参上!魔法中年 ドリィーミィー☆彡プリン その4
お待たせデース
まったくね
ただただ、楽しいだけの時間って、誰にでも必要だと思うのです
それではどうぞ
「…どうぞ」
コトリ―――
ちゃぶ台の前に浮いているグリの前に、お茶が置かれる
「わあ、ありがとう。薫りだけでも、頂きます」
棒読み―――
圧倒的、棒読み
今、グリの頭の中に流れているのは、処刑用BGMだ
RXとか北斗のテーレッテーとかに近い
この場合の処刑対象とは、己である
対面に、アキラも座る
同じくお茶を注いだ湯呑みも、目の前に置いてある
喋らない―――
無言で、面と向かっている
パーマ頭のマッチョなグラサンが、猛烈な闘気を発しながら、黙って目の前に座っている
何か喋らなければいけない
グリがそう感じ始めた時、男は気配も無く動いた
グリがギクッとした瞬間には、男はガッシリと湯飲みを手にしていた
右手で持ち、左手を下に添え、ゆっくりとすすり始めている
ズズズズズ…
すすりながら、鼻から息を吐く
これは、味わいながら、その薫りをも吸い込んで楽しんでいる
口の中で熱いお茶を転がし、ヤケドを防ぎつつも、その温度に於ける味わいを楽しんでいる
なんという、余裕だろうか―――
この時グリは、この男に目を付けたのが正しかった事を確信した
「…あ、お茶、ありがとうね。残念ながらぼくは飲めないんだけど。薫りは良いよ?」
グリの持ち味は、そのトークにある
相手の話を引き出す能力にかけては、正直他に負けた事など無い
この男が乗ってくる交渉材料とは何か、何を嫌がるのか、何を望むのか
それを聞き出して、調整してやれば良いだけなのだ
キララも簡単に手駒にした
この男は少々苦労するかも知れないが、自分であれば可能だ
お茶を嗅ぎながら、グリは心を落ち着ける
ちなみにお茶は静岡の玉露であり、アキラの親戚の家で採れた新茶である
ふと、グリの心に不安が生じ始めた
この男、おかしい―――
こんだけ間があって、何故、一言も返事が無いのだ
不安を押し殺して、愛想笑いをアキラへと向ける
「…あのー、何か返事が欲しいんだけど、なんで何も言わないの?ぼく何か気に障ってる?」
湯飲みに目を向けていたアキラが、グリに目線を合わせる
ごめんなさいでした、見ないでください
咄嗟に目を伏せ、心の中で、グリが呟く
「…ああ、お茶が美味しかったので、つい。ご無礼致しました。では、ご用件などお伺いしても宜しいでしょうか」
言葉はどこまでも丁寧なのに、全身から爆裂に噴いてるオーラは、左手で口を塞いで右手で喉を斬る寸前のそれだ
クラクラする程の恐怖に当てられながらも、グリは根性で言葉を繋いだ
月曜日、終わりです
あと4回キララ読んだら、お休みですよ
それでは、おやすみなさい




