第百四夜 コーヒー美味しい 順子
琴美からの電話で道後温泉居たさよの 竜飛岬に居るお局様に電話する
大田の衝撃波でなにわともあれ 合流しよう となって経路を計算すると
羽田が合流ポイントととして最適との計算結果を弾き出す
「今日中に移動できれば 明日の朝イチで羽田に
国内線アライバルロビーのどこかで」川島
「川島 04で繋がってる 携帯だよね 私も今から羽田に向けて移動する
アライバルに憑いたら電話頂戴」さよの
「了解 さよのも03で繋がらなくて04で繋がる携帯電話だよね 電話する」
高校卒業以来 約10年ぶりに会話した二人
なんとかその日の内に羽田で合流が出来たのでビジホに泊まり
翌日朝イチで東京駅から東海道新幹線で一路名古屋へ
3時間の間 お互いの妹から口上を確認して 日時的に
香織の口上を丸パクリの若菜 は正解と合意する
ただし、その丸パクリでOG会が震撼している
17の高３が 此の子のお父さんとの爆撃 との情報を川島が伝える
以後３０分は会話が止まる
黄泉がえった さよの
「これは、もう景子先輩に頼る 後妻でも真っ当な方なら許容するしかない
まぁ景子先輩と言うより 岩山の企業グループ１３万人
他にもOG会で 譲るトコまで譲れば 宛を探して貰える」
「私 景子先輩とは卒業以来疎遠で 披露宴も招待されたのが不思議で」
「そこは 妹の婿殿関連でなんとかする OG会も頼りになる
大田ぁ出し抜いて嫁に行きやがって も皆知っているしね
披露宴招待の件は 順子先輩曰く 見合いの事前登録会だそうだ
３０前後の殿方が複数で 二次会へのお誘いに行く様に雅人さんの手配
殿方の前で渡って乱戦では断念されるわ」
「呑んで渡って乱戦が漏れると かなりのビハインド さよのは居なかったから」
「そんなの お局様で一纏め なにか前に出ないと 家事はいける けど」
「けど？」
「料理がヘボい 大田のヘボい あれはOG会に喧嘩を売るヘボい
婿殿に頼るしかないか 今日は水曜日 樫村で家庭料理教室 直行」
川島姉とさよの 樫村家に直行して着いたら 11時 板場に案内される
山のような醤油にみりんにポン酒にかつを節に昆布に色々 ダンボール3箱はある
みな呆然としている女性陣 香織も呆然としている
「長谷くん 何があったの」さよの 婿に行ったのに慣れていないさよの
「今日は明さんが出し巻き卵を作るので見てて との事で見てました」
「それでこの調味料や出汁の山？」
「幼稚園の年少さん 年長さん 小学2年生 5年生 中1 中3 高2 用と
そこら辺の料亭のだし巻き卵を5種類 出汁取りから初めて2時間で
今冷ましてます 冷めてもふんわりと美味しいんが本物らしいです」計二
「あ、お義姉さんも参加で 修学旅行仕様の卵焼きの元のも入れましたから
いまから 家庭料理の出汁の素でのだし巻き卵」とサクサク30分で5つ作る
だし巻き卵 サクサクまな板に載せで7寸の薄刃で切って皿に盛っていく
「この辺がお弁当用」と香織に言って書かせた年少さん用とか札を貼っていく
「この辺が 家庭料理の 旦那さん用」これも札を貼っていく
「この辺が 料亭の味」これも札を貼っていく
「これが 運動会用というか防腐対策品」これも札を貼る
「計二も食っとけよ お弁当だ 歩美さんがインフルで倒れたら計二が作る」
「あ」と思う歩美
が
「母と婆か造りますので婿殿は座っていて下さい」
良かった、母たちに 無音サーブも完璧に熟す婿殿 ネルもとの警告は発した
母達も、名札では他人事で 和恵姉さんに上をと言っていたが 茶名しかない
「婿殿は出来るのに」との話になるとマズイとは理解したようだ
「一切れ食べたら 水道水でうがいね ご飯を食べてもいい」
「ねえ、年齢別でこんなに細かくする理由は」香織
「幼児から小学生で 味覚の発達がある それに合わせて甘みを抑えていく
中学生から上は男子用 思春期で甘いより出汁とか醤油の味
女子は甘いものが好きな傾向があるから 中1用で高3まで」明
「どれも美味しい」順子
「これは？」と修学旅行用の玉子焼きの元を出す
「ちょっと 味気ない」順子
「それが解かれば合格 卵焼きまでコストダウンで安物」
「この辺と此の辺で 段差はないような 思いっきり違うような」川島姉
「へぇ なんで」お初のお局様だよね 明
「解らないけど どこか違うような 微妙な」川島姉
「こっちは素材力の出汁の素 こっちは昆布やら鰹節やらで本気の出汁
素材力の製品開発陣の努力の賜物 家庭なら素材力で充分
こっちの料亭仕様は時間も掛かるしお金も跳ね上がる
ただ 出しの濃さには注意して 味醂と醤油は本物を使ってね」
「そんな 樫村本家で出汁の素は」姑
「でもさ 訓練を受けない 出汁も禄に取れないド素人なら
素材力でちゃんと濃さを合わせたのが勝つよ
俺 昨日は柳橋に行って枯れ節と昆布 三河の味醂と醤油とか買って
朝4時起きで枯れ節を鉋で削って用意して 段差があるようなとお局様
これと これで どこまで おわかりですか お姑さん」
塊同士では、なにかが違う までは解る その先が解らない
混ぜられて 名札をはぐられたら どれがどれだが
素材力でも出汁の粉の量の見切りで差が出る
「こっちの子ども用だけ差を覚えてね これは食育 味覚成長に合わせてる
また量とか彩りとかも 繰り返しやるから ま、ご飯にしよう
だし巻き卵はある カリカリベーコンとオニオンスライスのシーチキン和え
立候補はいる？」
オニオンスライスは歩美が カリカリベーコンは川島姉が立候補で始める
「待ち時間、なにか飲み物が入りますね コーヒーでも」計二
「婿殿は座ってて」と母 コーヒーメーカーに向かう
「紅茶も淹れますか」明
「それは婆が」と淹れに行く
「計二 やることが無くなった そこの庭の池にいる鯉を見にこう」
「いいっすね」と出ていく二人
鯉のいる池と言いながらグルッと廻って板場の勝手口で
縦に並んで顔を半分出して見て聞いている二人
オニオンスライスをスライサーで造りながら
「和恵姉さん 今日は黙っててくれてありがとう」と歩美
見てる二人 「よそ見するとスライサーで手を切るのに」と心配をする
「あ」と歩美 手を切った 交代する和恵 でも能書きは垂れない
「あ で済んだな バンドエイドで間に合う 良かった
カリカリベーコン どう思う」と明
「人様の料理 嘴は」計二
「嘴を挟まなくても良いとの計二の判定と」
見てると コーヒーカップを配膳してからメーカーのサーバーで注いでいく母
あれならカチャカチャ言わない うん考えたわ と二人
紅茶もその手で行く婆
「呼んできて」母の声で 勝手口から入っていく二人
「カチャカチャはなかった 考えましたね」計二
とほうれん草をレンチン レンチン後にバターを放り込み更にレンチン
焼き上がったカリカリベーコンを油ごとレンチンほうれん草と和える計二
「頭は使わないとな」といって カリフラワーをレンチンする明
「レンチン」と言ってしまう和恵 歩美は横を向く
「あのさ カリフラワーもブロッコリーも茹でると 栄養素が溶け出てしまう
せっかくの栄養素 勿体ないお化けが出るよ」明
「ほうれん草もね 端からフライパンでも一番が流れ出る だからレンチン
茹でほうれん草に鰹節にも栄養素的に意味があるの 理解ってます？」計二
フル装備のMi−24ハインドハインドDの二機編隊での掃討戦を始める明と計二
和恵姉さん無謀な戦いを挑んで と思う歩美と香織
此の世界線で戦うのか と思うさよの
黙っててよかった と母と姑
コーヒー美味しい 順子
まったね
