特訓!魔法少年スウィーティー☆彡タルト その10
お疲れ様でございます
最も可愛いニャンコ、誰だ選手権
友人とそんなものを開催していたのですが、私の主張は黒猫のうに様です
一歩も譲る気は、ありません
相手に見せられた動画を、じっと見つめる私
ちきしょう、かわええ———
張り合う気が、無くなってしまいました
うん、みんな可愛いよね
ほっこりして、その会はお開きとなりました
正直一番とか、どうでも良いんじゃないでしょうか
それでは本日のキララ、どうぞ
大笑いしたのなんて、いつ以来だろうか―――
一通り笑い終えて、純平と夕陽を眺めているアキラが、ふとそう思った
気象条件の関係で、本日の夕陽は普段よりも綺麗に映るらしい
純平からそう聞いたアキラは、それなら夕陽を見てから稽古に戻ろうと提案した
今は純平の回復待ちである
「…アキラさんって、何でそんなに強くなれたんですか?」
夕陽に顔を向けたまま、純平がアキラへと問う
「…何で、って聞かれてもな。頑張っていたら、いつの間にかこうなっていた。それだけだ」
ヒントになりそうな話は、何も聞けなかった
だがそこで諦めてしまうほど、純平の根性はチョロくない
「俺、今すぐ強くなりたいんです。家族や大事な人を守れるくらいに。どうやったら強くなれるんですか?教えて下さい」
ウーン、
全体の約80%が筋肉と化してしまった脳ミソをフル回転させ、アキラがあれこれ考え始める
自分が弱かった頃の話を聞かせてやれば良いのだが、何しろそんなものは覚えていないのだ
「そうだな…すぐに強くなるのは、難しいだろう。だが勝てるようになる方法ならある。連携だ」
純平が、ゆっくりとアキラの方へと顔を向けた
今聞きたいのは、まさにそれである
「俺の動きを読んで、それに合わせろ。クロスファイアって聞いて分かるか?二方向から、同時に攻撃を浴びせる戦法だ。片方が敵の視界の外にいた場合、敵が対応するのは極端に難しくなる」
「アキラさんが闘魂剣を振るのと同時に、俺も撃てば良いんですか?」
「さあな。そいつは相手次第だ。何が通用して、何が通用しないか、まずは相手を見極める事だ」
アキラが立ち上がり、フワッと宙に浮かぶ
「来い、純平。まずはその同時攻撃からだ。そろそろ陽が落ちる。あんまり時間は無いぞ」
「はいっ!」
そろそろ、体も動くようになってきた
あと1日だ―――
何としてでも、今そのクロスファイアを身につける
大事な人や自分の家を、何も出来ないまま失ってしまうなんて、嫌だ
「いいか純平、俺の手を視界に入れておけ。合図したら散開し、挟撃する。理想は120度以上、180度無いくらいだ。相手の視界の外に出る事、俺と同時に撃つ事を意識しろ。いくぞ」
闘気を込めた人差し指を弾き、目標となる木に目印をつけるアキラ
折れそうになってしまったが、これなら遠目にも分かり易い
アキラに続いて、純平も上昇する
少し離れたところで、アキラが右手を挙げて振り下ろす
GOサインだ―――
弾けるように散開し、まずは目標を挟み込む為の位置を取る二人
アキラの動きを確認する純平
その間にも、ステッキに力を溜め続ける
まだか―――
アキラが、闘魂剣を振った
それに合わせて、純平がアーマーピアシング弾を放つ
斬撃と光弾がぶつかり合い、とんでもない轟音が辺りに響く
目印を着けた木は、無くなってしまった
アキラが純平に近寄って来て、声を掛ける
「一発目でこれか。そう、そのタイミングで合わせて欲しかった。アレは躱せんぞ。お前やるな」
突き出された拳に、純平がゴチッと合わせる
痛がらせてやるつもりだったが、痛いのはやはり自分の方だ
どうだ?―――
そんな気持ちを込めて、純平はアキラに笑いかけた
アキラはフッと笑って、純平の頭をくしゃくしゃと撫で回した
アー、アー、こちら福岡、只今台風が接近中です
私、元漁師であり、何が怖いかって聞かれたら台風と答えます
シケの時に沖にいると、船が沈むんです
定員8名の漁船なんて、風速30mもあったら一発です
追い波にケツを持ち上げられて、船首から海に突っ込んでひっくり返ります
そうなる寸前まで行った記憶が、何回かあります
台風が来ると思い出してしまって、怖いんです
皆様は、現在陸にいます
そんな目に遭う事は無いでしょう
それでは、おやすみなさい




