第百八夜 「まぁ」ルンルン度が上がり ビールでもどうぞと自ら出しに行く姑
「ただ今戻りました」
とお手伝いさんの須磨子20が買い物から帰ってくる
「あら旦那様 お早いお帰りで ちょっと休憩頂いて夕食を創りますね」
「あ 須磨子さん そのコーヒー飲んで 一言感想を」大智
「その辺のしょぼいお店より美味しいです 旦那様ですか」須磨子
「こちらのお局様のさよのさん しばらくうちに居るから食材とかもその様にね
珈琲の他にも お茶もそこそこいけるらしい
順子の後輩だけど立場逆転で辛いと思うから 須磨子さんも教えて貰えばいい
バーターで松平農業食品科の料理部の実力を料理で教えてあげて」
「コーヒーを頂きながら旦那様に相談ですが 少し自由時間を頂きたいのですが」
「なんでまた 理由による」
「調理師免許を取りたいので勉強する時間を頂きたいのですが」
「それは協力するように 順子に言っても無駄だから お袋に頼む」
「それと 先程のお茶を習うのは私もいいのですか であれば習いたいです」
「やっと言ってくれた 谷上の家のお手伝いさん ウチでの花嫁修業だよ
茶の一つは頂ける 華の一つも活けれる でないとウチから嫁に出せない
お袋に協力して貰う」
「え、そうなんですか」
「普通はそうだよ 高卒でお手伝いさん 内弟子と同じ 料理は料理部の実力
谷上の家のお手伝いさんで お茶の一つも点てれない では困る」
「でも 奥様は」
「そこの20 それ以上は言ってはいけない」止めるさよの やさしい
「調理師学校には行かなくていいの?」こちらは何事もなかったように話す大智
「実技は農業高校食品科の料理部 その後もここで実地で2年も 学科だけです
河豚は免許があっても毒部位の処理で色々大変なのでパスです」須磨子
「俺はOK お袋と相談して順子とお局様に実習 後ろで先生で」大智
「また 自b」までで 全力で順子を止めるさよの
「順子先輩 バトミントン部 バリバリの体育会系 合宿で男料理
コーヒーですらあのドリップとサーブ 大田の中華ディープも熟した
やっていない訳がない」さよの
「では 奥様とお局様は 言いにくいので さよのさん
夕食の準備 頑張ってやりましょ」と話を切ってくる須磨子
「しかし タイミングが悪い 須磨子さんが1年速く お茶を習ってれば
生田の婆さんに 須磨子さんはどうですか で躱せれたのに」大智
「なに それって琴美ちゃんの件」順子
「生田の婆さん 会社に乗り込んできた いま必死で裏をとってる娘は居る
ちょっと待って と言っても 彼女も作れず と愚痴が止まらん
そもそも仕事ばかりやらせて 大学の同期の女子込みでのお誘いとか
遊びに行くのを ヤメさせ続けたのは婆さん それを これ以上は愚痴だな
まぁ草臥れたわ 川崎部長が今日は任せて と言ってくれたから早引け」
「生田の婆様って味醂造り生田醸造 跡取り息子の那津二さんですか
ちょっとお断り案件です」須磨子
「なんで?」大智
「全ての事を 爺婆父母に「ご相談」 自分で決める肚がない
嫁ぐなら爺婆父母と激突してなぎ倒す肚が居る
その時に 那津二さんが どっちに付くか不明
少なくとも見合いまでに 婆は黙れ 出ていけ を言って貰えないと
お見合いすら受けれない が 松平農業OG会の一致した見解です」
「うっわぁ でも、嫁に肚があってBBA引っ込んでろと タンカ切って
言っちゃれえば良くない?」さよの
「婆様の悪口で実家に影響が出るので 浦上近隣が実家の娘は無理ですね
婆様を黙らせる余程の後ろ盾があれば別ですが それでも那津二さんに
「黙れ」だけは言って頂かないと 嫁が黙らせたら嫁が怖いから嫁の言いなり
それでは嫁が苦労するだけになります」
「生田醸造を乗っ取る気ならいい訳だ それはそれで問題だけど
乗っ取たのが 谷上家なら どうなの」さよの
「お断り まだ1000年くらいは元気そうな婆さん 付き合いきれない
そもそもウチ程度で黙るなら 前のお手伝いさんの奈美さんを推したよ」大智
「さよの お局様の迫力の出番だ 生田家に嫁に行け ひとつ上なだけ
だけど 琴美ちゃんに話したし 後始末もあるけど」順子
「琴美ちゃん21だろ OB会で那津二くんの裏取る時に今現在理解ってることを
リークしたら結構な家から 家に回せませんかって お誘いはあるから」大智
「あ 私は?」さよの
「まず、料理を私と一緒に頑張る
A)生田醸造の息子と婆を観に行く
B)岩山や樫村の独身寮追い出され組に希望をつなぐ
選択肢が2つも出来てくる 頑張れ」順子
「その手の話もあったから 順子と一緒に須磨子ちゃんに習ってな」
ご飯が出来るのを キッチンの隅に陣取って見てる 姑と大智
「ヘボいって 本人の自供だったけど」大智
「順子に比べたら誰でも上手 もう少し様子を」姑
途中で須磨子ちゃんも座らせて 三人で見てる
出来上がった夕食 煮物系と 生姜焼きに彩りあり
姑夫妻に大智に順子 さよのも須磨子も同じ席で食べてる
「お手伝いさんも 同じ卓で食べるのね おしんじゃなんだ」さよの
「当たり前です 他所様のお嬢さんをお預かりする お給金を払うので
家事料理はやって貰いますが 基本は花嫁修業で姑の楽しみ」姑
「それは 順子先輩が ヘボすぎて」さよの
「そうよ 教えようと思うと お腹に赤子 それはそれで良いのですが
まぁこれから苦労するだけで 大智も 中華ディープ系は厳禁ですが
さよのさんの見本でバトミントン部の合宿の成果に関しては解禁します」姑
「須磨子ちゃん 明日は早起きで 二色漁港の朝市へいこう」大智
「大智は放っておいて さよのさん そこそこは料理が出来てるのですか」姑
「私 魚がまるでダメで 全然捌けないのです あの目とかで無理に
川島は専門に行く前から捌けてて 自慢されても困る状態で
専門に行って ひらめの 4枚?6枚? 卸が出来ないとヘボいと言われ
挙句に煮物は比較対象がパンチのアキラ 肉じゃがで凹まされました」
「出てけ!!」 何度目かの絶叫の順子
軽く無視する 姑に旦那に20の食品科卒
「この夕食一回では 判定は無理 1週間は須磨子さんと一緒に」姑
「はい ご一緒に」20
「そっか 女性は丸の魚は苦手 だよなぁ」大智
「そこは片付づいた 須磨子ちゃんが調理師の受験勉強の時間が欲しい
お茶も習いたいらしい これはお袋が待ち望んでたこと いいよね」
「あとで 受験までのスケジュールを魅せてくださいね 応援します
それよりお茶に興味が 私は尾州の出なので尾張流
此の地の岩山流とは違いますが 尾張流の茶名餅の姑から
多少の違いも含めて お稽古をしますね」ルンルンになる姑
「そのお茶のお稽古 私もお願いします」
同じ流派あれば復習になる しれっと茶名餅は隠してお願いをするさよの
「まぁ」ルンルン度が上がり ビールでもどうぞと自ら出しに行く姑
まったね