第三十七夜 「あれ 声に出でた?」背中に汗が吹き出す
起きるとまだ5時前 9時前に寝てるから8時間睡眠でヨシ!
と御デコに貼られた御札を見てみると
「冷蔵庫に、お結びと玉子焼き」とのメモ 顔を洗ってキッチンへ
ポットに湯が沸いてるので 吸い物椀に朧昆布と鰹節 醤油とみりんを指して
即席のお吸い物を作って お結びと玉子焼きを頂く
洗面所に用意してあったルージュで 7時に戻る と伝言を描いて
スロージョグに向かう 腕にはクオーツだけどGショックが欲しくなってる
昨日の片瀬と奥山ので色々魅せてもらうと ピピピのアラームが多種多彩
スロージョク対応で1km毎の6分毎に鳴らすとかもヤッて魅せてくれた
見栄張ってダイバーに拘っている場合ではないよとも言われたし買いに行こう
GS裏のBarまで往復して まだ0625 庭で基礎トレとストレッチ
うん ここで0655のアラームセットでピピピ 便利そうだ
ダイバーではなくアスリートモデルにしよう どのみち潜る用はある
「7時よ シャワー浴びてご飯」香織が呼びに来る
なんていい女なんだよ 優しいお局様みたいじゃないか
「もう一回言ってみて」香織
「あれ 声に出でた?」背中に汗が吹き出す
「かなりの大声で出てたわよ」
「危機の都合で前半しか再生できません」背中の汗が凍った
「背中の汗が凄そうだしシャワー浴びてきて」とバスルームに送りつけられる
熱いシャワーを浴びて背中の凍りを解消していく やはり年下は難しいなぁ
でも、特化型だししょうがない 慣れて貰おう
シャワーを終えて頭を拭いていく クリンクリンのパンチで短いので速乾
キッチンに行くとなにやら婆母姉妹で吸い物椀を見てて 香織に訊かれる
「ねえ 味噌汁も何も用意してなかったけど鍋も無しで一椀分を作ったの?」
「うん インスタント 飲んで見る?」
5つの椀が並べられる 花鰹を握り潰して小さく 朧昆布と入れて 醤油を一刺し
みりんをちょいっと 98℃のポットから湯をだして吸い物椀に注いで 出来上がり
「あと手鞠かなにかの麩とネギでも入れると見た目が整う 乾燥ワカメでもいい」
「永谷園かと思ったら 嫌がらせに近い手作りのお吸い物」お義姉さん
「なんで?」
「まるで手間を掛けずで美味しい」
「永谷園もコレも手間は掛かりまくってるよ 永谷園は研究開発と製造
これは手間を掛けた鰹節に昆布に醤油にみりん だからここで手が抜ける
お湯だって98℃でキープする電気ポットの開発に製造があるからすぐ注げる
本当に開発陣と製造工程員さんや職人さんには感謝しか無い」
「さよのの負け さあご飯に さよのが頑張って作った味噌汁へチェンジ」美弥乃
朝ご飯を食べ終えて
「うん お義姉さん 後は回数を熟せば味は整っていく」味噌汁の判定
「ヒントを」
「この味噌玉がね溶けてないの だけど溶けてちょうど位だから量は合ってる」
と味噌汁椀からかなり大きめな味噌玉を箸で摘ん魅せる
「なんで 他には入っていないダマが明くんにだけ」
「縁と運 これも運 お義姉さん 頑張ろう」
「さよの 頑張れ」爺婆父
「あのお吸い物を30秒で創られてあの能書 挙句のダマ 仕方なし」さよの
「流石 比丘明 さよのは頑張れ」母
「お義姉さんの頑張るの応援で 今日は皆でお昼はイタリアン
夜は中華へ 逆でもいい 行きませんか」
「え、ドレスコードは?」香織
「デカイスーパーの近所の四川より安い店だからドレスコードはないよ
家族でどうぞなお店 昨日、店長と知り合って呑んだんだ
時間が取れれば 瀬山の店に行って おちょくりたいし」
「私 中華は昨日のお昼で食べたからパス それよりも瀬山
昨日の夕方に店を抜け出しててレジ〆に戻ってきたけど 真っ青だった」
「イケメンでまつ毛が長いツケが廻っただけだ 亜美25さんは苦労する」
「瀬山はなぁ 三又だから仕方なしで 他人事だから面白いけど
長谷が歩美と結婚確定ぽいしダブルパンチ 長谷の今の肚なら
店に来て さよのさん こちらの歩美さんと寿 祝って下さい まである」
「んで 歩美さんが 先輩、お先です をカマスと」爆笑の比丘
「そんな笑ってると 長谷が先に挙式 があるからね」
「いや別に競争はしてないから 26と23 一歩づつ確実に進めるよ
お昼のイタリアン デカイスーパーの館内飲食店街 どう?」
「私はOK お店に呼びに来て」さよの
「私も行くわ」母 と 香織
「儂らは仕事があるので」爺父と婆
「それでは11時半にお義姉さんの店に集合 此の件完了
香織 次の一歩 新居どうする? どっかにマンションでも買うか
部屋はあるし爺婆母父の部屋とは離れてるけど、小姑が居るから」
「それだめ お願い離れに住んで 週一の風通しだけでも手間なの」母
「あ、姉さんの成人式で棟上げをしてお餅を投げた 何時でもお婿さん対応
だったけど建てて風通しと業者の掃除のみで9年間放置されてる離れ」
「うわぁぁぁぁ 勿体ないお化けが出るぅぅぅぅぅぅ」絶叫の比丘
「香織 あとで離れを魅せて もう勿体ないお化けがいるかもしれない
居たらどうしよう 怖くて泣いちゃう」
「大丈夫じゃ家は人が住めば喜ぶ 勿体ないお化けもすぐいなくなる
今から観に行くかの」婆
婆先頭で母と香織 一番うしろでビビってる比丘 庭を突っ切り離へ
婆母ササッと入り 最低限の蛍光灯を点灯して雨戸を全開にして窓も開けて風通し
キッチンもあり 広い3LDK 外装は和風だが厚めの鉄筋コンクリート製
地下があると婆
「爺さんがな 婿殿の秘密基地にって 防音な8畳が2部屋ある
爺は弾けないが婿殿がエレキとかも行ける様に防音が良いとな
地下を創るので鉄筋コンクリートなんだりん 木で放置だと痛む
まさか9年も放置とは思わんかったが この構造で正解だったわ」
幅広の階段を降りて観に行くと 秘密基地候 作り付けの壁一面の棚に
クローゼットに物入れ 内寸で8畳らしいから 実質10畳以上が二部屋
天窓の覆いが電動で横にズレて明るくなる 横にズレるって基地だよな
天窓があるって事は本体とズラシてるのか 天窓も開けれるし梯子もある
ん?一見解らない隠しドアがクローゼットの奥にある 隠し扉?
いま婆に訊くのは愚策なのはきっと正解 黙っていよう
夫婦喧嘩で立て籠もり用地下室&天窓からの緊急脱出口 婿殿万全仕様
「お義姉さん婿殿向けの秘密基地まである 使いもせずに勿体ない」
「使えもせず よ 明くんが使って」母
「あれ お義姉さんは?」
「新居の話で即離脱 婆の愚痴がキツイから店に逃げていったわ」
まったね