第六十五夜 ホントに真っ白だな
一段落で 香織がコーヒーをドリップしてくれる
爺婆父母もそろって 香織のコーヒーで寛いでいると
「歩美さん 煎茶を一服 点てて頂けませんか」長谷
「そんな 茶葉もなく」逃げる歩美
「真空パックの川根の玉露がある 樫村の娘なら似合うわ」婆
冷凍庫から出してこられる 川根の玉露の真空パック
「冷凍庫から出てきた 封を切って 2時間の待ちですね」長谷
嫌な予感しかしない 歩美
日本料理をやって来た比丘 意味が理解る 片瀬と奥山と密談開始
混じってくる 香織 「意味がわからないの」
「真空パックで常温で保存なら9月まで いま10月冷凍保存
封を切って 常温に戻して 香りが戻るまで 2時間」
「それって 明が長谷くんに教えたの?」香織
「教えていない どっかで習ったんだろ」とか話してると
「あきら 周りの者には見えぬかもしれんが 急ぎじゃ
今くる 二人の子供 助けれないか ここで無理なら 岩山でみさせる
あきらが 繋いでくれ」
と言うだけ言って 気配が消えていく
「なに?だれか来たの? 今朝のモノホンの座敷童様?」香織
「良く理解ったな 化現もせずの慌てふためいての下知
子供が二人くる 困っているみたいだ 助けないとな」
ピンポーンの連打 5連打はしている
皆で玄関を越し 門に向かう
タクシーから荷物を持って降りて来るが、お金が足りないみたいだ
中学生と小学生にの姉と弟の二人
座敷童子様の下知 助けるのは決まっているので
「香織 お金払ってあげて」
お金を取りに戻る香織
「どうしたの タクシーにまで乗って ウチまでだと結構掛かるわよね
二人で来たの?」母
「もう 親には 特に母には さよのさんの養子に」と泣き出す中学生
つられて泣く小学生
とりあえず、洋室の応接に入れて話を訊くと母
「だれ?」と比丘
「母の従姉妹の子供 2週間前に一番下の子が麻疹でお亡くなりに
その葬儀の時に姉さんが ずっと付き添ってた子たち」
「これ」と出される母子手帳 3冊ともワクチンのページ真っ白
「冨貴も真っ白で 麻疹で死んだ お葬式の後で
ワクチンを射ってないからと さよのさんが 母を激詰めしたけど
ワクチンで死んだら化けて出る 麻疹なら自然死と 取り合わず
なにかあったら マスクをして私の家に着なさいと
家に憑いたら マスクを皆にさせてね とも聞いてます」
ごほごほと咳をする二人 おでこを触ると熱い 熱がある
ソの場の全員 マスク装着 なのだが
比丘達三人が マスクを差し出してくる
比丘達料理人三人は タクシーを降りる二人のマスクを見た瞬間
10mは離れた位置で各々がバッグからマスクを出してマイマスクを装着済
「咳をしてるし熱もある 病院は行ったの?」香織
「ネギを首に巻いて キャベツを被せられて マスクも取り上げられて
もうダメだと思って さよのさんに貰って隠してたお金を持って家を出たけど
電車なら余る程あったけど 直貴が歩けなくて」
ソファに座っていても、倒れていく小学生
「クッソマズイな 方丈の分家で医者は 小児科はいるか?」
「ウチは 土建ばかりで」母
岩山の本家へ 電話を掛ける 比丘
が、ご当主も修造も まだ奥社に居るらしいと倉田さん
「大至急 岩山の息の掛かった小児科 二人連れて行く 咳と熱
2週間前に麻疹で弟さんが亡くなっている
出来れば隔離病室のある デカイトコがいい 何処へ行けばいい」
有無を言わさす 連れて行くと 宣言する比丘
「岩山中央病院へ こっちから押さえます JR松平の駅前です」
「片瀬 ホーミーの後ろ 寝かせれるか」
「布団があれば 寝かせれる 何処までだ?」
「JR松平駅の前 岩山中央病院まで 車を門の中まで入れろ」
ホーミーの後ろの荷物を降ろして マットレスを2重にして敷き布団
掛ふとんと毛布で温めて アイスノンを枕にして 二人を寝かす
上にもう一枚のマットレス
タイダウンを3本を使って 子供二人を固定する
「高速で行く 場所もルートも理解ってる 比丘乗れ」
片瀬と比丘と子供二人で ホーミーが出発していく
「任すしかないな 額田湾への通り道だし 片瀬も知ってる道だ
無線も繋がってるし 話も出来る」奥山
奥山の車のモービルで片瀬のホーミーとの比丘との会話が始まる
奥山がキャリを持ちPTTを握る 肩越しに香織がしゃべる
JARLが編み出した、法の抜け道での会話
「なぜ、松平とか遠くの病院に行くわけ
救急車を呼べば ここの近所の救急病院に搬送してくれる」
「そんなの 保険証もないし 保護者でもない
親に連絡が行って 連れ戻されたら またネギになる
座敷童様の下知もバックアップもある
岩山家の息の掛かった病院だ 無理も効く」
高速を走ると2mでも途切れだした
松平に入る前に 倉田さんから携帯に着信 車の種類とかを訊かれる
伝えておいたら岩山中央病院の前まで行くと ガードが赤白棒で誘導開始
救急車の定位置に止めて ストレッチャーで子供二人を運んでいく
フルプロテクトの医師のチームが、お出迎え
2週間前に小1の弟が麻疹で亡くなった
持ってこれた母子手帳を渡す
「ホントに真っ白だな 出来る限りはやる 任せな」と医師
「って、俺等の技師の撮影が済んでからね」と技師
「訂正 俺ら医師と技師陣と看護婦陣のチームに任せな」と医師
「それでいいいわ」とお局様候の看護婦さん
「あら 久しぶり 相変わらずのパンチね あきらくんの関係ね
それで保険証もなしなのね ここに連絡先を書いてね
マスクもしてるし ワクチンは接種してる?」
「おれ高2の修学旅行の時に 法定全部+αを自費で」と比丘
「俺は親が射ってくれたはず」片瀬
婦長のお姉様 3年前は景子さんと一緒に渡ってグダってたのに
それが顔に出ててバレたみたいで
「結婚して165度の方針転換よ 婦長を任されてるわ
此の子らも私達に任せなさい あきらくんは
関わった人間全部 2週間はマスク必着で 他に撒き散らさん対策をね
朝晩で熱を測って記録して 発熱で此の病院に連絡してね
即隔離入院の可能性があるからね」
「はい 千賀子さんに お任せします」と奥山のホーミーで戻る比丘
「いいんか 帰っちゃて」片瀬
「なにか出来ることがあれば 残るけど なにもない
普通は親権者の承諾だとか必要になるけど 岩山の本家からの依頼だ
婦長が千賀子さんだし 医療チームは全力でやってくれる」
「なら やることはないか 安心して帰れる」
先程、渡した携帯の電話番号に着信
「ぎり よく連れてきたわね かなり厳しいけど 任せなさい
そっちの関わった人間は 今の所、2週間はマスク必着でね
手洗いとウガイも毎度毎度でやっておいてね」
と千賀子さん 言うだけ言って切れる
「なにか話をしたほうが良かったかな」比丘
「言うだけ言って切った 時間がない だろ
でも 任せなさい だから 任せよう あとは皆でマスクして
うがいと手洗いをしてだね 長谷のトラップはむりだろうな」
と話題を変える片瀬
「そうだな あの子たちが元気なってから 次に進めばいい
歩美さんへの長谷のトラップは次回のお楽しみで だな」
まったね