第百九夜 伝説の いいじゃない は嫌なので
谷上家では姑がルンルンでビールを注いでいる頃
旦那に叱られて 正座の刑の和恵
膝の上には PD+286のJ3100B12 メーカ曰く ラップトップ
コンコンと叱る 光宏の怒りの具合が現れている
19時を廻って 二人で出発 途中で菓子折りを受けてって
あと5分の所で先様の家に電話 ご主人が帰宅してきていることを
確認して向かう
出迎える夫婦に対して
玄関で挨拶をして 名刺を出して 身分を名乗り 謝罪に来たと告げる
「ほれ 和恵 お前も謝れ」
「ご迷惑をおかけしました」と謝る和恵 声が若い
「すいません ご無礼を承知で 顔を上げて 復唱してもらえますか」奥さん
「宮廷経済 OB会幹事の笹田健吾様のお宅でしょうか
私 樫村和恵と申します」
これを言って電話は叩き切られた その部分を復唱する和恵
「ご主人と別れてもらえませんか お腹に赤子がいます」奥様
なにも考えれずに復唱する 和恵
「保奈美 なにを先輩に言わせてる すいません とりあえず上がって下さい」
あがると座卓 横にベビーベットがあり赤子が居る
「あのね肌は28なのだけど 電話だと顔が見えないからモロ20だったのよ
もう頭の中は 出産育児で里帰り中に20に手を出して孕ませた だったのよ
声にして貰った 後半が 頭の中でぐるぐる再生してた」保奈美
「加藤先輩の 来年のOB会は20の声の山田の音頭で乾杯
その嘘松ネタ飽きたんですが と俺も皆も言ってたけど 本当だった
保奈美 俺の浮気疑惑は晴れた?」
「晴れたわよ もうびっくり」保奈美
電話が掛かってきて 受話器で取って手ぶらフォンに切り替える
「加藤だ 笹田か」
「笹田です加藤先輩 まず謝罪 20ネタ 嘘松と言っててすいません」
「どうした」
「いまご本人の山田先輩が謝罪に来てくれて嫁の誤解も溶けて」
「俺の言ってたことに嘘はなかっただろ 山田にOB会に出てこいと」
「言っときます」
「またな」と切れる
「加藤さんのネタ元の20の声で替え玉説もなしと
ちょっと残念でもあるわね うちの旦那が”まだ”20にモテたかと」
余裕が出てきて ボケもカマせれる保奈美24 一児の母
「こうやって先輩後輩を繋ぐのがOB会OG会 総会にちゃんと出席しとけば
今年も20の声の樫村先輩の音頭で乾杯してきた と笹田さんも言える
そういう普段の努力を怠るから 笹田家に家庭不和を生んだ」光宏
「行ってもいいんですか」
「いつも行けと俺は言っている 心配事があるからガート付けるけどな
俺だって コナ掛けられてのツイツイをやらかさないようにガード付き
男子ばかりでと 嫌がってたのは和恵だよ」
「流石 樫村運輸の社長 ガード付きでお願いします
伝説のOB会の再現は幹事としては困りますからね
20の声で もうイッパイ ねぇもういっぱい いいじゃないもういっぱい
加藤先輩達が3人がかりでタクシーに放り込んで 送り返した事件」
和恵「@あ」と思うまもなく 呑んで渡ってグダって もういっぱい
事件をバラされる
「流石 安定の加藤さんだわ この声で いいじゃないもういっぱい
は注いじゃうわよね」保奈美
「その節は ご迷惑をおかけしました 赤子が来なくて荒れてた時期で
3人生みましたので もう渡らないと思いますが ガードを付けます」光宏
「それはそれでお願いしますが 山田先輩は何がしたかったんですか」笹田
「純金やら聖淑椙光などの女子校のOG会の情報網がすごくて」
「それ 山田先輩が来ないから連絡を入れれない
今日の逆で 俺が電話して ご主人が出たら間男疑惑
キチンとご主人と話し合って合意して来て下さい」
「はい 光宏さん いいですか」
「いいもなにも こちらが謝罪案件 奥様はいいですか」光宏
「此のネタを うちの高校のOG会で使ってよければ」保奈美
「またOG会 OB会も笹田さんも加藤先輩も顔を出せと誘って頂けるのに
記憶のないOB会で いけなくなって」
「そこまで使わせて頂きます 次回刈田西高OG会の主役よ!!!」保奈美
「え? 私も刈田西→宮廷経済」
「は? 学校開設以来の才女の山田和恵先輩 OG会来て下さい
思いっきりネタにしますから」保奈美
「行ってこい 引き上げ要員3人で「もういっぱい」で止めて回収するから」
「その 本筋に戻して 方丈家の婿に入ったパンチのアキラ
樫村本家の婿殿の長谷計二 岩山との繋がりと素性を知りたく
OB会で知っている方が見えないかと」
「あたっては見ますが その二人って岩山の中枢関連とまでしか
その先はセキュリティもセキュリティクリアランスも確りとってるから難しい
俺らもそこまでは聴こえてきていますが 素性までは本腰で探らないと
返って 保奈美の刈田西のOG会が知ってるかもな」笹田
「うちも無理っぽいです 誰も口を割らないと思います
家格的に純金OG会レベルでないと 聴こえてこない」
「これが 純金OG会の意味なのね」和恵
「純金と言うよりOBOG会の意味 山田先輩が渡ってグダって いいじゃない
これも ウチのOB会から外へは漏れてません OB会の中は中
保奈美が了解を得て苅田西のOG会で漏らしても そこまでで止まる」
「ふう」和恵
「先輩と解かれば お聞きするですが 才女ですと私と干支が同じはず」保奈美
ここまで着たら隠しても無駄と諦めて 「今年 満36ですよ」
「うっわぁ 実年齢が36で肌が28で声が20 その肌の秘訣は」
完全に先輩後輩になっていて 後輩からの質問
「エステ 一緒に行きますか 赤子は交代でみればいいので
来週予約してますから 1名増やします これはお詫びで」
「健吾 先輩のお誘い いい?」
「そんな言い方 ダメとは言えない 涼太をしっかりな」
「ウチのがやらかして OB会OG会の意味も理解ってくれたようで
笹田さん 誘ってやって下さい 回収要員は3名付けます」
「3名の確約は守ってくださいね 伝説の いいじゃない は嫌なので」
「では失礼して 帰ろうか 電話番号とか渡した?」
「これ 家の電話番号です」とカードを奥様に渡す和恵
「エステ 木曜日の午後ですが予約が確定したら電話します」
「先輩 OB会よろしく」と見送られ帰る光宏和恵夫妻
帰りの車の中で夫婦の会話
「呑んで渡ってグだったので までは聞いてたけど」爆笑の光宏
「和恵の声で ねぇもういっぱい いいじゃないもういっぱい
夫婦喧嘩したら 声真似して使おう」
「それは卑怯です」
「俺は帰ってきてから 『休憩完了 もうイッパイ』しか聞いてないけど
現場は大変だったろうな 加藤さんとやらに三人分のお歳暮な
あとの二人に配って貰ってな」
それも覚えていない和恵 返事は短く「はい」
10年近く前のやらかしが亡霊となって襲い掛かってきて どうしようもない
行きにくいけど 行かないと繋がらないOB会
まったね
PD プラズマディスプレイ
286 インテル80286
ラップトップ 膝の上に載せて使うパソコン