参上!魔法中年 ドリィーミィー☆彡プリン その3
少々、遅くなってしまいました
申し訳ございません
ちょっと選挙とか色々気になっちゃいましてね
それでは、どうぞ
グリが声をかけてから、10秒ほどは経っただろうか
普段は相手が誰であろうが、その態度を気にしないグリ
だが今回は珍しく、冷や汗を垂らし始めた
次の言葉を、考え始めた
「こんばんは―――」
猛烈な長さの溜めを経て、男が放った言葉は、挨拶だった
「あっ、ハイ。こんばんは。先に挨拶だよね、ごめんね。ぼくの名前はグリモワール。グリって呼んでね」
愛想笑い
先程からグリが、薄々と感じ始めている、恐怖の正体
グリは魔法生物であり、その感覚は人間よりも鋭い
ひしひしと、感じるのだ―――
この男、グリが下手な真似をしたらどうやって殺すかを、もう10通り以上、考えている
グリの主人である、魔界大帝
正直、あっちの老いぼれの方がましだ
この男が放つオーラは、老いぼれのそれ以上だ
殺られるかも知れない
そんな予感とは裏腹に、男の返事は、こうだった
「いえ。お見かけしたところ、人間の世界には、お詳しくなさそうです。常識の話は置いておきましょう。はじめまして、私、毒島アキラと申します。以後お見知りおきを」
仁王立ち―――
少し顎を上げて微動だにせず、男は答えた
そしてスッ、と踵を返した―――
誰しも一般的には、その動作の前に気配を発するものである
それが、一切なかった
極まった武道家、特有の行動である
私はいつでも、お前の先を取れる
その動作で、そう言っているのだ
強者であればある程に感じる、その圧倒的な武の力
ぼく、勧誘しに来ただけなのになー、
グリは、動かない
こそっとでも動いたら、アキラが行動に出かねないからだ
そしてその時は恐らく、グリは死ぬだろう
男は踵を返し、台所で湯を沸かし始めた
お茶っ葉を用意している
どうやら、グリを持て成すつもりらしい
「あ、ひょっとして、お茶とか淹れるんでしょうか?ぼく、飲めないんです。口が無いから」
ゆっくりと、アキラが振り向く
「…ならばせめて、薫りだけでも楽しんでいってください。お茶も出さないでは、毒島家の恥となります。どうぞ」
微笑んでいるのに、有無を言わせねえ感が、半端ない―――
「あっ。ハイ。飲めないけど、薫りだけでもご馳走になります」
正直、帰りたい
グリの笑顔は、ひきつっていた
ああ
日曜日が、終わってしまいます
七夕については気にしていません
私にとっての七夕は、8/6です
それでは、お休みなさい




