アルクの危機!動き出した悪魔達!その6
お疲れ様でございます
もうこんだけ冷えてきたら蚊は出て来ないだろう…
からの、いた
ええ、殺意が湧きました
まだ私にはフマキラーが要るようです
さておき、本日のキララ、どうぞ
話は戻り、カザロフの湯2階 ―――
「あの、アルク様…」
「待って?いえ、お待ち下さい。あの、せめて胸元を…もう少し…」
「こうでしょうか?…」
違う、そうじゃない! ―――
出して欲しいんじゃない、隠してくれって言いたいんだ…
こういう時、丁寧に伝える為には何て言ったら良いんだ?…
仰向けになって座り、両手を使ってジリジリと下がるアルク ―――
とても困っている事を表情でアピールするも、メル様が向ける視線は熱いままである
自分と侍女のイリーナを救ってくれたヒーロー ―――
どうやら兄が殴らないという事は、この男なら良いと認められたらしい…
本当は、アバンテが族長になる前からとっくに発情期を迎えていたメル
だがアバンテは、族長になる前もメルに近寄る男を殴っていた
悪い兄ではないのだが、そのせいでメルはこれまで普通の恋愛というものを味わった事がないのである
ジリジリと逃げるアルクをジリジリと追いながら、壁際まで追い詰めたメル
アッー!!…
背中に当たった壁を感じ、今度は横に逃げ出すアルク
そう動くのは分かっていたため、メルは四つん這いになって追いながらアルクを綺麗にコーナーへと追い詰めた
「…なぜ逃げるのですか?…」
「貴女がこっちに来るからです…」
「私の事はお嫌いでしょうか?…」
「違います、そうじゃないんです。貴女は大変お綺麗ですし、非常に好ましく思います。ですが会ったその日にこういう流れになるというのは、いささか如何なものかと思」
ダアッ!! ―――
渾身のメルダイブ ―――
ちきしょう襲って来やがった
間一髪でこれを躱し、華麗な前方転身でスタッ、とふすまの前に立つアルク
このまま逃げようと取手に手を掛けた瞬間、嫌な予感が頭の中をよぎった
待てよ?…
ひょっとして、王族に恥をかかせたとかいった話になっちゃったらコレ外交問題になるんだろうか?…
そればっかりはダメだ…
今までアスモデウス様やエリゴール様がバチクソ頑張ってこの状況まで持って来たってのに…
追い詰められたアルク、考慮時間に入る ―――
背後の男に飢えたメル様、あと1.5秒で王手 ―――
無限の一瞬の中で目を閉じたアルクの頭の中に響いたのは、今は亡き父の言葉だった
いいかいアルク、羊が突っ込んで来て頭突きをして来る時は、こうやって避けた後に押さえ込むんだ…
自分の力では勝てないと分かったら、羊達も大人しく従ってくれる…
父さん! ―――
残り0.1秒で開眼したアルクは振り返り、メルの突進を柔らかくキャッチして両腕をホールドした
「あっ!」
「…このままだ…どう、どう…」
男の腕とは、体とは、こんなに逞しいものだったのか ―――
頬を染めたメルの体からは、次第に抵抗する力が抜けていった
生涯初の、女扱い ―――
その実は、圧倒的羊扱い ―――
この後どうしよう…
最も無難な展開を考え始めたアルクの背後から、ヒタヒタと足音が聞こえ始めた ―――
PCなんとかしないと…
どこがおかしいんだよ…




