第五十六夜 逃さないって 言いましたよね
宝飾店で待つ 店長の永木さんと未唯さん 手にはガンチャート
「婚約指輪は 何処か他所で買われたのかな」未唯
「デカイ家だし 付き合いもあるから でも長谷くんだろ
未唯さんに相談があっても良いだろうが」ちょっとお怒り気味な永木さん
「そうですよね 婚約の石付きを男性が買うなら 長谷くんと比丘さん
宛はウチくらいしか無い筈ですが 特に比丘さんズボラだし」未唯
長谷は同じフロアだし 比丘は6年前から会社と組合のスキーツアーに
なぜか参加しているので二人とも知っている
ガンチャートでのスケジュールの説明が必須と読んで準備した
琴美情報では午前中に見合い 上手く纏まって走り出した所 余裕はある
到着する一行 出されるガンチャート スケジュールの説明をし始める未唯
「見合いが完了とのことで いまここ この先の結納とかの間に
デザインを起こして」未唯
「そこ全部すっ飛ばさないと 歩美さんの❍高がヤバイ すっ飛ばした」比丘
「え」宝飾店組
諦めた香織 ガンチャートに 済マークを入れて説明をカクカクシカジカ
「午前中の見合いで16時に 既に結婚指輪がディレイ発生 笑うしか」未唯
「結婚指輪のふた組を デザインから特急と 樫村家と方丈家が絡む姻戚
ウチの店で貫目は足りますか？」永木
「さよのさん絡み このフロアのお店で」歩美
「そうそう お義姉さんに2個めと3個めを買って貰わないと」明
「なに？ 2個め3個めって」どうせ碌な回答はないとは思いながら諦めて訊く香織
「指輪なんてしたことがない 失くす 絶対に失くす 予備を結婚祝いに」明
「それ良いですね 俺もそうして貰います」計二
「他に女が居るよりはより12８倍マトモな回答 しかも正直」歩美
「おかしいです 結婚指輪を失くす前提で予備とか 過去無いです」未唯
「未唯さん 図面は本部で20年は保管の意味知ってる？ 失くすの
図面さえあれば 起こせるから 偶にそう言う特急がある」永木
「もう 男性は」と憤慨してる未唯だが 歩美と香織は冷静に聞いている
「3対1で 女性の発注が多い 水仕事とかで外して 排水溝とか」永木
「歩美さん 料理の基礎の基からだそうで 指輪の予備は？」香織
「3つは頼まないと 香織さんもね」歩美
「デザイン案がこの本です 選んできて下さい 数は5個づつで良いですか」永木
「そうそう 慌てて再発注より予備がある安心感で失くさない」明
「財力に物を言わせた力技」未唯
「樫村家に方丈家だ それくらいは行くよ サイズ測定用がこれ
朝昼晩で3回を3日ほど測定して下さい やり方は」とやってみせる永木
「これに記入して下さい」とチェックシートを渡す未唯
「サイズは 同じのを3つ ワンサイズづづあげたのを各一個 計5個
太ってもとりあえず指輪ではバレません プラチナですから直せます」永木
「万全の耐性じゃん 流石 永木さん 滑るの並に上手いわ」明
「あ、そうか あきらさん まるで関係ないのに 瀬山さんお友達枠で
組合と会社のスキーに来てたとか そこの顔ですか」計二
「そうだぞ でもな２０《はたち》当時から バスの隣も 休憩の食事も
お局様しか周りにいなかったんだ 唯一の前半が２２の未唯さん」明
暗算する計二 「暗算してはダメ」と若菜
「でもさ ２３でサクッと寿 子も産んだって聞いてたけど 店に居るのは？」
「この商売 身元保証が大変で 半日でいいのでとシフトインです」永木
「二人産んで 保育園に預けれてね 同期の遠山も頑張って」勝ち誇る未唯
「頑張るわよ 全日本チャレンジを認めてくれる婿の宛が出来た 逃さない」
バチバチに始まる 同期の女同士のバトル
「逃さないって 言いましたよね」琴美
「計二に逃げられて エロBBA失格だから」明
「明さんの押し込み作戦 不要かも」計二
「遠山も宛が出来てよかった」物凄い上からな歩美
「そうですね」こちらも上からな香織
「うちの姉もあの世界線」震える若菜
「まぁまぁ 婿取りなら遠山さんも婚約指輪を贈るとかしないと
婿候補殿に逃げられますよ 私の婿との指輪嵌て横槍も防いで
失くしてもいいレベルでの指輪を お一つどうですか」永木 上手い
「好みもサイズも判らないし」遠山
「ここにサイズが書いてあります」先程のプロフ 三人分が書いてあった
「趣味は釣りと筋トレ 釣りはシーバスのショアのランガン派とか意味不明」明
「それも書いてあります」プロフを見る琴美 永木さんにも見せる
何処かへ電話しだす未唯さん 在庫を漁りだす永木さん
5分後 到着する瀬山 出てきてる指輪候補 １０点
瀬山が何言う前に 遠山さんが圧倒的な圧力で質問を始める
「瀬山くんもバス釣りが趣味 シーバスとかもバス釣りの一種なの？」
「同じルアー釣りですが、バスとシーバスは別種類です」必要最小限の回答
「同じルアー釣りね この指輪の中からシーバス釣りの人が嵌めるならどれ？」
ここで何か言うと 被弾するのは確実と踏んだ瀬山
指輪を見て RAPALA の文字を発見して 横に出して
「バスでもシーバスでも宗派・流派がありますが このRAPALAだけは別格
バスでもシーバスでも どの宗派・流派も受け入れます」
「瀬山 （さん）選定って まぁいいか」明と計二
「縁起は悪いけど 趣味は別らしいから」香織
「いいじゃない 今は魚釣りの釣り人」歩美
「オデコばかりらしいが、バス釣りには一家言がある瀬山のお勧め」永木
「違うものは爆釣ですが」琴美 亜美先輩の愚痴 減ったとは言え刺しに行く
「じゃ俺はこれで」と早々に店を出ようとする瀬山に「ちょっと待って」と未唯さん
「今日は帰そう 瀬山に構ってる時間はない」明 「うんうん」皆
「じゃ」と出ていく瀬山
「総務の噂は聞いてる どうして帰すの？」宝飾店組
「俺ら 晩飯食って 浦山のプリンセスホテルで新婚初夜だし
遠山さんは 婿取り固めの夕食 立会人は樫村家と谷上家」明
「そう １７時までに 指輪に 香澄to なに？」遠山
「奥山史人 です」プロフを読み上げる未唯
「そこまでは入らん K.T to F.O これで すぐ加工する」永木さん
会計はこれでと VISAのゴールドな遠山さん
サクサク会計をすまして 出来るの待ち
奥山片瀬組の写真とプロフを持って 仕事に戻ろうとする琴美
まったね
