第二十四夜 めでたい が 婿殿は苦労される
携帯へ電話が掛かってきて 話しながら玄関へ向かう比丘
「お金で思い出した 俺 時計屋 半日抜けたし1個は売らないと
でも比丘さん ワンオフの使い込んだの持ってるし
普通の元カノのプレゼントならマイナス でも乗り込まれてバレてる
返ってプラスですよね 売り込む余地がない 困ったん」
「長谷くん 魅せて」歩美さん
「こっちに並べてます」とリビングのサイドテーブルの上を指す
「お勧めだったセイコーの自動巻きを 私の彼氏に私が嵌める」
と手に取り 自分の右手に巻く さよの
どうしようと思うが関わったら負けと判断する 妹と時計屋と総務の二人
ここは無視して 自分のことを進めるのは良いと判断が出来る18％の27才
「長谷くんは どれがいい？ 水曜日のお見合いが上手く行ったら
私が長谷くんに嵌めるから 一つ買わないと」
「それが よろしいかと」酒田さん
「今時点で欠品ですがΩのシーマスターが欲しかったけど差がありすぎて
比丘さんのシーマスター ワンオフのイリジウムモデルなんて宝飾品
なのですが 傷だらけになるまで使い込んでるガチの使い方
ベル潜とか言ってましたらヘリウムリリースも本来の使い方で使ってる
セイコーの自動巻きかと思いましたが、さよのさんが先にお買い上げなのと
ヘリウムリリースバルブを何時使うのと問われたら凹むだけなので
ロレックスのステンのサブマリナー これならオシャレ系も使ってます」
「酒田さん そのサブマナリーは」
「樫村家の婿殿が嵌めていても 飛車落ちはないです
長谷さん 明日にでも 酒田がお店に支払いに行きます」
「ベル潜ってなに？ カランカランのベルじゃないわよね」長谷以外の全員の疑問
「俺も時計屋なので 時計側からしか知らないのですが 潜水の方式です」
セイコーの300mの取説を出して魅せながらの解説
「深く潜るには空気じゃなくて ヘリウムと酸素の混合気体で船上の
タンクで与圧して 潜水艇に入り100mとか潜航して 出て作業をする
また 潜水艇にはいり浮上して 与圧タンクで内で過ごす
この潜水艇の形がカランカランのベルに似ているからベル潜
与圧タンクから出る時に時計の中に入った ヘリウムをリリース＝抜く為の
バルブが付いている腕時計です そう言う世界を熟してる」
「ちょっとまってて」と香織 レギに付いてた日本アクアの教本を持ってくる
皆で 参考と書かれたページの 絵図と説明を見ながら
「これ？ 飽和潜水のこと？」 「そうだと思います」 「はい？」
「世界の海軍でも少なくて米軍と自衛隊 民間だと英国でしか訓練が出来ない
仕事場は北海の海底油田や潜水艦の故障時のレスキュー って書いてある
けど そういう特殊なプロの世界もあるとのご紹介 とも」
「軍まで 関係してるの」母
「軍には行っていないよ メシマズの民間会社 給料はメチャいい」
電話を追えて戻ってきた比丘
「携帯電話では話せない事だらけ 明日も明後日も面直での話し合いになる
無線でアナログだからその気になればラジオで盗聴出来るから仕方ないな
20で倒れるまで疲れたし 明日に備えて風呂入って寝ます 香織 頼む」
香織の案内で風呂に入り 香織の部屋のベッドで寝てしまう比丘
酒田さんのクラウンのRrシートに乗せられ 歩美さんの隣で送られる長谷
遠山さんと琴美ちゃんは タクシーで送り返され さよのさんは寝てしまう
婆と母で香織で片付けをして 順に風呂に入り 就寝していく
朝 5時半に起きて キッチへ行くと予想通りの炊き込みご飯の残りがある
おむすびにして 頂き 車からジョグシューズを出して ストレッチ開始
「２時間だと 騒がれるな ５０分で我慢だ」
GS裏のBarまでで片道４kmほど ８km/５０分 いいペースだ
７時丁度に戻ってきたら 門の前で香織が仁王立ちして
「せめて おでこに御札の一枚を張るとかの優しさはあっても」と怒ってる
「鏡にルージュで【７時に戻る】と書き置きはしておいたけど」
洗面所に向かう香織 ルージュを見て崩れ落ちる香織 お怒りが始まる香織
「あのね このルージュはオキになのよ」と叱られる
「一回 ルージュの伝言をしてみたかった」ボソッと言ったのが聞かれて
「やりたいならやりたいと 使わなくなったのを用意するから」
それだと面白くない と思っても声には出せずに呑み込む
「ただいまぁ 戻りました」と大声でいい リビングへ二人で向かう
「何処へ言ってたの 散歩？」母
「スローRunで8kmほど デブルのは恐怖なので運動です」
「朝ゴハンは婆と私だから 家庭料理よ シャワー浴びて来て」母
竹内さんがMとLとLLの下着とポロシャツとスリークォーターパンツを
３Setづつ買ってきていてくれて お義姉さん経由で贈られているので
着替えはある サイズが理解らなければ揃えればいい 流石の力技だね
スリークォーターパンツなのは俺の足の短さだと チノパンだと裾直しが
必要と踏んでのセレクトだと思うと 親切心に心を打たれ枕を涙で濡らした
弟さんの雅人さんの顔は潰せない
リビングのテーブルに行くと 爺父もいる
「姉より先の妹の寿 香織さんの婿の比丘明です」自己紹介
「姉がさよのでな 香織が可愛そうで そうか婿でか うんうん」爺
「婿と 方丈家に入って頂けると」父
「婿の件と方丈の家に入る件は別問題 ですが このボンクラを
受け入れて貰えるなら 方丈家に入ります」
「その 姉より先に との口上 ボンクラではぶち込めない
さよの 香織にキチンと祝いの口上は述べたのであろうな」爺
「言わされたわよ 姉より先の妹の寿 おめでとう をね」さよの
「そうかそうか 婿殿も座って朝食を」爺父
ご飯の食べながら 当たり障りのない話から始める爺父
なにも聞いてないのかな
「婆様からの情報は聞いてみないのですか」
「それが 朝食をお楽しみに とだけで 美弥乃もだんまりで
先程の婿殿の口上でボンクラではない事だけは理解った」父 健吾
「うむ 姉のさよのが居ることを知ってもなお 香織に婿殿が来てくれた
めでたい が 婿殿は苦労される までしか判らん」爺
「お義姉さん お爺さんを〆た方がよくないですか？」比丘
「それを 言える婿殿 うんうん」爺
黙々とご飯を食べる さよの
「我が家であった事柄で お父さんたちが寝た後だけを話しても
信じないでしょうから」母 美弥乃
「そうよねぇ 順を追って説明しないと厳しい」香織
まったね
レギ スキューバダイビングで使うレギュレーター
日本アクア 当時の代表的なレギュレーターの日本代理店
此の時点の８年前は結構詳細な教本が付いていたのは確認してますが
この時点で付いていたかは不明
この当時 彼女が水着に着替えたら が公開され
猫も杓子もレジャーダイビング お屋敷のお嬢様ですと一式買ってる設定です
