 外してハメての実演だな」


何故か届いてる 急須とかのセット

「解説しながら行くね」

さっと 椀皿の上の湯呑みに湯を注ぎ 竹の茶葉すくいで茶葉の量をみて

急須に入れて 湯の温度をみてから 急須に入れる

暫く待って湯呑みに注いで椀皿ごと無音で 香織の前に差し出す比丘


「うん 流石いい茶葉だ 美味しいよ 飲んだらロビーへ」


まったね 

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