第五十一夜 お局様への ではなく お局様の足音
雅楽に巫女の舞に 神職の祝詞 で 三三九度 を修了して
「写真も何もない」香織
「撮りました 今現像に走りました」と坂田さんと瑞穂の若衆
「写真は披露宴の時に ちゃんとした格好で撮ればいいから」母 投げた
修造チームの6人 散開して酒器でお屠蘇のお裾分けとか お酌で廻る
「この2年の 歩美の25の誕生日を過ぎてからの胃痛は」歩美母
「うんうん 母さんも儂も 胃薬のお世話になりっぱなしで」歩美父
「次は 家庭料理教室 頑張ろう」比丘
「順子姉さんも 一緒に頑張りましょう」歩美
「やるしか無いのか がんばる」順子
「ホントに肚の座り方が 桁違いな二人 樫村の本家も良い婿殿で
あ、歩美さん 計二さん ご結婚 おめでとう御座います
香織さん 明さん ご結婚 おめでとう御座います 忘れてました」姑
「俺は 祝詞で言ったからな」修造
谷上のお姑さんの 祝辞で やっと我に帰って 祝辞を述べ合う
呑んで食べてなのだが 樫村の父母の盃も箸も進まない
チラ見してた比丘 食べてるのは瑞穂が用意した良い料理でおかしい
そこに気がつく 修造
「どうした?」
「樫村の親父さん達の箸の進みがない 料理は間違いのない品」
「訊きに行くか」と修造に誘われ ビール瓶を持ち樫村の父母の前へ
「どうされました 料理に間違いはないですが」比丘
「いえ ここ何年かの心労が一気に吹き飛んで 聞いて下さい」
語り始める 樫村母
「歩美の肚がとの贅沢 まぁウチも今ひとつの家格がとか贅沢を25まで
まぁ贅沢 ほんに贅沢を言っていてツケは廻る 夜寝ると聞こえてくるのですよ
お局様への足音が コツコツ と言う日もあれば スっす〜 との日もある
日に日にお局様の足音が はっきりと聞こえるようになったのは26から
もう此の一年は お局様への ではなく お局様の足音 何度も夜起きて
先月の27になってから パッタリと消えて 余計に心配になりまっした
それが先週の土曜日から また足音が聞こえて でも何かが違う
良縁への足音だったんですね 見合いから修造様の祝詞で三三九度まで一気
これまでの心労が 一気に抜けて揺り返しで ほっとしすぎて
美味しい料理も お酒も 喉を通らず 申し訳ないです
方丈家も 一人お局様は残っては居ますが 婿殿と確定 一安心でしょう
お二人共 食べてみえないですしね」
見ると父母は居るが 箸も盃も置いたまま 爺婆は 何処かに行っていない
マズイ このままだと料理が余り 勿体ないお化けが出る
昼と夜の15人分は 作ってた
「長谷 歩美さん 香織 修造チーム 集合
料理が余って 勿体ないお化けが出る」明
「そこが一番 明らしい」修造
「まぁねぇ お見合いして お昼を食べて後は若い二人で 夕方に再集合して
結果報告 そして夕食への予定が 全部吹っ飛んでるから」香織
「お見合いって そんなシステムなんだ」明と計二
二人以外が天を仰ぐ が 言っても無駄だし 今更なので 切り替える皆
「俺は 晩御飯を頂いてこいと なんなら泊まってこいと言われてる」修造
「私らは突発 お昼は余ったのを頂けますが 電話で確認します」雅楽チーム
爺婆が来て
「樫村さん 奥に部屋を用意しました 浴衣に着替えて 少し横に」
「ほんに ご迷惑をおかけしますが ありがたく使わせて頂きます」樫村の三人
「えええ 酒田さんまで離脱するの」明
「一番の心労が酒田 労らないと」樫村父 三人で移動していく
「お昼は 板場まで巻き込んで賄いと出す料理も混ぜて 食べれば行ける
問題は夕食だ 回復してくれればいいが どう思う?」明
「ウチは爺婆父母 無理 お粥を作って貰って 瑞穂のお粥 超豪華」香織
「うちの父母に酒田さんも お粥で」歩美
「お粥な 奥田に頼むわ 食う方も皆で食おう」室田さん
「後で お粥を頂きますのでお願いします」と引っ込む父母
「明さんに ご辞退をカマされた後の岩山家はもっと悲惨で」太鼓
「それでも 断酒され料理も竹田さんに習われまっとうに」笙
「今週を乗り切ると お館様も寝込みますね」龍笛
電話から戻ってきた鉦鼓
「うちの二人はこちらで夕食の勿体ないお化けの対応をとの事
巫女二人と私は お昼を頂いて 戻ります」
「よし 皆で食べよう 瑞穂のいい料理 谷上のお二人も」明
「はい 美味しゅう 頂きますよ」順子さん
「食べる人が居ない 夕食にウチの旦那と息子を呼んでいいですか
樫村本家の婿殿 パンチのアキラ と呑み食い 自慢に」姑
「援軍が来る 有り難い どうぞ」明
板場も混じって お昼
「明 家庭料理教室 って明がやるのか」室田さん
「歩美さんに頼まれたので 長谷の婿入り先 恩を売ろうと」
「また 最後は目玉焼き 俺が仕込んだ通りにやれよ」
「え、板長が仕込んだ 明さんを」奥田
「明の師匠は俺と同じ板場で下積みをした仲間でな
ダイブショップの店を開いたからと 俺もダイビングを始めてな
そこで居候してたのが16か17の明 ダイブショップと和食のW下積み
ダイビングは直ぐにケタ違いに行った 毎週だし回数も違うしな
和食も教えたら憑いてくる 面白くて仲間を集めて仕込んだ」
「今だと ほぼ板長クラス 篠田の桑田さんはいた 関西系の人がメイン
でも一番キツかったのが 俺と一緒に居候でショップの2Fで寝泊まりした
流れの板さんの山本さん 朝のご飯も 夕方の和食のお手伝いもでさ
桑田さんや室田さんが優しく思えた 半年間 最後まで天ぷらはダメだった」明
「天ぷらはダメ って 天ぷらまで行ったのですか」奥田
「他にも来てくれて教えてくれたので なんとか天ぷらまでは」
まったね