第十夜 なんなら俺が教えてもいい とか巨大な能書
目が覚めると 対面のソファーにスイカ姐さん 見詰められてる
「そんなに寝てた?」
「まだ 夕方の四時よ」
「お店は?」
「うちの店 女性下着の専門店 変なのが入ってこれないようにドアがあって
〆て鍵かけて 館内とは関係なく閉店も出来るのよ 基本予約だしね」
「起きたのなら 膝から起きてね 麦茶を持ってくるわ」と香織23さん
「見詰めてたけどね
この自称ブサイク7割愛嬌3割のパンチを巡って三人の女の戦い
そして思惑も渦巻きまくり
木曜日なら とっても とっても 理解できない話」
「ブサイク7割愛嬌3割でパンチなら 他の女の心配は少ない かな」
「そこはね 婿養子案件だと重要事項で +ポイントになるけど
遠山が行ったのも 松平のお嬢も そこじゃないのよね
一線を ここからは絶対に引かない一線を持ってるわよね
香織に聞いたけど 生徒さんと二人分の命を背負うかぁ
遠山の婿になって欲しかったわよ 遠山なら後輩だし遊べるしね
遠山が家の格でもボロ負けしたって 愚痴を溢しに来たわよ」
「まぁ諦めて 香織さんの お先に を聞いてあげて下さい
あと遠山さんもお嬢もお義姉さんも 三人とも腹筋割れてるでしょ
最初から 言ってたんだけどね」
「ねえ おねえさん って言ったわよね?」
「義理の姉だからお義姉さん その目の前で実の妹の膝枕で眠子ける
連敗脱出の1勝 この1勝で戦線から離脱 嫁は一人でいい」
冷たい麦茶を持ってきてくれて 人数分コップに注いでくれる
「ありがと 座って一緒に飲もう」と隣をポンポンと叩く
「此の言動と仕草 木曜日の何の情報ない状態でヤられたら どう」
「姉さん 仮定形過去の質問にはノーコメントですよ」
「遠山はね 木曜日の状態で私と組んで年下を悩殺して
食いつかせようとしたら 蹴散らされて 追い駆けたらライバルがいて
とか気の毒よね」
「だから 来月の誕生日プレゼントは熨斗付けてと お願いしてますが」
「やっておくわよ 遠山サイズなら在庫で間に合う
遠山以外だと発注からになってスケジュールがキッツい事になってたわ」
「よろしくおねがいします」
「ねえ 何処で瀬山と差が付いたの」
「差とかじゃなくて方向性の違い
瀬山はイケメン 俺と違って女の子に話を聞いて貰えるから
わざわざ、お局様と話す必要がない
俺は優しいお局様しか話を聞いてくれない
あげく夜中の寮へ電話してきて迎えに来て家まで送るようにとの下知
呑んで渡ってグダったお局様の経験値の差ですよ
その呑んで渡ってた景子さんも来週寿の式披露宴
料理とかも俺がご辞退をしたら 練習し始めたって
俺の時にやってくれれば と倉田さんに愚痴を溢しました」
「松平の岩山家のお嬢様をご辞退した男の言葉かぁ 身に沁みるわ
遠山にも言っておくわよ エクササイズもだけど料理も習えとね」
「そそ 男は胃袋を掴むのが一番 なんなら俺が教えてもいい」
「また 巨大な能書を言う 普通なら爆笑案件なのだけど」
ピンポーン と呼び鈴が一回鳴る
お義姉さんが迎えに行き 四人で戻ってくる
「遠山 5年前のミス・デカイスーパーの遠山 エクササイズよりも料理だって
岩山家のお嬢様もこの男にご辞退されたら習い始めたって その男が
なんなら俺が教えてもいい とか巨大な能書をたれてるケドどう?」
「比丘 またトラップを仕掛けて 遠山さん 習うなら真っ当な教室で
こいつだと魚は市場で一本買ってがスタートだし 鳥も羽毟りから
流石に四足の解体はヤらないけど ブロックから」と瀬山
「それが出来ないと 目玉焼きが焼けませんので」比丘
「ウチの景子お嬢様が撃沈された案件の再現フィルム
景子様も意地になって柳橋の種銭渡したらワラサとホウボウと鴨とかや
野菜も色々買ってきてうちの台所で捌いて料理にして振る舞って
煮物が美味しくて、うちの旦那が納得 景子様が倒れた」笑うおばちゃん
「あ、竹田のおばちゃん 2年ぶり ご無沙汰しててで、いいんだよね
景子さんの寿 おめでとう御座います
竹田のおばちゃんの料理指導が実を結んだそうで良かったです」比丘
「なに 倉田さんが言ってたのは これ? 目玉焼きのじゃなくてコレ」香織さん
「比丘 おっ前 黙ってたのか」瀬山
「だって これゲロると 若い娘の99%がご辞退か蹴りを入れてくる
目玉焼きで大人しくしてたのにバラすなよ」
「岩山家の竹田さん ってご主人が 額田県で一番の料亭の竹田さん?」
呆然としながらの質問を絞り出すミス・デカイスーパーの遠山さん
「しょぼい料理屋ですよ そこの婆」と竹田のおばちゃん
「香織さんは 愛情がこもった美味しくどうぞな料理だからこのままで」
「うちの板に言い放った 技術に走るな 美味しくどうぞだけでいい
悩みに悩んで旦那に叱られて 大変だったのだから」竹田のおばちゃん
「岩山家をまるごと納得させる料理をした この実績なら能書じゃない
香織 頑張れな それと遠山も一緒に習うのは認めたほうがいい
一人だと段差がありすぎて 挫ける」他人事なお義姉さん
「はい」と香織さん 遠山さんは沈黙した
「ところで 竹田のおばちゃんはどうしてココへ」
「おみやが4人分あるそうで 勿体ないお化けが出るかもとの連絡で応援に
足りないのは追加すればいい おばちゃんにお任せを」竹田のおばちゃん
まったね