表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サザンクロスの花束を  作者: かのえらな
プロローグ【重い思い出】
3/13

友達と準備



―――「じゃあ、行くね!ばいばい!」


彼女の足は前を向き、その体をひねるようにこちらに向かって最後まで笑顔で振り向きふりまきながら

人の群れへと溶けていく


「完全に避けらると思ったのに・・・」


「るりねちゃん。愛しのふととも。ありがとう」


 背後から詩人のようにするりとするりと歩きながら瑠璃音へ向けた視線へと割って入ってくる男


「心情悟ったような気持ち悪い俳句読むのやめてもらっていいか?」


「童貞よ、もともとお前に、不相応」


「うるさいわ!あと変な俳句やめろ、お前も童貞だろ蒼汰」


 ノーダメージ。そう澄ました顔をして赤ぶち眼鏡をインテリキャラのように眉間にかけなおす。

背丈は170前後のもやし体系。髪は金髪のマッシュルームヘアで刈り上げられたもみあげから

真っ赤な眼鏡のフレームが光らせているさえない男

―――三嶌蒼汰みしま そうた

こちらの肩をポンポンと叩くとにんまり顔。


「お前と俺には明確な差ができている。

お前は彼女が出来たにも関わらず童貞を捨てられなかった男

そして俺は彼女を作らず童貞を守っている男。どちらがより洗礼された男か・・・

つまりそういうことだよ」


 どういうことだよ。


 なんて返すのも面倒くさいが今は精神に衝撃を受けすぎてそれどころではなかった。


 蒼汰は大学に入ってできた初めての友達。

テスト日に風邪で休んでしまった自分は後日補修を受けることになり

そこで偶然一緒に補修を受けることになった日から話すようになり今に至る。


 朝のラインも蒼汰からの昼食の誘いだった。


 「悪いことは言わん、諦めるのがお前のためだ。あんな天使みたいな女の子、

隣歩けただけでも天国逝きってもんだ・・・」


 腕を組んで勝手に納得している蒼汰を無視し、手渡されたケータイを見つめる。


 終わった恋にすがりたい気持ちは正直ある、でも相手の嫌がるようなことはしたくないし

これ以上嫌われて追加ダメージを受けるのは絶対に避けたい。


 このどうしようもないジレンマは考えるだけ無駄と再びポケットにケータイを押し込んだ。


「新しい恋をしろ、女は星の数ほどいる。そしてフラれ玉砕し、

それをつまみに俺たちは酒を飲む。お前は悲しい恋を忘れられる、俺は酒がすすむ、

ウィンウィンじゃ―――」


 ふざけた話を飽きもなく続けるキノコ頭を無視し校内へと向かった。





「気持ちの切り替えした瞬間に瑠璃音ちゃんに会うとは思わなかったが、過去は過去、終わった恋は切り替えていこう・・・でもうやっぱり可愛かった・・・悪魔的だ!」


 時刻は4時、

講義が終わり生徒たちが席を離れ、ざわつく講義室でぼやき再び頬を叩く


「お前今日夜空いてる?」


 講義終了早々空気も読まず話しかける蒼汰


「毎日空いてるよ。何なら家に帰りたくない気分だよ」


「そうかそうか!、それはよかった!今日合コンあるんだけどお前も来るだろ?」


「なんか、久しぶりに誘われた気がする。」


 「美人彼女がいるお前を誘えるわけないだろうが、今回はかなりかわいい子が揃ってるって話。

お前の未練も次の女に切り替えられるようにさ。親友からのささやかながらの贈り物って

や・つ・さ」


 ウィンクしながらすり寄ってくる、少しきもちわるい。


「そんな簡単に切り替えるとか言うな!。それにどうせ人数合わせだろ!」


「まあまあとりあえず6時半に大学前の駅に集合な、ほんじゃ俺は色々準備あるからお先!」



 そう言うと足をグルグルに講義室を風のように去っていった。


「女のことになると人が変わるな・・・・・・てか昼めし結局食わないのかよ。」


 一人残された講義室で最近の睡眠不足を解消するように机に伏せ込むのだった







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ