飛べ!魔法中女プリティー☆彡キララ その3
「うん。まずは飛べるようになるよ。そのブーツで飛ぶんだ」
グリは、目ん玉の左右についた翼でパタパタと飛んでいる
同じようにパタパタと飛ぶんだろうか
自分も空を飛べるのだ
忌まわしい過去から、解放されたような気がする
いや、これから人生をやり直し、本当に過去から解放されるのだ
今のキララには、微笑みが浮かんでいる
「ねえ、グリ?私今、本当に解放されたような気分なんだけど、何で?」
「それは多分、久しぶりに仕事以外で誰かと話しているからだと思うよ」
普段であれば、矢のように心に突き刺さる言葉である
だが今のキララには効かない。効かないのだ
「このブーツで飛ぶのね。どうやったら飛べるの?」
「片足を上げて立ってみて」
グリに言われるままに、キララは片足で立つ
「こう?」
「うん。で、左右の足を入れ替えてみて。そっとだよ?」
キララは普段からよく運動している
そっと、とグリは言ったが、キララの中でのそっとは結構早い
足を入れ替えた途端、跳ね上がったキララは、天井に頭をゴツンとぶつけた
「痛った!!、…あら?」
帽子の力である
通常であれば、たんこぶくらいは出来ていたであろう
「アハハハハハハハハ!!だからそっと、って言ったじゃないか」
目ん玉がキララを笑っている
今のキララは、その目ん玉と一緒に笑う
心の余裕が、違うのだ
「もう!フフ…そっとってだけじゃ分からないわよ」






