第三十五夜 倉田さんと見つめ合う比丘
「瀬山が来る前に 片付けれる問題の確認をしたい」比丘
「いい案だ 比丘は言いにくいし方丈に変わるから パンチで」奥山
「一つ解決」片瀬
俺の呼び名はココでもパンチと決まった
「俺のお婿り先で遠山さん 問題は俺が中卒の料理人で学がない
向こうにお断りされるのは辛い」奥山
「おれもさよのさんの店の赤字までは面倒見れない」片瀬
「まず奥山から 店は何人で廻してる?」
「パートさん入れて、全部で十六人 社員は4人 4人共調理は行ける
シフト組んで廻している だから今日はオフにできている」
「そのシフトは誰が組んでる?」
「メインは俺だけど 親方と相談してセカンドに任せだした 確認はする」
「パートさんとかの指導は?」
「俺メインでセカンドとサードに振ってる 4番は調理に専念させてる」
「レジの〆は誰がやる?」
「社員4人とパートさんで裏書きのある3人で廻してる」
「仕入れは?」
「親方の店含めて3店舗共同 量の確保だ 農協・漁協とも契約してる
発注は親方がメインだけど各店舗二人だして相談 これも廻してる」
倉田さんと見つめ合う比丘
「奥山って拾い物かも 筆頭番頭から見てどう?」
「一度お店に行かせて頂いて裏を取りたく 取れれば推せます」倉田
「俺も板さん仲間で 評判を聞いてみるわ デカイスーパーの飲食店街
イタメシのオリーブオイルな 店長の奥山でいいか」
「そうだよな 裏も取らない人に推されても 遠山さんも困るし
俺も店や親方の名前に泥は塗りたくないから頑張ってはいる
これ 店の店長の名刺」と名刺を配る奥山
「奥山さん 明様の隣で私も話を聞いてしまった 裏を取らせて頂きます
裏を取る関係上 こちらの身分は開かせない事はご了承をお願いします
推せるなら ウチからも 奥山さんを推します」倉田
「よし 奥山の件はここまで 裏を取ってからな 片瀬は?」
「俺 長男だし さよのさんを嫁に何だけど あの店の場所はテナント料が高くて
予約制だし回転が悪いだろ そこまでは面倒が見きれないからなぁ」
「仕事はなに?」
「向かいの 飲食店街の中華屋 チェーン店で親父が本店 俺が館前
弟が有山店の館前で店ヤッてる 株式会社組織にして専務兼店長兼料理人
なんとかやってるけどベタ代が高くてな きっついけどなんとか廻してる
中身のヤッてる事も規模も奥山とほぼ同じで 奥山とはお互いが相談相手」
また見つめ合う二人
「片瀬も 裏取らせて」比丘
「これ 名刺 どうぞ」片瀬
「同じく 聞いてしまったので ウチも裏を取らせて頂きます」倉田
「裏が取れて 片瀬をお義姉さんに推す時には
方丈家で店舗兼用の新家を建てて放り出すから 二人で住んでよ
小姑は 何処の家でも困るから それくらいは出す」
「それはいいのですが さよのさんもお局様 大丈夫ですか?」倉田
「実家に30に成ったばかりの行き遅れの姉が居る ここ1年半ほど荒れてる
深雪姉さんに比べれば落ち着いているし スイカは魅力」片瀬
凍りつく奥山
香織の『実姉がお局様って何度も言ったわよね 口上もそれだし』を反芻して
俺は婿入りで 片瀬は嫁入り の違いはあれど 実姉がお局様は同じ
女性でもか 小姑は誰もが困るんだ 思考がぐるぐる廻る比丘
そんなトラップも 景子様に弟君がいて今の状況だと
小姑が呑んで渡りグダるお局様で 弟君に多大な負担を掛けていた事になる
しかし景子様は座敷童と明様 他家には出せない
お婿に行ってもらうしか無いが、それも景子様の婿殿を迎えた時点しか無理
嫁を迎えての世継ぎの問題もあるのか 明様の一撃の恩恵は計り知れないが
考えても考えても 結論が出ない倉田
「それ初めて聞いた」一番に再起動した奥山
「小姑が居ます、とか公言できないだろ バレたら先を見た彼女は無理
2年前にお袋が逃がしてくれて親父が家賃持ってくれて 俺も弟もアパートだよ
大台で❍高スタンプという時限爆弾があるのか 三人して言ってるから
裏も取れた 深雪姉さんは確実なんだよな そりゃ荒れるわ」
「俺は追い出す種銭はあるからと 気にしなかったけど世間ではそうなんだ
小姑 ❍高スタンプで荒れるのか お義姉さん6月に29 間に合わない
でも 新家建てて追い出して 面倒は片瀬 赤字店舗の整理も出来る
柿畑の新家くらい安いもんだ 俺も片瀬も幸せに成れる」自分勝手な比丘
「新家の件 さよのさんには言ってあるのか」
「うん 赤字と聞いてて新家に追い出すとまでは打診してある
帳簿を見てないから、どこまでの赤字とは知らなかったよ」
「かなりらしい 方丈の家だからヤッてイケてるってのが
専門店街のテナント店長組の見解だ 俺も片瀬も同じだし」奥山
「客筋はいいんだけどな でもな高価すぎるわ 普通の家では買えない
挙句に丸顔には似合わない 細面の美人専用とか 絶対数が足りん」
「なんだそれ」片瀬
「奥山に苦情を言われた 遠山さんと一緒にお義姉さんの店に入った時にな
下着に囲まれ さよのさんは2回め 遠山さんなんて初めて会った
年上美人二人に挟まれて 商品説明を受けたんだよ
ちらっと見えた正札が8万とかでな 一揃えで10万とか15万とかだ
あ、奥山は頑張れな 遠山さんの下着は、さよのさんの店の下着らしい」
「一瞬羨ましく思えたが 下着に囲まれて深雪姉さんが二人いてと想像したら
背筋が凍った それに耐えるとか パンチはすげえなぁ」
うんうん と頷く奥山と倉田さん
「その前に脱出できてたからよかったけど
ウーロンみたくパンティを頭に乗せられるトコだった」
「ウーロンは世界を救う願いでいいけど 現実だと怖い体験してんな」奥山
「怖すぎて泣いちゃった」と笑いを取りに行ったけど
「全然笑えない」と二人に叱られる
「方向性は見えた しっかり裏を取ってくれ 嘘偽りはない」奥山
「うんうん 俺もな」片瀬
「お任せを」倉田さん
「もう一回 乾杯するか」比丘 再度の乾杯をする四人のコップが当たると
「おくやまぁ〜」と瀬山の声
「遅いぞ」と返す二人 「コップ持って座れ」片瀬
「え? 三人共がポケベルの件を知っているのか」
「瀬山 ポケベルを4つも持って 流石はイケメンでまつ毛が長いわ」比丘
「背も高い」片瀬
「ポケベルに名前を書く意味を教えてくれ」奥山
「とりあえず お座りになってコップを」倉田さん 一見ヤクザの幹部候
踵を返して 逃走する瀬山
「まぁいいか ヤクザ疑惑も晴れたし 警告になっただろうし」
「そうそう そこはパンチと握れる」二人
食べ終わった頃に ピピピ とアラーム
「Gショックのアラームだ 1855でセットしといた」片瀬
「便利だなぁ おれもGショック買おうかな」
「パンチは まず動く腕時計な」と二人に爆笑される
こうして若者の中に埋没できる この辺の肚も凄い 倉田
まったね