カザロフ兵団副団長、選抜試験!その10
お疲れ様でございます
ゴハンと温もりを求めて、鳴いているネコスがいる ―――
お布団の中でネコスの喉をチョコチョコ撫でて、幸せな気分のまま失神したい男がいる ―――
需要と供給があるのに、なかなか上手く行かないものです
さておき、本日のキララ、どうぞ
カタカタカタカタ…
控室で座って反逆の逆十字架を抱えているキュレーネは、震えていた ―――
なんで私っていつもこうなの?…
掃除当番とか、タチの悪いクレーマーとか、休日出勤だとか、押し付けられるのは全部私…
遂にとうとう、公開処刑とかいう名の死亡フラグまで押し付けられてしまった…
「では、シグナス選手、キュレーネ選手、試合場へどうぞ!」
控室に響いたのは救いの声ではなく、無慈悲な執行命令だった ―――
ガチャッと鎧を鳴らして立ち上がり、試合場へと向かうシグナス
闘気がムンムンに漂っており、どうやらやる気満々のようである
あっ…
しまった、手加減して、って談合しておくなら今だったのに…
待って下さい!…
斥力の羽根で飛んで行き、はっし、と肩を掴もうとしたその瞬間にシグナスは例の奥義を使ってヴン、と数m先へと移動していた
「そう急かずとも、もう始まるであろう…壇上で堂々と試合うがよい…」
違う、そうじゃない…
話を聞いて…
響く心の声も虚しく、シグナスはスチャッと手を挙げて歓声に応えながら試合場へと上がって行った
「さあ、キュレーネさん!皆待ってますよ?」
グイグイと背中を押す進行役の司会 ―――
なすがままのキュレーネはそのまま試合場へと上がり、シグナスと対峙するに至った
「では、始め!!」
抜いた剣を頭上でクルッと回し、ズン!、という震脚と共に構えるシグナス
これはもう間違いなくぶった斬られる…
キュレーネがそう感じた瞬間、彼女の世界は何もかもがぼやけ始めた
「ウム?」
審判の方を見てキュレーネを指差し、肩を竦めるシグナス
審判がキュレーネの肩を叩いてみると、力なくその場に崩れ落ちた
「…死んでいる…?おい救護班?救護班ーーー!!」
今ある現実を拒絶したキュレーネの意識は、どこか遠い世界へと旅立ってしまったのだ
あ…なんかコレ嗅いだことある空気だわ…
ていうかここ、天界じゃないですか…ってことは…?
キュレーネが持つ18の不幸特質の一つ、一番会いたくない奴に限って目の前に現れる現象がここでも発動した ―――
「やあキュレーネ君。何年も仕事サボってどこに行ってたんだい?早く自分のデスクに就いて仕事を始めたまえ」
「あ、激務のサリドキエル課長…違うんです、私にも何がなんだか」
「今日から休日はナシ、最終組に入って毎日残業して遅れを取り戻して貰う。疲れたとか熱があるとか知らん。やる事キッチリ片付けるまでは休息など与えない。仕事が遅れ始めたら悪霊を体にくっつけてやる。通達は以上だ」
顔面蒼白になって震え始めたキュレーネは、反逆の逆十字架を握り締めた ―――
「嫌です…」
「ン?今なんて言…って、ちょ!待て!!」
「鋭っ!」
ズドッ!、と反逆の逆十字架をサリドキエルの胸に突っ込んだキュレーネ ―――
あらかたの現在位置を確認すると、今度は冥界に向かって飛び始めた
「課長~のせっきにんは重いから、首切り~ 首切り~♪」
返り血を浴びてそんな替え歌を歌いながら、彼女の笑顔はどこか晴れ晴れとしている ―――
そろそろ寝よう…




