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スキル試運転

非常に久しぶりの更新です。ハイファンタジー作品の方を優先的に書いているのでどうしてもこちらがゆっくりになってしまうのですが、夏季休暇期間は出来るだけ更新していく予定です。

「よっし、行くか。」


 昨日とほぼ同じ時間に起きて準備を整えた僕は早速ダンジョンに向かった。



「えっと、昨日付けた目印はっと……あった。後はこれを辿って行けば着くな。」


 早足で森まで来て、そこに付けた目印を頼りにダンジョンへと足を進める。暫く歩いて問題無くダンジョンに辿り着いた。


「殆ど迷わずに来れたな。早速入りたいところだけど今日のメインはスキルの試用だし、まずはそっちからか。じゃあ……『作成』」


[ジャンルを選択してください]

・ホラー脱出


「選択って……一択じゃん!」


 でもこれって僕が主に作ってるジャンルだからか?まあ選択するって表記があるってことはレベル上げてけば増えるってことだろうし今は慣れてるジャンルで戦ってこうか。


「モンスターを倒さないことにはレベルも上がらないし、まずは攻撃力の強化だな。」


 という訳で最初は武器の作成をすることにした。


[アイテムを選択してください]

・バールのようなもの

・硫酸

・金属バット

・ハンマー

・スコップ

・ドライバー

・カッター

・ライター

・拳銃

・ナイフ

・消火器

 etc………


 だいぶ多いな。それにホラー脱出系では見覚えのあるアイテムばかりだ。どれから作成していこうか。


「スライム相手だともう殆どレベル上がんないし次の階層に進んで相手を知ってからの方がいいな。取り敢えずは作れるだけ作っておくか。」


 そうして武器にできそうなものを各二つずつ作成しておいた。記録容量が気になったがまだまだ大丈夫そうで良かった。思ったより制限が軽めみたいだな。


「よし、準備も出来たことだし早速向かうか。」


 満を持して僕はダンジョン二階へと向かった。



「ここが二階か。昨日のうちに階段見つけておいたから早く着いたな。ここのモンスターは……」


 そうして周囲を見回してみると、奥の方に見覚えのある姿を発見した。


「ゴブリンか。今のところチュートリアルダンジョンって感じだな。取り敢えず戦っていこうか。『実装』」


 僕は作成しておいた武器を手元に召喚した。


「初武器はやっぱりこれだな。」


〘バールのようなもの〙


 何故か割りたいガラスとか外したい板を見つけると近くに落ちていて、武器にもなる万能アイテム。金属バットより攻撃力はないが重量もないからな。パワー型じゃない僕には丁度いい武器だ。


「準備も出来たし早速行くか。」


 気配を殺しつつゆっくりとゴブリンに近付く。


 なんか悪いことしてるみたいだな。まあやめる気はないんだけど。


 そうしてあと数歩で接触出来る位置まで来た僕は軽く呼吸を調える。


「よし。」


 完全に落ち着いた心で以て、無駄無く一瞬で距離を詰め手元の武器を振り翳す。


 グシャッ!


 目の前のゴブリンは声を発する間もなく頭を砕かれ息絶えた。


「あれ?これで終わり?思ってたよりすんなりいったなぁ。そんな攻撃力高い武器じゃない筈なんだけどな。…………ってこれなんだ?」


 予想外の呆気なさに驚いていた僕は、何気なく目を向けた先で鉱石のようなものを見つけた。よく見ないと見過ごしてしまいそうなちょっとした小石程度のそれは、先程ゴブリンの死体が転がっていた場所に落ちていた。


 ん?ゴブリンが転がっていた?


「あれ?ゴブリンの死体は?」


 つい先程倒したばかりのゴブリンがいつの間にかいなくなっている。そしてその代わりとばかりに転がる鉱石。これから導き出される答えは、


「そういう仕組みか。スライムの時は倒す時に弾けてたから死体が消えてるのに気付かなかったんだな。そして代わりの魔石(仮)は小さ過ぎて完全にスルーしてたと。」


 どうやらこのダンジョンというものはモンスターを倒すと死体が消えて魔石が残るタイプのファンタジーだったみたいだ。それから考えると、この先魔石の他にも素材等がドロップすることも予想されるな。それで魔石が高密度のエネルギー源になったり、ドロップ素材がより高品質の新素材になったりするんだろう。


「これは世界が変わるな。問題視されてるエネルギーの枯渇も解消されて、燃料による環境問題も解決、そして新素材によって今まで実現が難しかったものが作り出せるようになって大幅に生活の質が進化すると。その影響でダンジョン攻略が仕事になることも考えられるな。」


 これは本格的に面白いことになってきた。


「俄然やる気出てきたし、先に進むか!」


 こうして僕はどんどんとダンジョン二階の奥へと足を進めていった。




 数時間後、手持ちの武器を変えながらひたすらゴブリンを狩り続けた僕は休憩も兼ねて一度立ち止まりステータス画面を開いた。



名前 遊城 創

Lv 12

職業 【遊戯開拓者(ゲームクリエイター)

HP 240

MP 180

AT 180

MA 120

DF 180

MD 180

職業(ジョブ)スキル 『作成』『実装』

通常(ノーマル)スキル

魔法 土魔法Lv1

称号 《初級探索者》



「お、土魔法か。やっぱここにも個性が出るのな。クリエイターらしく何か作れってことか。」


 念願の魔法ということで、早速使って見ることにした。


「えっと詠唱とか魔法名は………これか。『落石(ロックフォール)』!」


 名前的には石が落ちるんだけど、実際は拳大の石が飛んでいく感じだった。ファイヤーボールとかと同じイメージだな。取り敢えず今使えるのはこれだけのようなので、次に行くことにしようかな。


「そろそろ慣れてきたしちょっと強めのモンスターいないかな〜。ゴブリンの上位種辺り。」


 僕は直感に従ってフラフラとダンジョンを彷徨う。


「あ、見つけた。」


 少し先に普通より二周り程大きなゴブリンがいた。ゴブリンジェネラルとかそこら辺かな?まあいいか、取り敢えず戦ってみよう。


「まずは今まで通りの戦法がどれだけ通用するかだな。念の為安全重視で行くか。」


 ある程度まで近付いた時、相手側も僕に気付いたようで戦闘態勢をとった。


「不意討ちは無理か。まあそうでなくちゃ今までのゴブリンと同じだもんな。来いよ。力比べの時間だ。」

「グギャ!グガァアアア!」


 どうやら挑発されたと感じたようで、ゴブリンジェネラル?は僕に向かって駆け出してくる。


「速い。でも目で追えない程でもないな。これならいける。」


 力量を確認し、少し遅れて僕も駆け出して正面からぶつかりに行く。と見せかけて少し手前で停止しアイテムを投げつける。選んだのは、


〘硫酸〙


 持っているときはなんともないのに何故かぶつけたら割れやすい容れ物に入っていて、ファンタジー補正で無駄に酸性の強い便利なアイテム。目潰しには丁度いい。


 パリンッ!ジュワァ〜


「ガアァァァァァ!」

「おぉ暴れるな暴れるな。近付きづらいじゃん。」


 予定通り目を潰され、痛みからか立ち止まり全身をばたつかせて暴れる相手に接近戦での討伐は危険度高めと判断した僕は、せっかくの魔法がどれくらいの威力かを試すことにした。


落石(ロックフォール)


 先程見たように拳大の石が一直線に飛んでいき、命中して少しバランスを崩させた。


「う〜ん、レベル一だとこんなもんか。ちょっと工夫出来ないかな?形とか変えられればもうちょい強くなると思うんだよな。よし、実験だ。」


 思いたったらすぐ行動だ。目の前で苦しそうに藻掻いている相手もガン無視で自分の興味に没頭していく。


 一つ目、変わりなし。二つ目、少し尖ったな。三つ目、かなり良くなってきた。四つ目、ほぼ槍の先に近い形状だ。後はこれを安定させて、五、六、七………


 ガン!ガン!グサッ、グサッ、グサグサグサッ!


 僕の魔法は段々と鋭利さを増し容赦無くダメージを与えていく。


「グギャァァァァァァアアアアッ!」


 とやり過ぎたな。完全に怒ってるわ。そりゃ一方的に実験台にしたら怒るか。でもその苛つきは命取りだぞ。怒ってなくても命取りに行ってるんだけど。


 そう心の中で軽口を叩いていると、怒りに任せ手持ちの棍棒を振り回しながらゴブリンジェネラル?がこちらに近付いて来た。先程よりも少し速い。怒りで警戒心というリミッターが外れたっぽいな。


「悪いけど、勝てない勝負はしない質でね。遠距離戦で失礼するよ。」


 そうして僕はアイテム〘拳銃〙を取り出し人型の急所目掛けて撃ちまくる。実験の結果から恐らく普通に効くだろうと思ったからね。それに多分今のレベルだと魔法撃つよりこっちの方が強い。


 え?普通拳銃って素人が簡単に撃てるもんじゃないって?そこは素晴らしきファンタジー!流石に弾数は無限じゃないけど連射出来る仕様だし、撃ったときの反動もあまり無い。ご都合主義バンザイ!


「という訳で、討伐完了ってな。」


 大体アイテム二つ分、三十発くらいでゴブリンジェネラルが倒れた。正直もう少し少なくてもいけると思ってたな。これは僕が初心者だからなのか、流石はモンスターというところなのか分からないが、新しくアイテムを用意する必要が出てしまった。まだ作れそうだったし作っておくか。


「あれ?でも待てよ。もしかして拳銃しまっておいたら弾数復活したりしないかな?ファンタジーだしあり得るかも。」


 それから再び実験を始めた。といってもすぐに終わったけど。


 結果は単純、収納して再召喚したら弾入ってた。どうやら弾込みで〘拳銃〙の扱いらしく自動的に『作成』されるらしい。リロード簡単!


 予想外の便利さに上機嫌になりつつも、流石に疲れが溜まってきたのでダンジョンの外へと足を向ける。




 何度かゴブリンを討伐しつつ一時間半程かけてやっと外に出た。


「いやぁ疲れた。高校入ってからはダントツで運動したな。全身くまなく疲労してる。これは流石に明日はきついかも。」


 取り敢えず休憩しつつ今日の成果を確認しないと。


「ステータス。」



名前 遊城 創

Lv 14

職業 【遊戯開拓者(ゲームクリエイター)

HP 280

MP 210

AT 210

MA 140

DF 210

MD 210

職業(ジョブ)スキル 『作成』『実装』

通常(ノーマル)スキル

魔法 土魔法Lv1

称号 《初級探索者》



 さっきよりレベルが二つ上がったか。一日通して五上がったし、いいぐらいかな。それよりもスキルの使い方と性能が分かったことが何よりの収穫か。本当に予想を超えて優秀だったよ。普通の人はまず武器の調達から始めなきゃならないけど、僕は最初からその点をクリアしてる。ファンタジーらしい特殊な効果の付いた武器がある訳じゃないけど浅い階層なら問題無く通用するし、地道にレベルを上げていけばそう遠くない内にそういう武器も『作成』出来るようになる。それまではひたすら頑張るだけだよな。


「っし!この調子で時間のある時は出来るだけダンジョンに篭るぞ!」


 新たな目標を掲げ、スッキリとした気持ちで森を進み、そのまま帰路に就いた。


 明日は学校もあるからな。あまり遅くまで外出してる訳にもいかない。早起きした分早めに寝ないと朝起きれる自信ないし。




 家に着き、風呂、食事、明日の用意を済ませた僕は身体の怠さに任せてベッドに倒れ込む。


「ふぅ。今日の目的だったスキルの試運転も上手く行ったしこれからどんどん楽しくなる未来もより明確に見えてきた。後はダンジョンが立入禁止にならないことを祈るだけだな。頼むから、せっかくの遊び場を潰さないでくれよ。」


 不確定な今後に思いを馳せつつ、眠気が限界だった僕は意識を手放した。

面白い、続きが読みたいと思った方は星やブックマークをつけていただけると幸いです。感想もお待ちしています。気軽に書いて下さい。ただ、こんなのがあったらいいなという意見は良いのですが既にこちらで決めている設定を無視した要望には応えられかねますので、その点はご了承下さい。

同時連載中のハイファンタジー作品の方も週2、3更新しているのでどうぞ宜しくお願いします。

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