参上!魔法中年ドリィーミィー☆彡プリン その12
お疲れ様でございます
本日は皆様、如何お過ごしだったでしょうか
良い一日であった事を願います
それでは本日のキララ、どうぞ
ここはキララの部屋である
テーブルを挟んで向き合い、プリティー☆彡キララとドリィーミィー☆彡プリンが座っている
無言―――
どちらもまだ、無言―――
さっきの件が、気まずいのだ
主にキララの方が
アキラの方は、そもそも無口だ
用がなければ、喋らない
出されたコーヒーをたまにすすっては、鼻から息を吐いている
キララは、アキラに洗われてしまったのだ―――
肩に担がれたままの恰好で、ブーツを脱がされる
アキラが素手でワシャワシャと、ボディソープを揉み始める
「あの、何をしているの?行動について聞いてるんじゃなくて、アナタとんでもない事しようとしてるでしょ?、って意味よ?」
「…少し、黙っていろ」
ダメくせえ
いや、ハッキリとダメだ
聞く気なんか、微塵もなかった
素手で、生脚を洗われる―――
キララは静かに覚悟を決め、再び遠い目をし始めた
パンツを脱がされなかった事だけが、キララにとっての救いだった
もし、それをされていた場合、キララは再び泣き出していただろう
声出ちゃったら、どうしよう
せめて、我慢できるうちに、洗い終わってください
そんなこんながあって、現在に至る
アキラの手は、硬い
戦う男の手である
だが、その撫で方は、どこまでも優しい
正直、声が出そうになったとか言えない
チラリとアキラの方を見る
そして、キララは目ざとく目撃した
ティーカップの持ち方が、優雅なのである
指を入れるような、下品な持ち方ではない
四指を僅かずつ重ねて持ち、指が長く見えるように持っているのだ
そういえば、飲んでから鼻から息を吐いていた
薫りを、楽しんでいるに違いない
い か ん、 こ の 男、 出 来 る
キララの日々の仕事とは、企業トップの秘書である
当然の事として、マナーには人一倍気をつけている
統括部長の顔に泥を塗るような真似は、決して許されないのだ
キララは本能的に、こういう相手への無礼を怖れる
それは何故か?
中条寺キララとは、社畜だからである
まだ、互いに黙ったまま、ただコーヒーをすすっている
もし、キララが何かを言ったとする
アキラが、「アナタそれ、無礼ですよ?」的な発言を返したとする
キララはそれが、怖いのだ
故に、喋れない
対してアキラは、何も考えていなかった―――
キララが恥ずかしかったかも、とか、何で何も喋らないんだろう、とか、そういうのが一切無いのだ
コーヒーを出されたから、とりあえず飲むか
これだけ
更には既に、さっきの出来事を忘れ始めている
帰る頃にはもう、何も覚えていないだろう
それまで空気だったグリが、そんな二人を見かねて声をかけた
「ん~、ちょっといい?自己紹介くらい、始めてほしいんだけど。これからの予定の話をしたいんだ」
ちなみに、作中のアキラみたいな男は、わりと多いです
常時シングルタスクで生きており、2つ以上の事を同時に出来ません
加えて趣味が生きがいであれば、このタイプが浮気をする事は無いでしょう
見つけたら、捕まえておく事をお薦め致します
それでは、おやすみなさい




