特訓!魔法少年スウィーティー☆彡タルト その24
お疲れ様でございます
まったくね
近くのペットショップを含む大型ディスカウントストアで、可愛い子さんのニャンコをいつも眺めていたのですが、誰かに買われて居なくなってしまいました
いえ、良いんです
先にお金出して買わなかった、私が悪いんです
そんな絶望を抱えて、本日も物書きなどして過ごしております
それでは本日のキララ、どうぞ
「あれはいつの日の事だったかな…確か、暑い日だった。俺達の部隊は、左右からの挟撃を受けて、逃げ続けていた」
いや、その話ひょっとして、重いヤツなんじゃないでしょうか?―――
面白エピソードですよね?
その話って笑うどころか、シャレになってないヤツ臭いんですけど
固まっている純平を気にする事無く、アキラが話を続ける
「仲間が撃たれて、次々と倒れていった。助けてやりたかったが、そんな余裕なんて無かったんだ。いつの間にか、俺一人になって走り続けていた」
コレ、PTSDになった軍人の回顧録じゃん
全然笑えないんだけど、コレはコレで興味が有る
コーヒーを一口飲み込み、純平がアキラと目を合わせる
「俺が撃たれるのも、時間の問題だった。もしあの時、少しでも諦める気持ちがあったなら、俺は多分、生きてここには居なかっただろう」
ゴクリと唾を飲み、純平が前のめりになる
「ただ走り続けていたんじゃあ、いつか追いつかれてしまう。ブービートラップって知っているか?釣り糸と手榴弾を使うんだ」
話しながら立ち上がって、タンスから釣り糸と手榴弾を取り出すアキラ
いや…何でそんなもん持ってんっスか?
それ完全にアウトですけど、大丈夫ですか?
今のアキラさん、ハッキリ言って容疑者ですよ?
完全に引いてる純平を気にする事無く、アキラが話を続ける
「こうやってな、釣り糸を蹴ったら手榴弾のレバーが落ちるようにしておいて、敵が追って来る道に仕掛けておくんだ。木に手榴弾を括りつけてる映画とかあるが、あれは間違いだ。爆発までには少し時間が要る。そのタイミングに合わせて、ちょっと先の方に設置するのが正解だ」
ピイッーーーと音を立てて釣り糸を引き出し、数秒程度で手榴弾のピンに糸を括りつけて、ブービートラップを設置し始めるアキラ
それ、本物ですよね?―――
まさか、ここで実演する所までが面白エピソードなんですか?
それ、これでもかって位の嫌がらせなんですけど、アキラさんそういうつもりなんですか?
だってそれ、俺も死ぬでしょう?
青ざめている純平を尻目に、テキパキとトラップの設置を済ませ、再び解説を始めるアキラ
「大体この位の距離だ。この手榴弾なら、ラインを蹴ってからここまで来る所で、丁度爆発する。しばらくウジ虫みたいに動いているが、そのうち動かなくなる」
巨大なボウイナイフを取り出し、張った釣り糸を切るアキラ
仕掛けていた手榴弾を、タンスの中に仕舞う
「コイツをくれてやると、追いかけて来る連中の足が鈍るんだ。トラップを警戒しないといけなくなるからな。おかげで俺は、逃げ延びる事が出来た。お前にも、設置方法を教えてやろう。手榴弾もやる」
いや、―――
気持ちは有難いんですけど、俺、犯罪者になるとか勘弁です
親に隠してる手榴弾を見つけられたりしたら、俺がどうなるかって考えてますか?
高校も、退学です
俺の将来、終わりですよ?
手榴弾持ってるなんてバレたら、どう考えても俺の人生アウトです―――
「…いえ、そういうのいいです。正直、面白エピソードっていうか、ろくでもない話でした。手榴弾とか出し始める所も含めて。やり直しして貰っても良いですか?全然笑えないです」
それを聞いたアキラが、小首を傾げて考え始める
「ンー、敵兵が吹っ飛ぶところとか、面白いと思ったんだけどな。俺は、笑いながら走っていた。他の話か…ちょっと時間をくれ。何かないか、思い出してみる」
是が非でも、手に入れたいもの―――
そういうものを見つけたら、躊躇しない事をお薦め致します
私がそれで、後悔しているものですから
それを手にする者は、行動した者です




