第三十三夜 次から次へとヤクザ疑惑は続いていく
海かぁ
そういや師匠が地元と海難捜索とバーターでお昼の分だけの約束で
サザエやアワビを採ってたなぁ
お昼で生徒さんへ振る舞うのはいいけど
バーターの海難捜索はショップメンバーだけ 年間二回か三回はあったよな
漁船に引っ張られての広範囲の捜索はウエットだと襟から入るから寒かった
2回目から頭巾を被ったらダンチだった 頭巾の裾が長いのは意味があるわ
Hammer Diveが解散してからは 旧知のショップの応援だけど
どこも地元と握れる根性がなくてサザエもアワビも採らず
偶に漁協の臨検で見知った漁師さんに見つかると一杯を誘われる
ショップも生徒さんも放ったらかしになるけど 漁師さんのお誘いは断れない
応援に行ったショップでも20位の娘は居なく お局様ばかりだったなあ
まぁレジャーダイブでイントラや要エスコートではお金が掛かるからね
臨検の漁師さんさんたちが集まってくる
おじいちゃん漁師さんから見れば お局様でも薄着の若い女性
美人を隠して 若い娘を連れて と俺が責められてると お局様は上機嫌に
なぜか女性の一人がラッシュガードを脱いで水着になるとお局様まで一斉に脱ぐ
おじいちゃん漁師 ハンディの漁業無線で水着美人が居ると漁協へ連絡してた
午後のダイブを捨てて 漁師さんが持ってきた肴とビールをスタート
どのみちショップのマイクロで帰るだけ お局様も誘いだす漁師さん
「そこの 美人のねえちゃんも 食べな 呑みな」
ネエチャンで一瞬むっとするが 漁師さんの満面の笑みで「頂きます」に
潜る予定は完全にどこかに行き 運転手以外は宴会に突入
気の毒な運転手はマイクロでビールの買い出しにむかってたなぁ
買い出しから帰ってきたマイクロには更に漁師さん肴とビールが山盛り
とか思い返しながらボーとしながら魚拓を見てると二人の男が寄ってくる
「おい そこのパンチ さよのさんの店に入って何してたんだ」リーゼント
「瀬山の店から遠山さんと一緒に歩いてたよな」オールバック
ボーと過去の思い出に浸ってたから全く事態が飲み込めない
「申し訳ない もう2回は言ってくれ 事態が飲み込めない」
「そうだな 大事な事なので」と三回繰り返してくれる 意外と優しい
「リーゼントさんへの回答から
GS裏のBarで呑んでたら瀬山とさよのさんがご来店
よっぱのさよのさんに絡まれて対面に座らされてな
スイカおっぱいを3分間凝視してたら 失礼なやつと 言われてな
このスイカを凝視しない方が礼儀知らず と返して一緒に呑んでたら」
「おい なんだそれ さよのさんと一緒に呑んだだと スイカも凝視しただぁ
さよのさんファンクラブ 会員No1番の俺を差し置いてそんなことを」
「瀬山はいいのかよ」
「瀬山は若い娘専門 25までで貧乳派だ 守備範囲外だから放置してた
総務の亜美さんに他店の3人 全部25以下で貧乳だ」
「それより なんで館内で遠山さんと連れ立って歩いてさよのさんの店に」
同じ日本語空間には居るが 意味の理解が追いつかない
瀬山は25以下の彼女が3人居る だけは記憶したけど
貧乳派ですら咀嚼できない 他は無理
「すまん理解が追いつかない 挙句に瀬山に亜美さん以外に3人の彼女
そろそろGS裏のBarがオープンする 資金はある
俺も連れが居る カウンターで並んで落ち着いて話さないか」
「どうする 話は通じそうなパンチだ」リーゼント
「GS裏のBarって 結構 客層がヤバイとの評判だけど」オールバック
「それ俺も聞いた 一人ヤクザが居るらしい マスターが普段は出さない
秘蔵の酒をバンバン出さして呑んで 諭吉を何枚も普通に払うって聞いた」
今度は目眩がしてきた 確かにクルンクルンのパンチ ヤクザ候だけど
「その マスターの秘蔵の酒を呑んでるのが俺だよ 勘弁してくれ
パンチだからってヤクザは無いだろ リーゼントにオールバック」
「俺らは 若者のヘアスタイル パンチはヤクザ これが相場だぞ」
「しかもクルンクルンのパンチらしい」と二人に言われる
「俺も紫のロッドでクルンクルンのパンチだが 絡んできただろ」
「今日は ポロシャツとハーフパンツ 若者向けを着てる
あそこだとダークスーツのヤクザが居たって聞いたから」
「そう しかも皮の小さめのスーツケースを手錠で留めてたらしい」
思い出す 板場の帰りだ 路面店の料理店なら此の格好だけど
ホテルにはいってる料理店 ホテル内を歩くからスーツを着用
板さんで揃えたらシャドウストライプのダブルのダークスーツだった
ケースには尺の柳刃から包丁が沢山入ってるから手錠で盗難防止だよ
「それ 俺だ 仕事の帰りだからスーツ着てたし スーツケースの中には
盗まれると困るものが入っているから手錠してるんだよ
長谷だって 高額の時計の外商だとスーツケースに手錠だろ」
「長谷を知っているのか 長谷と瀬山も居れは行ってもいい」オールバック
「瀬山かぁ 亜美さんのとこに2人乗り込んできたらしいから おちょくるか」
「もう一人は どうなったかも訊きたいしな」
「電話番号を知ってるか これ使っていいから呼び出してくれ」投げる比丘
「携帯電話って 若い格好してるけど、やっぱりヤクザじゃないのか
若者はポケベルだぞ」リーゼント
「みろ 墨は居れてない」ポロシャツとハーフパンツをめくる
「でも その腕時計 舶来品で高そうだし」オールバック
景子さんにせがまれて、バックに入ってたムーンフェイスを嵌めてた
「明様 お待たせしました」倉田さんが店内ツアーから帰還してきたが
これまたヤクザ候のオールバックに岩山家の筆頭番頭の迫力に
超絶仕立てのいいスーツから靴から一式
「こんな ヤクザの幹部候の方が 様 余程の幹部」
「帰ろうぜ」
次から次へとヤクザ疑惑は続いていく
「いいから 長谷と瀬山を呼んでくれ 二人の証言を信用してくれ」
電話をして呼び出すのと同時に ヤクザ疑惑の裏を取るオールバック
まったね